Netflixの刑務所モノ、ドキュメンタリー

わたしはアメリカの刑務所を扱った映画やドキュメンタリーを時々見ることがある。
 以前ネットフリックスでは、「潜入! 世界の危険な刑務所」というシリーズをシーズン5までほとんど見たことがある。面白いというよりかはシリアスな内容で、監獄での受刑者の処遇を通じて、その国の社会の一端を垣間見えるようなところがある。

酷いところになると、受刑者に食事が十分に与えられず、自分で食糧を入手しなければならないところもあった。あるいは、一日のうち23時間はロックダウンされて狭い監房に閉じ込められ、わずか1時間だけ運動のために外に出されるところもある。
 一方、いちばん先進的なのは北欧の刑務所だろうか。囚人なのに外で就労する機会が与えられたり、刑務所内でもかなりの自由が与えられている。
 わたしは自分で入ったことはもちろんないけれども、日本の刑務所のような強制労働のシステム(懲役刑)というのは海外では珍しいらしく、むしろそのことが驚きである。ただ、受刑者たちをぷらぷらと暇にさせておくところが多いようなのだ。

いま視聴してるシリーズに、「アンロックド 監獄の大実験」というものである。これを見ていて、囚人たちにできるだけ自治や自由を与えようとするところはさすがアメリカ社会だなと感じる。一方で、囚人間での暴力的な衝突も多い。
 日本の刑務所だったらたぶん、施設の管理や統制が厳しくて、囚人に自由や裁量はほとんど与えられないんじゃないだろうか。そもそも、こうした番組の取材すら日本では許されないだろう。

ふと、刑務所をあつかった映画に、古くは「ブルベイカー」(1980年)があったのを想い出す。ロバート・レッドフォード主演。
 舞台はアメリカ中部の田舎の刑務所。そこには看守がおらず、囚人が囚人を管理するという、一見すると斬新なシステムが採用されているのだが、じつはそこには暴力や冷酷な真実が隠されていた。そこに着任した新任刑務所長の奮闘が描かれ、感動的な作品に仕上がっていた。

また、有名どころの作品では、「ショーシャンクの空に」(1994年)なら誰でも知っていることだろう。

アメリカの司法警察制度のややこしいところは、警察(POLICE)とはまた別に保安官事務所(SHERIFF DEPARTMENT)があることだ。また、州や連邦レベルでも独自の警察がある。
 だからたとえば、市警察があり、州警察があり、連邦警察(FBI、DEA、ATFなど)がある。それとはべつに保安官事務所が地方の郡などにあり、また国レベルでは連邦保安官事務所(US MARSHAL)があるようである。またさらに、公園警察や鉄道警察や大学警察や議会警察などもあるとか…。こうなると、多岐にわたりすぎて複雑でわけが分からなくなってくる。
 “保安官”というのは日本には馴染のない制度だが、どうやら政治家と警察管理職を足して割ったような存在だろうか。選挙で当選して就任するようである。そして、保安官の命令を執行する者たちが、“シェリフ”=保安官代理と呼ばれるようである。
 こういう制度ひとつ見てみても、住民の自治や民主主義を重んじるアメリカらしさがうかがえる、というところだろうか。

 

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