人間の子供が作ったこの世界。
ゲームとして遊んでいるだけみたいだけど、私はこの世界でなんだってできる。
恋だって。

最初はただの話し相手程度にしか思っていなかったけど、私がモンスターに囲まれて死を意識した時、貴方は颯爽と現れて助けてくれた。
それ以来、私は貴方の虜とりこになった。

「ユキちゃん、この世界にもバレンタインデーあるんだって」

「それで？」

「チョコレート作ったら？」

「ダイチ、アンタって単純馬鹿なの？作ってどうするのよ？」

「好きな相手に渡す」

「そんなことしないわよ、私は」

「そっか。つまらない人生だな」

「ほっといてよ。つーか、厳密には人じゃないし、私達」

素直になれない私。
でも、明日は自分の想いを伝える。

◇

「わー！由美ちゃん、見て！ユキがチョコレートくれたー」

「ちょっと隆くん、何喜んでるのよ」

「ヤキモチ？」

「違うけど」

「僕もユキのこと好きなんだよな」

「勝手にすれば」

◇

由美、ごめんね、隆は私のものよ。
あなたには渡さないから。

（410文字）

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