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全ての声をあげ、歌え

3連休。6月19日はJuneteenthという祝日。1865年6月19日の奴隷解放を記念した日。全国的な祝日になったのは2年前から。ダウンタウンではささやかなイベントが行われていた。イベントが始まった数年前は運営が3人だけだったが、年ごとに大きくなっているらしい。スピーチ、歌や踊りにソウルフード屋台まであった。新しい祝日のせいかどこも仕事が休みというわけではないらしい。私の会社も今年から休みになった。『Lift Every Voice and Sing(全ての声をあげ、歌え)』。黒人の国歌と言われるこの歌もきけた。

強制や隷属からの解放。みんなが平等なら、幸せを行儀良く待っていればいつかは訪れるかもしれない。だけどスタート時点から搾取されるだけの立場ってことが当たり前にあった。ダウンタウンでイベントや私の地味で平和な休日も、そんな前提をひっくり返してきたとてつもない闘いの上に成り立っている。声をあげて主張することというのは人間の生存にとって本当に大事なことなんだと思う。

カタコトの英語だったりアジア系の見た目だからか、お店やスーパーで雑な扱いを受けることがある気がする。大抵は些細で、そして一瞬の出来事なので相手に真意を確かめたことは無い。勿論自分の考え過ぎかもしれない。日本に一歩戻れば人種的には圧倒的な多数派。私も差別や不平等の再生産を行いうる立場にあるし、それに加担してはいけないと思う。

休日といえば、学生時代の友人が家族で遊びに来てくれた。初めて会ったのが20年以上前なんて信じられない。お互いに立場や生活環境、考え方も大分変わったと思う。卒業以来会ってない時間のほうがもう圧倒的に長い。友人にはアメリカで生まれた子どももいる。関西弁で無邪気に、そしてかなりワイルドにはしゃぎ回る6才児女性。彼女が暮らす都会とは違う。親の静止を振り切って今という時間を目一杯楽しんでいる。私もついつい一緒にはしゃいでしまった。わざわざ遠くから会いにきてくれたことに感謝。

英語上手だね。褒めると「え〜?そんなこともないけどなあ」と冷静で客観的な大人っぽい答えが返ってきた。生まれた直後から文化の間を行ったり来たり。安心しきって無邪気に遊び回っていても、私にはわからない大変さがたくさんあるんだろう。会うたびに成長し、できることを増やしていることに驚かされる。他人からどう見られるかとか、英語の発音がどうかとか、それはそれで重要なのだけど、自分の気持ちに正直に向き合い、声にしてゆくこと。この姿勢がとても大切なんだ。6歳児の女性とJuneteenthから学ばせて頂いた。


アフリカ系アメリカ人のソウルフード、フライドチキン、カラードグリーン、マックアンドチーズにコーンブレッド。ヘビーでオイリーでソルティだがたまに食べるのならいいと思う。美味しかった。


ハイキングにも行った。めちゃくちゃ日焼けした。マンガみたいにひょっこり頭を出した鹿がこっちを見ていた。


みんなで牡蠣も食べた。美味しかった。Salty! 発音バッチリの6歳児女性にはまだ早かったみたい。またいつかね。


※Lift Every Voice and Sing。いろんな人がいろんなアレンジで歌っているのも面白い。ゴスペルやブルーズが憂鬱や哀しみから魂を解放する音楽なのだから、いろんなバージョンへの逸脱は、型通りの歌を自分なりに解放してゆく過程なのかもしれない。


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