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【台湾の面白い建物】臺北表演藝術中心(その一)


MRT劍潭駅前でずっと工事中だった台北表演藝術中心(Taipei Performance Art Center)が、2022年夏に竣工しました。しかし、工事の期間が長すぎたのと、この外観に関してまるで火鍋だなどと揶揄されていたので、あまり気乗りがせず、ずっと見に行ってませんでした。
一年経った2023年夏のウィークデーの休みに、思い立って見学に行ってきました。そうしたところ、想像以上に刺激的で魅力的な空間でした。改めて素晴らしい建物だと感心しました。
設計者はレム・コールハース。オランダを拠点に世界的に活躍している著名な建築家です。

まずこの外観です。立方体のヴォリュームの三方に、異なった形の劇場がかみ合って空中に浮いています。これは劇場計画のセオリーとしては、とてもイレギュラーな解決手法です。普通はホワイエを片側にまとめ、バックヤードを反対側に配置し、配列に並べる計画になります。この様な配置計画とするからには、客席はそれぞれ外側に張り付く様に計画し、舞台を中央に置かないといけません。すると3つのホールの舞台の全てが中央になります。内部の配置と断面がどの様になっているのか詳しいことは分かりませんが、とてもアクロバティックな計画であることは間違いありません。


その立体的な処理の解決の一環として、2つのホールは中央のステージを共有して繋げて利用ができる様になっているそうです。これはコロンブスの卵と言うか、3段に重ねるわけには行かなかった苦肉の策とも思えます。

この建物は、足元周りをオープンに使えるようにしてあるのも大きな特徴です。建築家はこの敷地の特徴、狭くて近くに士林夜市があり、とても人の動きの多いところであることから、このパフォーマンスセンターが市民の憩いのスペースになる様、一階と二階は市民が自由にアクセスできる様に計画したのだそうです。そのため、車のアクセスは直接2階に行くようになっており、一階周りは歩行者スペースが主になっています。

外観からだけでも、この様なことが読み取れます。これだけでも、一般の劇場施設とは大きく異なった設計であることが分かります。

南側外観。こちらは大劇場です。
西側外観。こちらは搬入と避難の動線と思われます。
一階は歩行者に開放され、車両は2階に導かれます。
この床の円が建物の中心性を表しています。
球劇場越しにMRT劍潭駅を見る。
藍盒子(Blue Box)の佇まい。
エントランスに設けられたミニステージ。
劍潭駅から球劇場見る。
こんな形の建物は、やはり特別です。

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