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台灣華語のスラング(その二)

台湾華語のスラングヴォキャブラリー、第二弾です。
これは、ネタにしようと気をつけていると、いくらでも出てきますね。

【囤房族】

これは、既に"建築"のマガジンで紹介しています。"囤"の文字が"抱え込む"とか"囲う"という意味になり、マンションの部屋を資産として複数所有している資産家のことです。
この様な、資産として不動産を投機案件として所有し、値上がりを待つわけです。この様な、日本では1980年代のバブル前期と同じ様な価値観でいる、不動産資産家のことですね。

【壁癌】

"壁の癌"、言葉通りに受け取るとその様な意味になります。言葉のイメージから、壁に現れる不具合のことだろうとは想像できます。しかし、それが具体的にどんな問題なのかは、台湾の建物の外壁の工法が分かっていないと理解できません。

台湾の住宅の大多数は、最近はコンクリート構造で作られています。そして、工法は外壁はタイルが多く、内装はモルタル下地の上に塗装です。日本の様に内壁に断熱材を用いた、その上に石膏ボードを貼りクロスで仕上げるというふうにはなりません。
その様な外壁の工法の場合、外壁から湿気がコンクリートに伝わり、内装のモルタル下地に影響することがあります。特に北部の湿度の高い状態が長く続く地方ですね。
そうした場合に、内装のモルタル下地に湿気が溜まりそこからカビが生えて黒くなったり、クラックが入ったりします。この様な状態になることを"壁癌"と表現するわけです。

【蛋黃區、蛋白區、蛋殼區】

これも不動産に関する言い方です。

街の中心で、利便性が高く商業利用されているような退化を"蛋黃區"と言います。蛋黃は、卵の黄身の意味ですね。
街の中央からは離れるが、住居地区としては充分発展している地域が"蛋白區"になります。蛋白は卵の白身ですね。
最後の"蛋殼區"は、住居地区の最も外側の地域、辺境にあたる部分です。日本語では卵の殻の意味ですね。

このように卵にかけて、不動産の用地のことを表現する言い方があります。

【蟑螂車】

この言葉は、会社で電気自動車の話題になったときに使われていました。"テスラ"のオーナーになった友人が、この車の作りを評して"蟑螂車"と言ったそうなのです。車の外装がとても薄っぺらく、堅牢には見えないという印象を、“ゴキブリカー"と言っているわけですね。
どれだけ普及している言い方なのかは分かりませんが、テスラの電気自動車をゴキブリにしてしまう辛辣さは、なかなか台湾人らしいです。

【用膝蓋想也知道】

これは、相手の考えのなさを罵る言葉ですね。直接訳すと、“膝を使ってさえ分かるよ"ということになります。ニュアンスとしては、"どんなバカでもそのくらいのことは分かる"という感じでしょうか。

【金魚的腦袋】

他に相手の記憶力の無さを、"金魚腦"という言い方もよく聞きます。巷では、金魚は物事を3秒しか記憶できないと言われているらしく、言っても言っても同じ間違いを繰り返すような相手を、陰で罵る言い方ですね。

【做電燈泡】

これは、友達3人で遊びに行ったら、自分以外の2人が実はカップルで、2人だけの世界に入ってしまっており、自分がお邪魔虫になっているようなときに使われます。
直訳すると"電球になる"になるので、それがどのような経過を経てそのような意味になるのかはよく分かりません。

【大餅】

これは、大きな獲物、巨大な利益をあげられる仕事などの比喩として使われます。プライベートカンパニーの仕事でも、国の主導する事業でも同じ様なニュアンスになります。
日本語で"絵に描いた餅"と言うと、否定的なニュアンスが強くなると思いますが、中国語では目の前にぶら下げられた餅は、先にとったが勝ち様な意味合いで、どちらかと言うとポジティブなイメージがある様です。

【凍蒜】

この言葉は、選挙シーズンになるとあちらこちらで叫ばれる言葉です。中国の発音は"dong suan"、聞いていると、"トンスアン"と叫ばれています。
これは、漢字の意味は全くなく、発音された言葉が日本語の当選"トウセン"に近いので、これに"凍蒜"をあてて使っています。

【鐵馬道、鐵馬驛站】

先日、台中の"后豐鐵馬道"に行ってきました。この場合鐵馬道はサイクリングロードを示します。ですので、"鐵馬"は自転車を示します。
この鐵馬は、元々は台湾語で"オートバイ"の意味なのだそうです。しかし、現代の用語ではオートバイに限らず、自転車の意味でも使われています。
鐵馬驛站は、サイクリングステーションになりますね。

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