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ロシア人への考察Ⅲ

彼らは純朴なのだ、素直なのだ、飾り気がなく誠実なのだ。だからこそ、容易く笑顔はみせないし、作り笑いもない。彼らが信頼してくれて初めて笑顔を作り、打ち解けられたと言えるのではなかろうか。その点では、自分はとても彼らと反りが合ったように思うし、そう感じられたことは幸せであった。

こうした経験ができた背景には、自分が多少なりともロシア語ができたということがあったかもしれない。また、ロシアに対する好奇心や興味関心があり、彼らもそれを感じ取ってくれたのかもしれない。ロシア語を積極的に使おうという姿勢もプラスだっただろう。自分がロシア語を話すとたまに、「ここで働いているのか」と聞かれたのだ。裏を返せば、ロシア語を話すということはロシアに住んでいるはずだとの考えがあり、旅行者で話せる人間などあまりいないということだろう。

観光なら英語で事足りるだろう。しかし、旅をしようとしたら少なくとも、その土地の言語を話そうとする“姿勢”が必要かもしれない。ペラペラに話せる必要は必ずしもない。しかしその姿勢が、現地の人の心を開くきっかけになると思う。ホステルのフロントで英語が話せないロシア人に、英語を教えていた人がいたが、「余計なお世話だろ」としか感じなかった。彼らだって、必要とあれば自ら学ぶだろうし、なぜそんなことを教授されなければならないのか、わからないはずだ。むしろこちらから、現地の言葉を学びに行く姿勢が肝要だと思う。

ロシアを旅する前と後では、その印象が180度変わってしまったと言っても言い過ぎではないくらいだ。巷に溢れるイメージ論だけで、表層だけで何か物事を語ってはいけないのだなと改めて実感した。また、今回自分はロシア人の純朴さ・誠実さに心打たれた側である。自らも誠実さを大切にしていきたい。

終わり


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