【毎週ショートショートnote】白骨化スマホ
親友のツトムが死んだ。スマホアプリの開発者をしていたのだが、過労が原因らしい。
ツトムは「人を笑顔にするアプリを作りたい」といつも言っていた。死ぬほど働いて、一体どんなアプリを作りたかったのか。
ツトムの母親から「あなたに持っていて欲しい」とスマホを預けられた。これを握りしめた状態で気を失っていたそうだ。笑っているような表情だったと聞いて少し救われた。
数日後、ツトムの会社の上司が家にきた。
スマホを返して欲しいと言う。
「帰れ、この人殺し!」
「いや、あの、そのスマホはツトムさんの所有物ではなく弊社の所有物ですので」
俺はツトムのスマホを起動した。ドクロのアイコンが目に入ったのでタップするとカメラが起動した。ツトムの上司にピントを合わせる。
「あ、あの……」
撮影ボタンを押す。
「ギャー!」
ソイツはアニメみたいに雷に打たれて骨が透けて見えた。
ツトム、このアプリ、最高に面白いよ。
俺はキョトンとしているソイツにスマホを投げつけた。
(410文字)
※こちらの企画に参加させていただきました
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