見出し画像

ギターもピアノも、これを知ればコードブックが必要なくなる!【音楽九九】~その3~「テンション編」

こんにちは、ヒロスノウノヲトです^^

このちょっと宮沢賢治チックで、妙ちくりんファンタスティックなクリエイター名の理由はこちらをご覧下さい^^

さて2回に渡って、「コードブックが必要なくなる」スキルの身につけ方についての記事を書きました。

ほんのいくつかのコトを掛け算九九のように丸暗記するだけで、コードブックが必要なくなるだけでなく、音楽性の向上にも繋がります。

僕はこれを【音楽九九】と名付けましたが、まるでお会計時に掛け算九九が口をついて出るような感覚で、作編曲や演奏時にとても役に立ちます。

この記事を初めて読む方は、前回、前々回の話がベースとなってますので、まずそちらから読んで下さいね^^👇

さて今回は、お待ちかね・・・テンション・ノートのお話です!

b9、#11、b13など、テンションと聞くと、それだけでじんましんが出ちゃうほど、難しく感じてしまう人もいるかと思います。

何か覚えきれないほど無数にあるような気もしちゃいますよね。。

でも、テンションは原理原則を知れば、さほど難しくないですし、いろんな音楽を理解できるようになったり、曲を作るにもお洒落なメロディーや気の利いたアレンジが出来るようになります。

ではさっそくテンション・ノートについて出来るだけ噛み砕いて説明させていただきますね^^

まず、テンションの基本は9th、11th、13thの3種類のみです。これらに#やbがつくことがあるので無数にあるように感じますし、ややこしいのですが、まずはこの3つが基本。

ここでは便宜上、すべてCキーで説明させていただきます。
こちらはご存知Cキーのダイアトニックスケール(ドレミファソラシド)。

                |→→→→→オクターブ上→→→→→
1  2  3  4  5  6  7  8    10  11  12  13  14 
ド    ミ ファ  ソ    シ  ド    ミ ファ   ソ    シ
C  D  E    G    B  C  D  E     G    B 

そして、CM7のコードトーンはCEGBで、1・3・5・7でしたね。
(前回、前々回の音楽九九、もうバッチリ暗記してること前提で話します)

そしてC7は、C・E・G・Bbで、1・3・5・7b。
Cm7は、C・Eb・G・Bbで、1・3b・5・7b。

要するにコードトーンは1・3・5・7(もしくはその変化形)で構成されています。

そして、このコードトーンに使われない音である「2・4・6」の音がテンションの正体です。

そしてこの2、4、6のテンションをコードトーンの間に挟んで弾くと、音がひどく濁って聞こえるため、通例はオクターブ上に持ち上げて弾きます。

そんなわけで、テンションは2・4・6とは表記せず、そのオクターブ上、基音のドから数えて9番目・11番目・13番目を意味する「9th、11th、13th」で表記するのが慣例になっているというわけですね。

しかし2オクターブ上で弾いても、16th、18th、20thにはなりません。G7(18)とか見たことないですよね!
(18)って、年齢じゃないんだから・・・笑。

3オクターブ上でも、4オクターブ上でも、テンションは9・11・13になります。これは説明するまでもないかな^^

テンションはコードの種類で分けて考えるとベター

テンションはコードの種類別に考えるととても把握しやすいです。

まずコードの種類ごとに使えるテンションを一覧にしますね。

【M7】・・・・9、(#11)、13
【m7】・・・・9、11(但しⅢm7は11のみ)
【7】・・・・・全てのテンション(b9、9、#9、#11、b13、13)
【m7-5】・・11、b13
※但し、いくつか例外があるので、以下に説明します。

以上の通りですが、いくつか例外と使い方に注意が必要なものがあります。

でもそれらが「なぜ例外なのか」の理由を知ると、スッと頭に入るはずですので、これから説明しますね^^

V7はすべてのテンションが使える

まず知っておいて欲しいのは、b9、b13、#11など、「#」や「b」がつくオルタード・テンションと呼ばれるものは、原則としてV7(CキーならG7)にしか使われません。

音楽は緊張と緩和の連続で出来ています。V7というのは、最大限の緊張のコードなので、気持ち悪さが大事なんですね・・・笑。

ですので、いろんなテンションをつけて、気持ち悪さを増幅させてもOKと把握しておくと良いと思います。

V7以外のコードは原則ナチュラルテンションを使う

こちらも例外はありますが、V7以外のコードには、原則9、11,13のナチュラルテンションのみが使われると把握しておくと良いと思います。

「#」や「b」のつくテンションのほとんどが、その調に含まれない音であるためテンションとして使うと気持ち悪い音になります。

メジャー系コードの11thは、sus4として使う

上記、コードの種類ごとに使えるテンションのM7と7で使えるテンションに11thが入っていませんよね。

これは11thが使えないというよりも、メジャー系コードの11thは、「sus4」として使われると把握しておくと良いと思います。

なぜなら、メジャーコードの3度の音と11th(4度の音)は半音の関係にあるため、大抵は3度を外して、sus4コードとして使います。

Ⅲm7だけ9thが使えないのは何故?

Ⅱm7、Ⅲm7、Ⅵm7とダイアトニックコードの中には3つもm7コードがあります。
・・・なので、曲にも頻出しますから、まずはm7のテンションから覚えちゃいましょう。

m7コードは、基本9と11が使えると覚えます。

ただしひとつだけ例外があります。
Ⅲm7だけは9thが使えません。なぜか・・・

それは、Cキーで考えると、Em7の9thはF#というCキーにはない音だからなんです。

テンションの音を探るには、前々回に丸暗記した各キーのダイアトニック・スケールが役立ちます。(もうバッチリ覚えてますよね^^)

【Em7】のテンションについて考えると
ダイアトニックスケール E・F#・G#・・B・C#・D#・Eから
9thは2番目のF#11thは4番目のだと導き出せます。

・・・ですがCキーの中で、Em7に9thのF#を乗せると、キーに無い音でとても違和感のある響きになります。

しかし、同じEm7(9)でも、Gキーの中で使うのはOK!
なぜならGキーにはF#の音が存在するから。
GダイアトニックスケールはG・A・B・C・D・E・F#・Gでしたね!
すなわち、GキーではEm9はⅥm7になるから、先に話した通り9thのテンションもOKということなんですね。

どうですか?
前々回に、ダイアトニックスケールをそらで言えるようになるまで暗記しようと言ったわけがわかって来たんじゃないでしょうか?

テンションを探るにも、使えないテンションの訳もすべてココに集約されるわけなんです^^

余談ですが、その昔、日本音楽院(後のAMBOX)というところで作曲家の穂口雄右さんに作曲を習っていた時のこと、
穂口先生は口癖のように「Ⅱm7は9th、11thは自動付加、Ⅶm7も9th、11thは自動付加!」と言われてました。

「自動付加」というのはとても乱暴に思えますが、それを真に受けて、作る曲、作る曲、テンションを入れまくったことが、テンションの響きや使い方に慣れることにつながりました。

素人がテンションを使えるようになるには、とても理にかなった教え方だと今になって只々感心するばかりです。

ちなみに、穂口雄右さんは、あのキャンディーズのプロデューサーであり「春一番」をはじめ、一連のヒット曲の作曲者でもあります。
今聞いても、色褪せない素晴らしい曲をたくさん作っていますね^^

m7コードで、13thは使えないの?

m7コードに使えるテンションには13thが入っていませんね。
これは使えないというより、6thとして使われるからだと把握すると良いと思います。

m7コードの7度の音と13th(6th)の音は半音関係にありますので13thの音を使いたい時は7度の音を抜いて6thとして使われます。

たとえばDm7の構成音はDFACでしたね。ここに13thのBを入れるとDFABCで、BとCが半音でぶつかるので、Cを抜いてDm6として使うという感じです。

V7以外のオルタードテンション

「基本、オルタードテンションが使えるのはV7だけと思って良い」と言いましたが、ちょっとだけある例外についてお話しします。

M7コードの#11は使い方に注意

ポピュラーソングでは、M7に#11のテンションはあまり頻出しませんが、もし見かけたら、どのように使われているのか音をじっくり聞いてみて下さい。

IM7の#11が使われるとしたら大抵、エンディングの「ジャラーン」で終わる時。#11の音はキーに無い音なので、何か、不思議な雰囲気でのエンディングとなります。

ⅣM7の#11は、キーのスケールに含まれる音ですが、やはりポップスで頻出するテンションではありませんね。
こうしたテンションを上手に使う方法としてはストリングスやオブリガードなどでこの#11の音を強調したりすると良い効果的が得られるように思います。

Ⅶm7-5のテンションb13のコト。

VIIm7-5はV7と仲間のコードで構成音も良く似ています。
【G7の構成音】・・・・・GBDF
【Bm7-5の構成音】・・BDF

そしてBm7-5のテンションであるb13の音は?
そう、前々回覚えたBキーのスケールからすぐに導き出せますね?!

B・C#・D#・E・F#・G#・A#・B
6th(13th)の音がG#ですから・・・

そうb13は「G」の音なんですね。
ということで、Bm7-5(b13)の構成音は・・・BDFAG

並べ替えると、GBDFA!
そうです、G7(9)になります。

先ほど導き出した通り13thは「G#」ですから、ナチュラルテンションとは言え、Cキーに無い音なので使えません。

でもBm7‐5に「b13」の「G」の音が使えるのは、何となくご理解いただけたでしょうか?

そしてこのコードに9thの音が使えないのも、9thはC#でキーに無い音であるためです。(先ほどのBキーのスケール2番目の音ですね。)

b11thと#13thが無いのは何故?

これについても、念のため解説しておきますね。
9thは「b9」と「#9」があるのに、11thは「#11th」だけで「b11th」が無いのか。

それは、b11thに当たる音は、Cキーだと「Fb」すなわち「E」で、コードトーンである3度の音になるからです。

また#13thは、Cキーだと「A#」すなわち「Bb」でこちらも、m7コードや7コードのコードトーンであるb7の音になるからです。

【補足】dim7コードに使えるテンション

「dim7コード」でテンションを使う機会はあまり無いかもしれませんが、ディミニッシュコード上でこの音使えるのかな・・・と悩んだら、「構成音の全音上の音がテンションとして使える」と覚えておくと良いと思います。

テンション・ノートはすべて必然?!

市販の楽譜を見てみると、Dm7でも十分なのに、Dm7(11)となっていたり、G7で十分弾き語れるのに、G7(b9)となっていたりすることありますよね。

これは大抵、アレンジの中でストリングスだったり、ラッパの音だったりで印象的に聞こえる音がそのテンションになっていることが結構多いのです。

テンションはやみくもに加えれば良いというものではなく、それぞれが曲の様相を決める大事な一音一音なんですね。

・・・なので、楽曲のコードにテンションを見つけたら、このテンションはどの音なのかを注意して聞いてみると良いですし、DTMをやる方でしたら使えるテンションを積極的にアレンジに取り入れて、どのテンションを使うとどんな響きになるのかをどんどん試してみることをオススメします!

今回はちょっと難しい話だったかもしれませんが、前回、前々回の音楽九九を覚えて、今回のテンションのことが把握できれば、まったくコードブックが必要なくなります。

次回は、総仕上げで五度圏のお話をしたいと思います。

はあ~~~~、出来るだけわかりやすく、やさしく書くつもりで、一生懸命頭をひねりましたが、やはり説明するのは難しいものですねぇ。。

2020年12月20日
オーストラリアの小さな音楽工房にて
ヒロスノウノヲト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?