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匂いで表現する 〜匂いと記憶→作品化のためのメモ〜


匂いと記憶

匂いは記憶と強く結び付けられるとどこかで聞いたことがあります。

春のつつじの花の匂い。
雨の日の地面が濡れた匂い。 
同級生の香水の匂い

インド マザーテレサハウスの死を待つ人の家の匂い。
サイパンのスーパー 冷凍肉売り場の匂い。
ひいおばあちゃんちのボットン便所の匂い

これらの匂いは、
匂いとともにその時にみたであろう風景も呼び起こします。

「匂いと記憶」を作品化したい

先日、大阪で開催されていた
大阪関西国際芸術祭、船場エクセルビルのSTREET3.0に行った時に、匂いを使った作品が展示されていまして、この「匂いと記憶」について思い出しました。

『AP』アートパフューマリーを紹介する展覧会

ガラスの蓋をあけ、スライドガラスにつけられた匂いを確かめて行く。
なんかどこかでこの匂いかいだことあるような。。

匂いとともに記憶が立ち上がってくるかんじがするが、どこでかいだ匂いかもあいまいだからか、
「記憶が立ち上がってくる」感覚はあるが、
風景にもならない抽象的な記憶が想起される。ような気がする。。

この「匂いと記憶」は自分としても関心があり、
作品化したいリスト入りしておきました。

「匂いと記憶」を作品化したいこともあって、このNOTEを書いています。


香りでビジュアル的なものを表現する

展示を見たときは、この「匂いと記憶」について想起させられた作品ということで、詳しく内容がわからなかったですが、今調べてみると、
この展示フロアは「AP」アートパフューマリーの展示。

「アートパフューマリー」とは、世界中の新進気鋭なフレグランスブランドを展開してきたNOSE SHOPさんが提唱している概念だそうで、

アートパフューマリーとは、ヴィジュアル、ストーリー、香りに対してこれまでにない革新性を持ち、唯一無二の独自な視点で香水市場に新たな価値を創造するフレグランスブランドを指します。

NOSE SHOPが提唱する新しい「アートパフューマリー」の世界

どういうことなのか。。
NOSE SHOPさんの具体的な商品から考察してみます。

アップ トゥ ザ ムーン|月に寄せる

アップ トゥ ザ ムーン|月に寄せる

世界的なオペラ歌手ニノ・マチャイヅエの繊細でニュアンスのあるソプラノの美声。軽やかに転がるような活気に満ちた音色を香りに転写。伸びやかで美しく、官能的で、断固としてカリスマ的。轟く万雷の拍手。

アップ トゥ ザ ムーン|月に寄せる

香りだけでなく、このケースのビジュアルや、香りに込められた・想起されるコンセプトというところだと思いました。

「香りと記憶」について、先に書きましたが、
記憶を「風景としての記憶」とするなら、
香りで、ビジュアル的なもの(記憶から連動する)も表現し得るのだと思います。

ストリートと匂い

「ストリートと匂い」といえば、外国旅行に行った時のことが思い出されます。
日本は、あまり良いとは思えない臭いは抑えられている傾向にあるため、
海外ではわりと強めの匂いがある場合があります。
モロッコ マラケシュに行ったことがありますが、
肉市場では相当な肉の匂いが充満していました。
また、皮なめし工房では独特の匂いも記憶にあり、特徴的な風景も思い出されます。

皮なめしのエリア「マラケシュ散策:おすすめスークでお買い物&絶品モロッコ料理を堪能」より引用

大阪で言うと、三角公園にあるたこ焼き屋のにおい。
ストリートでは、路面店の食べ物の匂いや、ゴミの匂いなど、「ストリートと匂い」って分かち難く結びついているなあと。大阪関西国際芸術祭を振り返ります。


想起される 風景と気分

想起される風景 〜具体と抽象〜

「匂いと記憶」が結びつき、匂いからビジュアルとしての記憶が呼び起こされるという現象があるとして、記憶から呼び起こされるビジュアルは
①「具体的なもの」 と ②「抽象的なもの」の2つの方向性があるなと思います。

①具体的な記憶
この匂いは、あの時の匂いだ。あの人の匂いだというもの。
具体的なあの時、あの人。
同級生の香水の匂いは、やはり「あの同級生」のことが思い出されます。
同じ、香水をつけている人がいたとしても、私のにはこの匂いは「あの同級生」の匂いとして位置づいています。
こんなふうに、匂いに対して絶対的に結びついている原点の記憶のパタンーもあるなと。

②抽象的な記憶
毎年同じ匂いをかぐものは複数の記憶が刻まれているので、複数の記憶に結びついているものがありそうな気がします。
例えば、自然の花の匂いです。つつじ、キンモクセイなどなど。
春のつつじの花のかおり。このときの、匂いから呼び起こされるつつじはすごく抽象的な気がします。あの場所のつつじ、この場所のつつじといった複数の記憶が混じり合ってやや抽象的な記憶になっていく気がします。

想起される気分

匂いが記憶を呼び覚ますとすると、それは風景だけでなくその時の気分も呼び覚ましている気がします。
同級生の香水の匂いは、ある意味 青春的な?気分
つつじは、暖かさと新生活の緊張感もある気分
気分も同時に思い起こしている可能性もあるなと思いました。

匂いの主がいない香水という面白さ

NOSE SHOP 「最高級のウード(沈香)を求めて」より引用

「同級生の香水の匂い」のもとは香水ですが、私にとって匂いの発信源は同級生です。そこには、匂いの発信源があります。
つつじの花の匂いは、つつじの花から発せられ、キンモクセイの匂いはキンモクセイの花から発せられます。

しかし、香水は突如現れた匂いの存在です。
ここが、面白いなと思っています。

このただの「匂い」だけの存在から、記憶が立ち上がってくる面白さについて、
よい展示というか、よい体験ができる空間づくりができたらなと思いました!





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