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【吃音】合理的配慮と障害者手帳について

合理的配慮


2016年から「障害者差別解消法」が施行され、不当な差別的扱いや合理的配慮についての内容が記載されました。
これは、吃音においても有効で、障害者手帳を持っていなくても、この法律の対象となります。

不当な差別的扱い:本人の同意なしに、発表などをさせない、発言や音読の順番を飛ばす、など
合理的配慮をしない:助けを求めたり、配慮についてのお願いをしているにも関わらず、手助けや配慮をしない

幼稚園・保育園、学校、会社などに、合理的配慮をお願いしていくことができるようになりました。


また、2014年からは英検に吃音症の配慮が追加となっており、どもっても最後まで聞く・待つ、時間を多めに取るようにするなどを試験の担当者にお願いできるようになりました。

英検で合理的配慮をお願いしていくためには、診断書(というより報告書)が必要です。
英検においては、指定のフォーマットがありますので、その内容に沿って記載します。
この報告書は、医師が記載しても大丈夫ですし、学校の先生や言語聴覚士が記載しても大丈夫です。
(私が担当をしているケースでは、学校の先生が記載しました)
ちなみに、入試の面接試験の際にも合理的配慮をお願いすることができます。
入試の面接試験においては、医師の診断書が必要となります。

合理的配慮の報告書や診断書を提出する際の注意点があります。
それは、必ず応募時の書類に添付することです。
受験当日や応募書類を出してしまってからでは、報告書や診断書を受理してもらえず、合理的配慮をしてもらえませんので、ご注意ください。

そして、試験や面接に対する対策・練習を実施していくと、より効果的かと思います。
もちろん、試験当日の合理的配慮が必要なければ、提出しないのもひとつの方法です。


吃音でも障害者手帳の申請は可能


吃音でも、身体障害者手帳と精神障害者福祉手帳の申請が可能です。

身体障害者手帳は、吃音によって日常生活が送れない状態でないと、申請は難しいといえます。
また、第15条の指定医でないと、診断書および申請書の記載ができません。
一方、精神障害者福祉手帳は、吃音で悩んでいたり、困難を感じていれば、吃音症状の程度に関わらず申請は可能となっています。
しかし、吃音単体では申請が通らない自治体もあり、社交不安障害やうつ病などの精神面の診断が必要となる場合が多いです。
身体障害者手帳よりは、精神障害者福祉手帳のほうが取得しやすいといえるでしょう。

また、障害者手帳は、取得したら必ず使用しなければならないというものでもありません。
取得後に使うか使わないかはあなた次第です。

結構、勘違いをされる方が多いのが、“障害者手帳を取得すれば、就職もしやすくなるし、合理的配慮もしてくれる”という考え方です。
一般職での就職においては変わりませんが、障害者枠での就職はしやすくなると思います。
また、手帳は「吃音」や「精神疾患」であることを証明するだけのものであって、合理的配慮をしてもらうためという目的に使うのには効果が弱いといえます。
入社後に合理的配慮をしていってもらいたい場合には、情報提供書(いわゆる公式な「手紙」)のほうが有効です。

精神障害者福祉手帳については、基本的に2年ごとの更新となります。
手帳の取得(再取得)のためには、発達検査等を実施し、医師に診断書ももらわなければならず、2年ごとにこれらの手間が発生します。

障害者手帳を取得するデメリットももちろんあります。
それは、自分で障害者というレッテルを貼ってしまうということです。

障害者手帳の取得においては、よく情報収集をし、専門家と相談をしながら、本当に取得をすべきかどうかを検討するとよいかと思います。

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