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揺さぶられる視覚体験 〜植物と造花の境界〜  


神戸市長田区 下町芸術祭 

神戸市長田区にある下町芸術祭に美術作家として出品する機会がありました!
神戸市長田区は、ベトナム、韓国など海外にルーツを持つ人たちも多いエリア。
港側のエリアは、昔ながらの町並みが残り、狭い街路が趣ある下町。
そんな中にある、 アトリエKOMAさんにて私の作品を制作しました。
アトリエKOMAさんは、福祉事業型「専攻科」エコールKOBEさんが、運営するアトリエで、空き家をリノベーションされたた場所です!

庭も素敵なアトリエKOMAさん

造花と実物の境界

多国籍の植物が一つのスペースに隣り合って同居しているイメージで、建具などを活用して展示(植物の栽培展示)を行いました。

左 バナナ(熱帯) 真ん中 韓国とうがらし 右 榊(さかき)

その中の一つ韓国唐辛子は、本物の植物なはずなのですが、造花の様にみえて感覚がゆらゆらしました。
リアルとフェイクの境界が融解していく感覚。

展示した韓国唐辛子

この感覚が「なぜ引き起こされたのか」ついて少し考えてみます。

「生気のなさ✖️ディスプレー感」のコンビネーション

韓国唐辛子自体がベストなコンディションではなかった。その萎れ具合から、生気が弱い。その生気のなかさに照明を当てたため、「生気のなさ✖️ディスプレー」のコンビネーションから造花(フェイク感)が生み出されたのかもしれません。
展示をした時期が11月なので、「そもそも植物自体の寿命が近い」➕「地植えから鉢に植え替えた」ので植物は萎れ気味。
建具で区切ったウインドウディスプレーっぽさの中にある韓国唐辛子を照らした照明は太陽光のイメージがで明るめの照明💡
そうした「作り出した感」がみせる「生気のなさ」が造花感を生み出し、リアルとフェイクの境界が揺さぶられたのかもしれません。

建具display

本物よりも色彩豊かな絵画と、創作感を感じさせるキャンバス生地

今回の展示場所、アトリエKOMAさんはこれまでもたくさんの人々、アーティスト達が活動の場所としてきました。
そのため、制作途中の作品や、アトリエKOMAさんに所蔵された作品がたくさんあります。

制作途中の立体物や、名言「しっぱいイッパイ シアワセいっぱい」などが数多く残る
子ども達が制作した作品群

それらの作品群もアトリエKOMAさんの歴史として、空間展示に取り入れました。

その1つとして、韓国唐辛子の近くに「緑と赤の絵画(韓国唐辛子を描いたのではないかと思え、奇跡的な出会いを感じた)」と、白のキャンバスを背景的に設置しました。

絵画、韓国唐辛子自体、白キャンバス

絵画の緑と赤が、韓国唐辛子にマッチしたことや、白キャンバスが背景になったことも、少し造花感をかもした一助になっているかもしれません。

絵画の緑と赤は、本物よりも色彩が多様だったかもしれません。そうなると、本物の方が色彩が乏しく見えてしまう。

また、キャンバスを見たときに人は経験的に絵画をイメージしてしまう。白キャンバスが、人に対して創作物ですよオーラをかなり醸してしまう可能性もありますね!


リアルとフェイクの相互乗り入れ

今回の展示をしてみて、
この「リアルとフェイクの境界」は、
私が作品制作をする際に多く意識するモチーフです。


リアルとフェイクの境界

リアルを超えるフェイク
あるいはフェイクに向かうリアル

リアルとフェイクの2つがお互いに行き交う、相互乗り入れというものが、私が作品制作を行う際に繰り返し現れるものかもしれません。

とりあえず今回はこの辺で!

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