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趙紫陽 民主政治は必ず始まる  1993

宗鳳鳴《趙紫陽軟禁中的談話》開放出版社,2007年,120-121

1993年12月14日    趙紫陽は考える。「中国で過去、マルクスレーニン主義を導入(引進)したのは必ずしも社会主義を実現するためではない。「中華復興」「国家民族の危機を救う(救亡圖存)」のためだった。のちにソ連のこの高度集中体制を導入したのは、まず重工業の発展に力を集中し、軍事工業をおこすためで、富国強民のためであり、社会主義を実現するためではなかった。毛主席が中国でいわゆる、工であって農、文でありまた武(亦工亦農又文又武),工,農、商、学、兵を集め一体の人民公社を実行したのは、彼のユートピア農業社会主義の理想を実現するためである。」
 趙は一歩分析を進めて言う。「毛主席は基本は中国の伝統思想を尊重(奉行)している。すなわち農業社会的極楽世界だ。毛沢東は中国歴史上の五斗米の教えをとても賛美(贊賞)した。漢代の張天師は、無償で飯を食わせることで食を保証され(管吃),食が得られる(量腹取足)ところに住まいを保証されて、好きなところを行き来して自由自在に生活した。毛沢東はすべては「公」に従えと主張した。これ(この毛主席の主張)は革命戦争年代から実行した軍事共産主義的供給制であり、建設年代に回想された供給制回復の考え方であり、「五七」指示(毛沢東が1966年6月7日林彪にあてた書簡で示した指示。軍隊は軍務のほか、政治、文化、経済などさまざまなことをするべきだとするが、農民、学生、そのほかにも同様のことを求めている)や人民公社そのものに見ることができる。これは孔子の大同世界(これは「礼記(らいき)」が出典とされる古代中国世界での理想社会)、康有為の「大同書」その後の孫中山の「天下為公」思想これらはみな一脈相通じるところがある。毛沢東は外来の主義に対して、自身のユートピア理想に役立たせる実用主義(的)態度をとった。毛主席はソ連の官僚体制というものには反対だった。寄生虫のような官僚主義者階級をこれ以上の悪はないとした。」
 趙は言う。「ユートピアは条件がないので、実現できない。(そこで)高圧強制的方法に頼り、権威的方法に頼り、個人崇拝(迷信)を生み出す方法に頼り、国家機構を惜しげもなく叩き壊すに至り、無産階級独裁というこの武器を取り出すに至り、人民内部さらに党内部の異なる意見の者に、独裁的な鎮圧手段すら取るに至った。その結果、国民経済は崩壊の淵に向かい、(この方法の)失敗が告げられている。」
 ここまで話して、趙は廖季立の見方に同意している。「無産階級は国内で優勢になってから再び「独裁(専制)」を強調することはできない。そのようにすれば、ただ人民の政治が独裁化するだけである。(逆に)当然、革命時期にこのような厳密に高度な集権制がなければ、革命は勝利することはできない。すなわち建設が開始するとき、(趙は著しく力を込めて述べた)もし西欧の民主政治を実行すれば、あのような多党制を行えば、社会は決して安定できないだろう。発展途上の国家は社会矛盾が多いし、経済建設を順調にすすめることはできない。南アメリカ諸国がその例だ。」
 趙紫陽は最後に述べた。「まとめると、後進国家で革命が勝利したあとは、まず商品経済を発展させる。生産力を全力で発展させる。中国の農村においては、さまざまな請負制(聯產承包制)が進められたことで、人民公社が解体(瓦解)した。都市においては非国有経済の発展が、計画経済体制を崩壊(解体)させた。株式制を実行したことは、公有制経済を転換させた。今後市場経済の発展とともに、経済多元化が出現すると、高度集中的独裁政治体制は必ず維持できなくなり、旧体制をは必ず改変されねばならなくなる。(そのとき)一党独裁の政治体制が終わり、現代民主政治が始まる(実行される)。」
   なお廖季立の無産階級独裁についての見解とは、独裁は革命の勝利のために必要だが、勝利後は速やかに、民主と法治に戻るべきだというもの。廖季立は1993年5月16日に趙紫陽を尋ねて、自説を趙紫陽に直接のべている。宗鳳鳴《趙紫陽軟禁中的談話》開放出版社,2007年,96-99

#趙紫陽 #毛沢東 #人民公社 #経済多元化 #民主 #独裁



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