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謎の飲み物「なか&そと」を味わった、神田でのある夜のこと。

東京神田の「その店」に入った後、
メニューを見た私は文字通り首をひねりました。

ドリンクメニューにある、
「なか」と「そと」って……何?

今回は、そんな未知のメニューと出会った神田の居酒屋での物語です。


東京・神田のいわし料理のお店『大松』

東京を訪れた際に、立ち寄ってみたいお店がありました。

それがこちら、神田にある居酒屋『大松』です。


インスタか何かでいわし料理が絶品だと紹介されていて、アップされた料理の写真はどれもおいしそうで、ぜひ東京に行った際は寄ってみたいなーとぼんやり考えていました。

そしてその機会が巡ってきたある日、小雨が降る中、東京の地にいた私は神田駅の近くにある『大松』の前に立っていました。

いざ来てみたものの、立派な門構えから「結構なお値段がするのでは?」とたじたじ。

しかし店内からどうしようもなく漂ってきた海鮮の香りに、すでにがっちり囚われてしまっていた私に抗える術はもうありませんでした。

ええい、失敗しても別に無一文になるわけじゃあるめぇ。
腹をくくって、いざ店内へ!

カウンターに座り、まずはビールを注文。
一品目の料理は……迷った末に「いわしのなめろう」を選択しました。

どうせ挑戦するなら刺身や煮つけよりも、あまりなじみがない食べ物に挑戦してみようと思ったのです。

やがて運ばれてきた「いわしのなめ

でけぇ。

豆腐かよ

私の握り拳とそう変わらない大きさです。
こ、これは食べ応えがありそうだと箸をつっこんでパクリ

~~~~~~~!!!!!

とっろトロ

なんだこれ、めちゃんこうめぇぞ

こまかく叩いたことで究極まで旨味が凝縮されているし、ネギトロのような食感がなんとも心地いい。

お箸でちょっとつまんだだけで旨味と満足感が抜群なので、皿の上のなめろうが全然減りません。むしろ刺身を頼むよりお得だとも感じました。

くそ、あっという間にビールがなくなっちまったじゃねぇか。

次の飲み物は日本酒にしようかな……とドリンクメニューを見た私は、ホッピーの項目に「?」と首を傾げました。

ホッピーはわかるけど、「なか」と「そと」って……何だ?

初めて知る、ホッピーの飲み方

私はそばにいた店員さんに、

「すみません、これってどういう意味ですか?」
「ああ、それはホッピーの追加メニューですよ」
「????」

説明を聞いてもますますわからない。

「とりあえず、飲んでみますか?」と薦められるがままにまずはホッピーを注文。

が、ここで私は今年一番のカルチャーショックを受けました。

出てきたのは瓶のホッピーと、

焼酎が注がれた……グラス!?

そう。

私はこの日まで知らなかったのです。

度数の低いホッピーは、「焼酎と合わせて飲む」ものなんだと。

やべえ。

私今までずっと瓶のまま飲んでたぞ

「なか」とは焼酎、「そと」はホッピーを指し、
「足りなかったらそれぞれ注文してね」みたいな感じ。

なるほど、これが東京……いや、下町流か。

よかろう、郷に入っては郷に従えの精神でチャレンジだ。
満足感がすげぇ

ホッピー+焼酎で量もあるし、麦酒の風味を楽しみつつもガツンとパンチ力も抜群。

やべえ。
新たな楽しみを知って、盛りあがってきたぞ。

すっかり盛り上がった私は、ここで追加の一品を頼みます。

ここのいわし料理がおいしいことは、すでになめろうで証明されている

次に頼んだのは「いわしの煮つけ」です。

……

おいおい。

身が少々、ちっちゃいんじゃな~い?

まったく、この量でなめろうと変わらない値段とは――パクリ

舌のうえでとろけちゃったあああ

身が甘々すぎて、脳みそまでとろけちゃうううう

よしわかった。

ここのいわし料理がおいしいことは、よーくわかった。

こうなったら徹底的に人の手が加わったものも食してやろうじゃないか!

というわけで最後につくねを注文しました。

さてお味はいかが。

溶けたんだけど

ちょっと待って、ごつごつと弾力があるのがつくねじゃなかったっけ?
つくねって、舌の上で溶ける食べ物だっけ?

もうこの席についてから何度絶句したかわかんない……

ごちそうさまです!

半端ない満足感に包まれながら店を出た私。

あともう一軒どこか寄ろうかなと思っていたら……

神田駅前に、また『大松』がありました。

え、しかもこっちは立ち食い寿司……?

もう一つの『大松』で味わった、一期一会の"おいしい"立ち食い寿司

おいしいお酒と料理にすっかり舞いあがっていた私は、「寿司で〆だ!」と突撃。

カウンターに立ってメニューを見て驚愕。
え、100円台からお寿司があるのですが!

とにかく気になったお寿司を注文。
くあー、ほどよく脂がのってうめええええ。

関西ではあまり食べたことがなかったコハダにも挑戦。
この味わいはなるほど、関東の鯖寿司だな

絶品かつリーズナブルなお寿司の数々を味わっていると、ごとりと味噌汁が置かれました。ん? お通しかな?

「あの、お味噌汁は注文してませんけど」
「これはサービスです」

いやいやいや。
いわしとかハマチの身やあらがどっさり入っているんですが。
そして箸休めにマッチした優しい味わいなんですが。

あとでレシート見たら、本当にサービスでした

そしてお寿司も、先ほどの『大松』で味わったいわしを追加注文。

ああ~~~!!
舌の上で一瞬で溶けやがった。

ついでに立山の冷酒を注文

店主さんに訊いたところによると、さきほど訪れた『大松』とここの立ち食い寿司『大松』は同じお店とのこと。
そしていわしは北海道から仕入れているのだとか!

「へー、北海道か!」と唸る隣のお客さんといつの間にか「おいしいね!」と意気投合。

出身地の話になり、「滋賀から来ました」と話すと、別の席にいたお客さんが「私も滋賀なんですよ!!」と会話に参戦!

そのままカウンター中のお客さんを巻き込んで、関東のことや郷土の話でわいわい盛り上がりました!

気づけばお客さんはもちろん、
店員さんたちも笑っていて、
小さな店内は笑顔で満席になっていて。

そんな面白い空気の中で味わうお酒が、どんなに美味かったことか。

いわし料理やホッピーや、お寿司もおいしかったけれど。

きっと"おいしい"って、食べ物の味だけなんじゃないと思う。

あの時感じた"おいしい"は、あの日あの場かぎりで、多分二度と味わえない。

そんな一期一会の"おいしい"の楽しさを教えてくれた、東京・神田のお店『大松』でのひと時を楽しんだ後、帰路につくべく東京駅に向かいました。

東京駅に着いた後も雨は降り続いていたけど、心はずっと、晴れやかでした。


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