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フィクション?

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振り返るとそこには虫もいなかった。

電話が鳴った。 「あたしメリーさん、いまゴミ捨て場にいるの」 「あたしメリーさん、いまタバコ屋さんの前にいるの」 「あたしメリーさん、いまあなたの家の前にいるの」 「あたしメリーさん、いまあなたの後ろにいるの」 ぎゃあああああああああああ!!! こんにちは、昼杉です。 ご存知、怪談系の都市伝説「メリーさんの電話」です。 この話の肝はその後の展開、つまりオチがないこと。 緊張感がピークのまま余韻を残す、なんともいえない不気味さ。 考察の余地があり自分なりの解釈を

逃亡!絶望!がんばったー。

ぜッ・・・ハッ…ハァ……ハァッ……ぜっ、、、 研ぎ澄まされた冬の空気を切るように俺は走った。 眠れる太陽。沈む空。 脚が重い。視界がかすむ。 肺を引きずるように腕を振る。 目的などない。 ただ走る。逃げるように。ひた走るしかないのだ。 …………頬の冷たさで我に返る。 気付けば田んぼの畦道につっ伏していた。 つまずき転げたのだろう。 一体いつから俺の人生は地面の匂いになったのだろうか。 ・・・ 話は日の暮れたばかりにまで遡る。 仕事をサボって出かけた撮影。