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ふるさとの山

石川県生まれの文筆家・深田久弥は、著書『日本百名山』にこう記しているそうです。

『日本人は大ていふるさとの山を持っている。(中略)どんなに世相が変っても、その山だけは昔のままで、あたたかく帰郷の人を迎えてくれる。私のふるさとの山は白山であった。」

深田久弥『日本百名山』

私にとってふるさとの山は、三つあります。
まずは"近江富士"である野洲市の三上山でしょうか。

三上山

昔から毎日のように見てきた山でもありましたし、県外から帰るたびに、たとえ家に帰り着くまでまだまだ時間がかかりそうでも、車や電車の車窓から三上山が目に入ったたびに、「ああ、やっと帰ってこれたな」と安堵します。

でも最近は、滋賀県の湖北に佇む伊吹山にも同様の感情を抱くようになりました。

伊吹山

東海道新幹線の車窓からも見え、また最近はそれこそ深田久弥の出身である北陸を行き来する機会も増えたので、滋賀に帰ってくる際に北陸本線の車窓から伊吹山が見えた時は、三上山を見た時と同じ気持ちに浸るようになりました。

そしてそれらの山に負けず劣らず、故郷を離れても心に残り続けている山といえば比良山系です。

比良山系

湖西に壁のように立ちはだかるのも、不思議と圧迫感はなくて、3月の今ごろの季節は雪化粧を施した美しい姿を滋賀の雄大な自然ごしにのぞむことができます。

冬の夜に車で走っていると、頂上にある「びわ湖バレイ」スキー場のナイターの明かりが星座のように光っていて。

ときにその光を目指して帰路についたこともありました。

滋賀県は琵琶湖のイメージがありますが、名峰と呼ぶべき山々がぐるりと取り囲んでいる土地なので、どの地域にいても何かしら特徴的な山々を生活の中で見ることができます。

そういう山が当たり前にある土地で育ったせいか、最近他県に赴くたびに何か印象に残った山を見かけると、「あの山はふるさとのシンボルとして、この土地の人の目にはどのように映っているのだろう」と妄想するのが楽しみです。

大山(鳥取県)
開聞岳(鹿児島県)

みなさんにも、長旅や仕事を終えて帰ってきたときに見るとふっと心が安心するような、ふるさとの山はありますか?





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