ダルマ

仏教好きの素人によるnoteです。特に古代インドの原始仏教〜大乗仏教が好きです。更新は…

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仏教好きの素人によるnoteです。特に古代インドの原始仏教〜大乗仏教が好きです。更新は気まぐれになると思いますが、よろしくお願いします。 ※「クリエイターへのお問い合わせ」について基本的に返信は行いませんので、予めご了承願います。

マガジン

  • 【良い小説良い哲学】~「良い小説」と「いい話」を峻別しよう党

    • 997本

    いい話が世の中溢れています。それはとても良いことだと思います。でもいい話と良い小説は違うのです。いい話は勧善懲悪の水戸黄門です。小説とは美を表現するもの。きれいな小説でもない。じゃあなんだ。それを追求するマガジンです。

  • 私(ダルマ)の仏教理論

    私(筆者)の考え等に関する記事を主にまとめたものです。

  • 上座部仏教 説一切有部

  • 原始仏教

  • 紹介して頂きました<(_ _)>

    紹介して頂いた記事をこのマガジンに収録しています。ありがとうございます。

最近の記事

大乗起信論①

しばらくインド密教を見てきました。即身成仏の思想や修行の実践方法など、大乗仏教と異なる点も多く見られますが、哲学的な理論についてはほぼ同じ、即ち、大乗仏教が「空」と消極的に表現した真理を密教は「法身大日如来」と積極的に表現しているだけの違いのように思われます。 さて、今回からまた大乗仏教の思想へ移ります。おさらいになりますが、中期大乗仏教に含まれる唯識思想と如来蔵思想は、どちらも初期大乗仏教の経典である「華厳経」の三界一心(三界唯心)作の思想の展開であると考えられています。

    • 【密教】チベット仏教「死者の書」寂静尊と忿怒尊

      仏教では、衆生が生まれて死んで再生するまでの期間を「生有・本有・死有・中有」の四有に分類する思想があります。即ち、生有=誕生の瞬間、本有=誕生から死亡までの期間、死有=死亡の瞬間、中有=死亡から次の境涯に再生(転生)するまでの期間です。中有は中陰ともいいます。 ○日本仏教「十三仏信仰」 故人の中有期間に関して、日本仏教では「十三仏信仰」がよく知られていますね(室町時代あたりの日本で成立したと言われています)。死者は死後の世界において、生前の行いについて幾度かの裁判を受けま

      • 【密教】両界曼荼羅

        七世紀以後のインド中期〜後期密教は尊形(如来・菩薩・明王・諸天の像)、三昧耶形(輪宝、宝剣、金剛杵や蓮花などの法具)や種子(サンスクリット文字)などを対象として瞑想する瑜伽観法を生み出しました。同時に、有名な曼荼羅(マンダラ)を生み出しました。曼荼羅も観法対象に変わりないのですが、それ以上に密教が持つ宇宙観の象徴の具像化ともいえ、一種の芸術性をも感じさせます。 日本において有名な曼荼羅と言えば、胎蔵曼荼羅(胎蔵界曼荼羅)と金剛界曼荼羅であり、この二種類で両界曼荼羅とします(

        • 【密教】密教の観法対象

          密教の観法はいずれも即身成仏を目的とし、修行者が本来有する仏性に目覚めるための方法と言われています。今回のテーマは、前回お話しした「身・口・意の三密の瑜伽行」のうち、「意(心)」による観法対象がメインになります。 胎蔵界法のもとになるインド中期密教経典「大日経」には代表的な観法として、五字厳身観(五輪成身観)が説かれています。大日如来を象徴するサンスクリット五文字{上から下に向かって、空(クワkha)︰青、風(ハha)︰黒、火(ラra)︰赤、水(ヴァva)︰白、地(アa)︰

        大乗起信論①

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        記事

          【密教】三密の瑜伽行

          日常の自己意識の中に、本来具わる宇宙規模の自己意識を見出す…インドでは古代より本来の自己を顕現するための有効な方法としてヨーガがありました。瞑想を通じて絶対者(宇宙規模の自己意識)と合一し、自らの中にそれを見出すことで、輪廻の苦悩から解脱するというものです。 ヨーガの起源はかなり古く、紀元前二千年より前にインダス河流域に栄えたモヘンジョダロの遺跡からヨーガポーズをした修行者の像を刻んだ印章が発見されていると言われています。仏教も原始仏教時代から既に取り入れられています。

          【密教】三密の瑜伽行

          【密教】大日如来

          ほぼ七世紀にある程度の形を整えていたと言われる「大日経」と「金剛頂経」はインドの中期密教を代表する経典ですが、これらは前期密教(呪法の経典で、現世利益を主体に説く)と異なり、中観・唯識・如来蔵といった大乗仏教思想を根底に据えて、成仏を目指す経典となっています。 大乗仏教では成仏(仏陀になること)を目指して修行することになり、基本的に全ての人が成仏の可能性(仏性)をもつとします(一闡提という成仏の可能性を持たない宗教的能力に低い人の存在を認める派も出てきますが)。しかし、全て

          【密教】大日如来

          24日からCOVID-19で寝込んでましたが、回復してきました。高熱、全身の痛み、咳はもちろん、唾や水を飲むだけで耐え難い激痛が走る咽頭痛に襲われ、特に最初の四日は地獄のようでした。 今は微熱、咳、嗅覚障害が残っています。治らなければ、後遺症外来になりそうです(^.^;

          24日からCOVID-19で寝込んでましたが、回復してきました。高熱、全身の痛み、咳はもちろん、唾や水を飲むだけで耐え難い激痛が走る咽頭痛に襲われ、特に最初の四日は地獄のようでした。 今は微熱、咳、嗅覚障害が残っています。治らなければ、後遺症外来になりそうです(^.^;

          【密教】後期大乗仏教

          密教はインドで大乗仏教の一つの流れとして起こりました。七世紀から八世紀ころにインドで隆盛期を迎えたものの、イスラム教徒の侵入によって十三世紀初めに滅亡したといわれています。 一方、大乗仏教は紀元前後あたりからシルクロードに沿って、中央アジアにも伝播し、中国本土にも広がっていました。密教も同様であり、密教が中国本土において最も栄えたのも七世紀から九世紀初頭とされます。九世紀の初めに日本から空海が唐の長安に留学し、密教を日本へ持ち帰り、真言宗として定着させました。 密教はまた

          【密教】後期大乗仏教

          【輪廻】原始的な神経系

          仏教における「四生」では、昆虫類のような節足動物が、意識を持つ畜生道の衆生(畜生道の有情)の中で最も原始的?な「湿生」に含まれています。ここで、仮に「意識(情)を有する」=「神経系を有する」動物とすると、最も原始的な神経系を有する動物はどんな動物なのか? 動物の中でごく原始的な海綿動物は神経系を持っていません。最も原始的な神経系がみられるのは海綿動物より少し進化した腔腸動物(ヒドラ・クラゲ・イソギンチャク・サンゴなど)です。腔腸動物では全身に散在する神経細胞が神経線維を網目

          【輪廻】原始的な神経系

          【輪廻】四生

          生物とは何か?命とは何か?と要素を分解して、その定義を考えてみても迷宮に入ってしまいます。 今回は釈尊が活躍した時代前後の古代インドにおける生物観を見ていきたいと思います。即ち、衆生の「四生」の思想ですね。この点に的を絞って細かく解説してあるものに巡り合えずにいましたが、インターネットで次の論集を見つけましたので、一部を参考にさせて頂きます。 「四生について―yoniとjara(-)yujaの解釈を中心に―」 ○ウパニシャッド哲学の四生 仏教成立に先立つウパニシャッド哲

          【輪廻】四生

          【輪廻】生物とは…?

          上の記事で、動物と植物を生命の代表的存在のような形で触れましたが、生物学の歴史的な経緯としても、昔の生物学は動物学と植物学に大きく分けられていました。そして、1969年、生物学者のロバート・ホイタッカー(1920-1980)が、ここに「菌」「原生生物」「原核生物(モネラ)」が加え、生物を五つの界に分ける五界説が提唱されました。(注意:菌界には酵母菌、カビ、キノコなどが含まれ、細胞核を有する真核細胞です。大腸菌などの細菌は細胞核を有さない原核生物界の方に含まれます。) しかし

          【輪廻】生物とは…?

          【輪廻】一切衆生悉有仏性

          古代インドでは、人間は神々と動物の中間的存在と考えられていたようですね。人間は神々になりたいと常に願い、目指しながらも地上の動物的欲望に束縛されて、それが実現できないでいるような存在と認識されていたように思えます。 しかし、仏教では神々と人間の扱いが上記のような考え方と異なります。仏教では、生きとし生けるもの(衆生)の輪廻する範囲(趣)を五種(六種)あるとし、人間より優れた上位の生命体として天界の神々が存在するとし、人間より劣った生命体として畜生、餓鬼、地獄の三種があると考

          【輪廻】一切衆生悉有仏性

          ウパニシャッド哲学 五火二道説

          今回は「チャーンドーギヤ・ウパニシャッド」や「ブリハドアーラニヤカ・ウパニシャッド」等に登場する「五火二道説」がテーマです。この思想の原点は、意外にもバラモン(司祭)階級ではなく、クシャトリア(武士王候)階級の思想です。 ここで、輪廻の主体となっている霊魂(アートマン)は、宿る個体の死後、生物圏を脱して、大気圏→宇宙(月)→大気圏→水圏・地圏→生物圏と循環しています。高等生物として生まれるだけの功徳を前世で積んだ魂は、生物圏において独立栄養生物→従属栄養生物という経路で、再

          ウパニシャッド哲学 五火二道説

          一即一切・一切即一⑤

          上の記事で「モナド(単子)」を取り上げましたので、今回はウパニシャッド哲学の哲人、ウッダーラカ・アールニとヤージュニャ・ヴァルキヤの「アートマン」思想を簡単に見ていきたいと思います。アートマンについては以前から何度も記事に登場していますが…。 釈尊が活躍する以前、即ち紀元前5世紀頃までに「ブリハドアーラニヤカ」、「チャーンドーギヤ」などのウパニシャドが成立していました。ウパニシャドに至って祭式の背後にある宇宙・個人が持つ形而上学的考察がなされ、絶対者として「ブラフマン(梵)

          一即一切・一切即一⑤

          一即一切・一切即一④

          一応、上の記事の続きになります。ここまで、華厳経(重々無尽縁起)→天台哲学(性具説)・華厳哲学(性起説)・西田哲学(絶対矛盾的自己同一)→量子論(多世界解釈)と、バラバラの内容を一即一切・一切即一の思想繋がりで大雑把に見てきました。今回は晩年の西田幾多郎(1870-1945)の哲学に大きな影響を与えたライプニッツのモナドを簡単に見ていきたいと思います。 イングランドの数学者・物理学者・神学者であるアイザック・ニュートン(1642-1727)の力学では空間や時間は(神によって

          一即一切・一切即一④

          一即一切・一切即一③

          上の記事の続きになります。 前回は西田幾多郎の絶対矛盾的自己同一により、中国天台宗の性具説と中国華厳宗の性起説における相違点を見て行きました。今回はまた急ですが、量子論の多世界解釈を少し見ていきたいと思います。 「電子のダブルスリット通過実験」を例に見ていきたいと思います。 そもそも、ダブルスリット通過実験は、19世紀初めにイギリスの物理学者ヤングが光の干渉という現象を発見した実験方法でもありました。スリットを2つあけた板に光を通して、スクリーンに光がどのように投射される

          一即一切・一切即一③