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46年ぶりの高校同窓会を見合わせる理由

3月の下旬になにやら不審なメールが携帯に届いた。不審なタイトルは中を開かないことにしている。タイトルだけだとこうだった。○○高校バレー部の○○です。なんだこれは。

不審メールが来た同じ日のこと。午後1時45分から2時35分の間、実に1時間近くに渡り、見覚えのない番号通知で着信が7回あった。番号通知だけの場合は出ないようにしている。なんだろうこれは。

しばらくして一通の手紙が自宅に届いた。開けて見るとこうだった。○○高等学校、第5回同窓会のご案内。卒業してから46年になります。前回からコロナの影響で延期しましたがそろそろ第5回の同窓会を開催しようと考えています。参加ください。どこの同窓会なのか。なにかの間違いだろう。

日時 6月29日(土) 12:00~15:00
場所 某所
会費 1万円、二次会は別途2千円

どう返事をしたらいいのだろうか。しばらく考えてこうした。残念だけど断ることにしよう。その理由は3つ。思い出したくないこと。現状のこと。そして会費と交通費のこと。これらを考えると同窓会には出ない方がいい。

まず思い出したくないこととしてはこうである。わたしは高校時代の思い出があまりよくない。それはバレーボール部に所属してバレーボールばかりしていたことにある。勉強は数学以外はそれほど得意ではなかった。英語は受験勉強をしはじめてから学んだ。18歳から学べばそれほど伸びない。

バレーボールのことともうひとつある。恥ずかしくも女の子のことばかり考えていたこともある。クラスメートにそれはそれは魅力的な女の子がいて、わたしはいつも惹かれていた。あれを恋愛といっていいのかどうかはわからない。そんな3年間だった。それくらいしか思い出せない。

46年が過ぎた今日はどうか。バレーボールとは程遠くなった。Vリーグは観戦にいくことはあるけれどバレーボールはしていない。それより大学から少しだけやりはじめたテニスがある。その後ゴルフも経験した。しかし40歳を過ぎてからはそれらのスポーツはやることもなくなった、50歳から少しだけテニスは再開するも3年くらいでやめた。今ではウォーキング、水泳、サイクリングくらいである。スポーツは遠のいてしまった。

いまはどうしている。高校時代の友人にはとても話せない。大学に進学をした。社会人になって東京で働き35年が経過した。結婚をして長男がひとり。それくらいしか話せない。

高校の友人にアメリカの大学と大学院に留学したことはいえない。信じてはくれないだろう。外資系企業を転々として17年勤務した。外資系企業といって名前を聞いてもわからないだろう。そして25年したときに企業勤務から大学の教員になった。それから10年。とても信じてはもらえないだろう。

友人に知られたくないことをたくさんしてしまった。

そして会費1万円はちょっと高い。東京の相場からいっても高い。さらに2次会で2千円は痛い。そこでカラオケ、ビンゴをするという。どうも気が乗らない。しかもそれだけではない。往復の新幹線代で2.4万円がかかる。日帰りで3.6万円+だ。場合によっては宿泊代もプラスである。宿泊だと5万円くらいはかかるであろう。

5万円をかけて高校の同窓会に出ることもないだろう。それにしても不思議なことがある。

それは愛知県の46年前のひとたちに一般に言えることだ。それは46年が経過したにもかかわらず高校の友人が全く変わっていない。その前提で話が進んでいることである。

46年間変化がないということはない。成長と変化は必ずある。それが高校の友人というのはまったくあの当時と同じ口調と語りで問い合わせてくるのである。これはおかしい。どう考えてもおかしい。

もうバレーボールの話はしなくてもいいだろう。

ただもし好きだった女の子が同窓会に出席してきたらどうだろう。おそらくこれは期待しない方がいいだろう。

2年前も実はこんなことがあった。大学時代にそれはそれは素敵な女性がいた。わたしはずっと密かに惹かれていた。その女性が同窓会にたまたま偶然にも参加してきた。そしてわたしが映ったZoomの画面を見てこうつぶやいたのである。

はて、あなたはだれでしたっけ。

わたしはがっくりと肩を落とした。あの事件からわたしは高校と大学の同窓会は参加を見合わせている。

大学生の読者の皆さんは高校のときと同窓会には参加するだろうか。46年経過して参加するかどうかは読者の皆さん次第である。