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【吃音】就学前の子の訓練はできない?成長するまで待つしかないのか?

「まだ小さいから、訓練はできないですし、様子をみましょう」

このように言われた経験のある方も、中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

幼児期は、身体・認知・言語・情緒など、全ての面で発達途上にあります。
「滑らかに話す」という能力においても同様です。
そのため、「滑らかに話す」能力がよりよく発達するよう、指導の場や家庭での環境づくりが必要になります。
整えられた環境の中でスムーズに話す経験を増やすことが、スムーズに話すための脳内の神経ネットワークを強くすることにつながり、吃音が軽減していきます。

では、就学前の子の訓練は行えないのでしょうか?

答えは NO です。

具体的な指導としては、
環境調整
「滑らかに話す」体験を増加させるような環境の調整、親の不安を取り除く
・直接的指導:
子どもに「滑らかに話す」モデルを示す(発話モデリング)
遊びや課題の中で子どもが「滑らかに話す」ように誘導する(発話誘導)

この2本柱で実施されることが多いです。

直接的指導は、発話のモデルを示し続け(接する側がやってみせ)、モデルとなる話し方に徐々に誘導していく訓練法(治療法)です。

当院の吃音外来でも、一番小さい子で2歳児が相談に来ています。
机上(椅子に座って行うもの)での訓練は、集中力も続きにくく、確かに難しいかもしれません。
しかし、遊びの中でだったり、興味のあるちょっとした課題(しりとりなど)をやりながら、その中で訓練的要素を織り込んで行っていくことは十分に可能です。
年齢が小さいから訓練が全くできないということはないのです。
要は、やり方です。

また、海外での新しい取り組みとしてとしては、リッカム・プログラムによる治療研究が多く報告されています。
滑らかに話せたときに「なめらかに話せている」ということを子どもに伝える。吃音が生じたときは、子どもの負担にならない頻度でもう一度なめらかに話すことを促す。指定の研修を修了した言語聴覚士の指導のもとで、これらを家庭にて親に実施してもらうというものです。
詳しい内容は、下記のリンクをご覧ください。

https://note.com/kiku618/n/n03bbd9e1876c

成長するまで待つのではなく、たとえどの年齢であっても、心配や悩みを感じたときが相談するベストなタイミングで、相談する時期に遅い早いはないともいえます。
また、本人にも家族にも、スムーズになる話し方、正しい知識や心構えを知ってもらうことが、改善への近道といえると思います。

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