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「Hirotomusicと読書」第2回 「私たちが好きだったこと」宮本輝

「Hirotomusicと読書」第2回 

「私たちが好きだったこと」宮本輝

この作品は自分が初めて手に取って読んだ宮本輝作品。

去年は思い返すと宮本輝作品をずっと読んでいました。

間違いなく自分にとって宮本輝さんはall-time favoriteの作家です。

あらすじを紹介します。

工業デザイナーを目指す主人公の北尾与志が倍率76倍の高層公団マンションに当たり、大学からの親友で世界中の昆虫を撮る、通称、ロバこと佐竹専一とそこで同居することにし、その祝いにバーで祝杯をあげにいくと、そこで、隣の席に座っていた柴田愛子と荻野曜子と意気投合する。
翌日、与志とロバが目を覚ますと、愛子と曜子が荷物を抱えて、急に2人の住むマンションに引っ越してくる。

当然、与志とロバは驚くが、愛子と曜子が言うには、昨日の夜、シェアハウスをしていたマンションを出なければいけなくなった愛子と曜子に同居しても良いと、与志とロバが了承したと告げられる。

こうしてこの男女4人の不思議な共同生活が始まる。
彼らの関係は後に愛情に変わり、日々訪れる困難に全員で立ち向かっていく物語。

この作品に出てくる人物たちは皆んな良い人です。
特に主人公の与志はバカのつくほどのお人よしです。
僕は読んでいる途中で、どうしてこんなに人を許せるんだろうって思ってしまいます。

私はこの作品の持つトレンディドラマのような世界観と、この作品に出てくる4人の男女のとても人間らしい部分に触れるのがとても好きです。
また、愛子は作中で複雑な生い立ちが原因で、パニック障害、作中では発売当時の言い方で不安神経症を患っていて、その病の苦しみや発作について描かれているシーンが多々あります。
実際に作者の宮本輝さん自身が、パニック障害で会社に通えなくなったため、作家に転向されたという経歴を持っていらっしゃいます。だから私は、この愛子のキャラクターは宮本輝さんにしか書けないものなのだろうなって思います。

この作品は与志がロバと愛子と曜子と暮らした日々の回想としてストーリーが進められます。お金とか地位とかそんなものではなく、ただひたすらに人のためにがむしゃらに日々を過ごす、一見、バカがつくほどのお人よしが上手いこと使われただけなのではないかと言われるかもしれないですが、与志にとって、その日々はまさに青春だったのだろうと思います。

とにかく私は、この作品で宮本輝作品にハマり、すっかり宮本輝作品の愛読者になりました。

今回の「Hirotomusicと読書」は以上です!
最後まで読んでくださりありがとうございました!

最後まで読んでくださりありがとうございます。
実は僕はフリーでシンガーソングライターの活動もしておりまして、YouTubeに自作の曲を投稿しています。よかったら聴いてみてください!

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