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【音楽を図版で分析する】ハーモニーの仕組み

前回、様々なスケールを考える枠組みを図版にしてみましたが、今回はハーモニーの考え方を図版化してみます。
ジャズの勉強をするとCircle of Fifthという概念があって、円を12等分してコード進行の分析をしますが、ここでは円を使ってハーモニーを構成する12音を表し、それにより分析します。仮にCをルート音とするハーモニーを考えます。


基本的な音程

短3度音程
図では90度の位置にきます。暗いイメージを持つ音程です。

長3度音程
図では120度の位置にきます。明るいイメージを持つ音程です。

完全4度音程
図では150°の位置にきます。これは完全音程となり、強い調性感を持ちます。

トライトーン
図では180度の位置にきます。対角線の位置なので図版上非常に分かりやすいです。分かりやすさとは逆に、不安定な音程とされています。

完全5度音程
図では210°の位置にきます。これは完全音程となり、強い調性感を持ちます。

増5度音程
図では240°の位置にきます。

基本的な4声和音

ここでは、4音で作られる基本的な和音を図版化してみます。

Major 7th
ルートと5度、長3度と長7度がそれぞれ完全5度音程となっています。二つの完全音程を持っている安定した響きのハーモニーです。

Major 6th
ルートと5度が完全5度音程、長3度と長6度が完全4度音程となっています。二つの完全音程を持っている安定した響きのハーモニーです。

Minor 7th
ルートと5度、短3度と短7度がそれぞれ完全5度音程となっています。二つの完全音程を持っている安定した響きのハーモニーです。

Minor 6th
ルートと5度が完全5度音程、短3度と長6度がトライトーンとなっています。あまり指摘されていないことですが、このハーモニーにはトライトーンが含まれています。

Minor Major 7th
ルートと5度が完全5度音程、短3度と長7度が増5度音程となっています。

Minor 7♭5
ルートと減5度がトライトーン、短3度と短7度が完全5度音程となっています。ルートと減5度のトライトーンが特徴です。

Diminished
ルートと減5度、短3度と長6度のどちら共がトライトーンとなっています。どちらもトライトーンというのが特徴です。図形としては正方形という非常に安定した形になります。

ドミナント系の和音

次にドミナント系の和音を図形化してみます。

7th
ルートと5度が完全5度音程、長3度と短7度がトライトーンとなっています。

7th♭9
この和音は、ルートを除くとDiminishの形になっているのが特徴です。従って2つのトライトーンを持ちます。

7th♯5
これは、Augumentコードに短7度音程が加わった形ととらえることが出来ます。完全音程を有しないために、調性感が希薄になります。

7th♭5
ルートと減5度、長3度と短7度のいずれもがトライトーンとなっています。ですので、この和音も非常に不安定な響きになります。そして完全音程がないために、調性感が希薄になります。図形としては長方形になり、これも安定した形です。

その他の和音、スケール

最後に上にあげなかったけれども、図形として面白くなる和音をあげます。

Augment
長3度に増5度を積み合わせた和音です。円の図形で表現すると正三角形になっています。

Whole Tone Scale
全音音程を6つ重ねたScaleです。円に表現すると正六角形になります。考えようによってはAugmentの形を2つ重ねたとも見えます。

Combination Diminished Scale
Diminished Scaleを2つ重ね合わせた形になります。図形にすると四角形の角を削った八角形になります。

図形化することで直感的に分かるようになったこと

図形化すると、均等に分割して形としてキレイなものになると、ハーモニーとしては不安定さが増すという傾向が見出せます。
対角線上にある音程はトライトーン、正三角形はAugment 、正方形はDiminishになります。少し複雑な形になると、Whole Tone Scaleは正六角形で3つのトライトーンを持つ形、Combination Diminish Scaleは八角形で4つのトライトーンを持つ形となります。
これらのハーモニーやスケールを使うと不安定な浮遊感のある響きを作ることができます。

そして安定的な完全安定を持つハーモニーは、150度あるいは210度の音を使うので、形としては常に歪になります。音楽の進行としては、この整形な形から歪な形へと解決していくという動きになります。
例えば、Combination Diminishがさまざまな長調や短調に解決できるというのは、さまざまなトライトーンを含んでいるので、どのような形の安定的なハーモニーにも動くことができる。そういうことだと分かります。

また、完全5度を外した♭5thとか♯5thの7thコードというのはWhole Tone Scaleからの音の借用と考えられ、その特殊な響きの由来と意図するところが理解できます。



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