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ライカかライカ以外か

唐突なローランド節から今回始まりました。
ライカ と言ったらキャンディッド!と思って朝から家の近くで写真を撮ってたら、通勤してる嫁をキャンディッドしてしまったhirotographerです。
「おい、やめろ」とレンズを塞がれたところで本日の撮影が終了しました。
遠目の一枚がギリ残っていますがこれを #嫁グラフィー としてSNSに載せた先に幸せはあるのでしょうか?・・・NE-YO!!

絶対の狂気

さて、新しいカメラを買うとご多分に漏れず、それに関連した雑誌やムックを読みたくなってしまうというのは世の常、フォトグラファーの常。もはや散財=死に至る病が常態化している私はさっそくライカ 関連の本を探し始めました。
ところが良い時代になったものでKindle Unlimitedで「ライカ 通信」なるものが無料で10冊くらい読めちゃったりします。

さて一般的な常識を持つ人間であれば「絶対ライカ」などというタイトルに既にしてそこはかとなく潜む狂気を感じるものです。
絶対王政、絶対に儲かる投資手法、絶対無敵ライジンオーなど、絶対のワードがつくものはどれも信用ならないことは歴史が証明しています。
逆に聞きたいのですがガチもんのライカユーザーはこのタイトルにほくそ笑みながらKindleを開くのでしょうか?想像するだけでちょっと怖いです。
少し悪寒がしたのでこちらをそっと閉じ、尚も検索を進めると以下の雑誌を見つけたので即ポチしました。

「ライカで撮る理由。」

いいです。とてもいい。「絶対ライカ」のような押し付けがましさや他者への攻撃性などは一切見られず、あくまで「自分の場合は」とカッコ書きでエクスキューズがついてそうなタイトル。Twitterでもやたら主語がデカい人々が唯一絶対の価値観を拠り所に日々争い続ける時代の中で、もはやオアシスのような安堵感。極東の日出づる国ジャパンにもじんわりと宿りつつあるダイバーシティの息吹を感じます。表紙も先ほどの「絶対ライカ」でのLeicaの真紅の刻印を見せつける押し付けがましい表現からM10-Pの控えめな印象に。そこをサファリモデルのグリーンの個性でギリギリバランスを保つという、考え抜かれ、洗練された大人のデザインです。

・・・ただ、騙されてはいけません。
これらの「ライカで撮る理由」なるものは翻ってすべてライカを買ってしまった言い訳であることは前回の私の記事からも火を見るより明らかです。

私個人のnoteなどというヌルい無料web媒体などではなく、有料の雑誌一冊まるまる使って繰り広げられる言い訳とは一体どれほど罪深いものなのか・・・「オラ、ワクワクしてきたぞ!」心の中の孫悟空が歓喜の声を上げています。
ただ、この心のリトル孫悟空はライカを買った時も「でぇじょうぶだ。ドラゴンボールで生きかえれる」などとささやいてきたので本当に信用できません。

さて翌日到着した雑誌を開いてみると「別冊付録」として
「ようこそ、新宿 北村写真機店へ」という冊子がポロリと落ちてきました。
別冊付録・・・?どうみても広告です。
ステルスマーケティングならぬ、雑誌に張り付くコバンザメマーケティング。付録の体で広告をうつとはまさに「カメラの皮をかぶった高級時計」のライカにふさわしい展開であることは敵ながらあっぱれと認めざるを得ません。

「さて、その実力や如何程か?」と軽い気持ちでさらっとめくってみたページにはサファリカラーのライカM10-Pの画像があり、その横に添えられている文章に私は戦慄を覚えました。

別冊付録 第一の闇

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この組み合わせは普通では物足りない人に最適です。
使い勝手に優れたプロスペックのライカを持つ喜びと、
裸でぶら下げて注目を浴びる快感を味わってみてください

「裸でぶら下げて注目を浴びる快感???」
これは弁解の余地もないほどアウト of アウトです。

まさか「ギリギリカメラで隠れているかセーフ」などと見えすいた言い訳でもするつもりでしょうか?それではいつまでたっても肝心の写真を撮ることができないではないですか!?・・・文字通り衝撃の展開です。このぶら下げキャンディッドで一体どんな絵が撮れるか?周囲の反応含めちょっと気になってしまう自分が情けない・・・いやいや、冷静になってよく考えると隠すだけの長さのあるストラップが思いつきません。困ってしまった客に後から高額で売りつける気なのでしょう。文字通り商機、いや正気の沙汰ではないです。なお購入時にレシート上の表記がストラップなのか下着なのか気になるところではあります。
よしんばストラップが見つかったとしてもご本人のサイズがズミクロンなのか?はたまたノクチルックスなのか?・・・ってうるさいわ!こんなライカ・ハラスメント許されて良いのでしょうか?
一応「普通では物足りない人」というゾーニングをしているつもりでしょうが、いろいろなゾーンをデリケートにはみ出してしまっています。

この別冊付録の破廉恥なることはこれだけにとどまりません。

別冊付録 第二の闇

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ライカとの出会いを、コンシェルジュがサポート

何を言っているんでしょうか。結婚相談所のような書きっぷりです。
控えめに言って狂っています。
サポートの結果、ライカと結婚することになったら一体結納金はいくらかかるんでしょうか?少し照れた感じで「どっちの姓で婚姻届出す?」と話切り出したものなら「絶対ライカ」とか即レスで言い出すことが想像に難くありません。ちなみにLeicaの冠詞はドイツ語ではDas、つまりは女性名詞となりますので、基本的には「ライカは俺の嫁」と理解するのが正しいですが、この文脈に関しては非常にセンシティブなため、どちらなのか、はたまたどちらでもないのか、については読者のみなさんのご判断と想像にお任せしたいところです。そして本文ではさらに以下のように畳み掛けます。

「ボディとカメラのマッチングが醸し出すワクワク感を味わっていただきたいです」

一見控えめな表現に見えますが、先ほど「裸でぶら下げて注目を浴びる快感を味わってみてください」などとセクハラを教唆していた冊子の言葉です。
決して言葉のまま捉えてはいけないことは火を見るより明らかです。
ボディとカメラのマッチングが意味するところ、カンの良い読者の方々であればお察しのとおり「合体」の隠喩です。どうやらお金のやり取りも発生するようなのでこれは明らかな斡旋行為です。「アヴェンジャーズ、斡旋振る!!」と今度は心の中のリトル・キャプテン・アメリカが叫んでいます。うるせぇよ。大騒ぎです。そして悟空どこいった。そして極め付けはこれです。

別冊付録 第三の闇

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「リアルな街なみを空撮目線で追いかけるのは快感」

などとどんな上から目線だと言いたくなるスノッブなコメント。
みているとだんだんと「天空の城ラピュタ」のムスカ大佐を彷彿とさせます。
一応広告という体なので「快感」とソフトな書きっぷりに修正されてはいるものの、実際には「見ろ! 人がゴミのようだ! 」という傲岸不遜な例のセリフを間違いなく言い放っている顔です。

しかも、そんなに空撮したいのであればライカをドローンに載せればよいのです。
万が一落下や紛失の場合はTwitterで『Leicaをドローンで飛ばしたら落下してリアル「バルス」になったわwww』などとつぶやけば万バズ保証間違いなし!

さて、いかがでしたか?いかがわしかったですか?
たかが別冊付録を数ページめくっただけで恐ろしいほどにライカの闇をみてしまった気がするのは私だけでしょうか?さすがにシャドウがリッチなだけあって本当に闇が深いですね。

別冊付録だけで3000字近く使ってしまったので、本誌はまた次回以降になります。よかったら、スキなど各種ボタンをポチッとしていただけると今後の励みなります。それでは。


いただいたサポートはライカの金利に全力有効活用させていただきます。