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ノートに仕事を終わるまでの地図を書いたら、アイデアマンだね、と言われる様になった話

「だからお前はダメなんだよ」

ついにこの言葉を自分が聞くハメになるとは思わなかった。部長が怒るときは、決まってこの言葉が出てくる。

電話で営業マンに掛けているのを何度もみたし、誰かがよくない報告をすると、表情が曇っていくのが分かる。この後はたいてい嵐が吹き荒れる。

この光景を何度もみたが、今回この言葉が向けられたのは、私自身にであった。

一向に仕事の成果は出ない、
先輩の言う日報の提出はしない、
仕事のトラブルもそのまま、
お願いされたこともやらない。

正に絵に描いたような、ダメ社員だ。

今になって思うが、こんな後輩がいたら、私でも同じように何かしらの言葉をかけたくなる。

お金をもらってやる以上は、プロであり、出された仕事は解決していかなくてはならないのだ。

しかし、26歳の頃の私は、
プロ失格の会社員だ。

仕事はなんとなくこなすも、
肝心のことをやらない。

言われても、「分かりました」を
ただただ繰り返すだけだ。

そんなリピート機能なんていらないのに。

まるで糸の切れた凧の様にふらふらし、目的までの地図を見失った旅人の様でもあった。

そんなんだから、毎日残業は当たり前。

20時はもちろん、21時や22時になることも当たり前だ。仕事が休みの時も、なんとなく会社に来てパソコンを開ける。なにかしら仕事をしたのだが、一向に覚えていない。

キャンバスに絵を描いたのに、白いクレヨンで描いたから何も残っていないのだ。

気が付けば23日間連続勤務したぜ! と訳の分からない自慢をしてしまっている。

残業するやつが偉いみたいなこともあるが、それは仕事でバリバリ成果を出していればそうかもしれない。

しかし、働き方改革が世間では行われており、いかに効率よく仕事ができるかが評価の基準なのに、私はあろうことか、地図を逆さまに読んで、あげくの果てに迷ってまでもいるのだ。

そりゃ、部長からも上司からも同僚や後輩からも、冷たい目で見られるに決まっている。

めちゃくちゃコスパの悪い社員だ。

そして、ついに転勤をさせられた。

新しい職場で、
新しい部長と面談をした。

開口一番、
「分かってる? もう後がないんだよ」

一瞬言われた意味が分からなかったが、
すぐに落胆した気持ちと、
ヤバいという焦りの気持ちが混じった様な
感覚になっていった。

もう取り返しがつかないところまで来ているぞ! という最後通告であり、部長の優しさだった。

ここで踏ん張らなくては、あとはもっと遠いところに飛ばされるかもしれないし、自ら退職をして逃げるだけの人生を選んでいたかもしれない。

しかし、この部長の言葉で立ち直れた。
仕事にも真面目に打ち込んだ。

そして再び31歳の時に、再び転勤が決まった。今度は九州の福岡県だ。

これは新しいチャンスと思い、まずは地図を買った。自分の机の前の壁一面をエリアの地図で埋めた。

どこに拠点があり、どんな出店計画をするか、どんな土地の名前があるのか、そんなことを眺めながら仕事をすると、いろいろやりたいことが見つかった。

車にも福岡県の地図を常備し、目的地までの道路を頭にいれる。目的地について周辺地図と実際の街を比較する。

すると、地図でしか見えなかった街がみえ、そこに生きている人の生活が見えてくる。

偉くなったり、現場から離れると、仕事が見えなくなると誰かが言っていた。

しかし、私の目の前には確かに街があり、人が生きている。同僚もいて仕事も沢山ある。

ここを開拓するのが、私の役目なのだと言い聞かせながら、今まで先輩に教わったことをやってみた。

もう遠慮はなしに、蛇口の水は精一杯開いていた。

やりたいアイデアは湧き出す様に次々に出てきて、実行にもうつした。もちろん成功したこと失敗したことは多々あるが、全ては私の財産になっていった。

何か困ったことがあれば、ノートを書いて頭の中を整理する。出てきた答えを仕事でどんどん試してみる。1日1日の仕事をノートに書き出した。自分でゴールまでの地図を作っていったのだ。

そうしてやってきたことを会議で話してみたり、先輩たちに「こんなこと考えてやってみたいんですが、どうでしょう?」と相談もした。

いつしか、九州の先輩はもちろん、かつての東京・神奈川時代の先輩からも、

「ひさ、今何やってる?」と仕事のやることについて相談も受ける様にもなった。

誰かが言ってくれたが、「アイデアマンだね」とも声をかけてもらえた。

これは今までの自分からは考えられない程の成長だ。あぁ、ここまで諦めずに仕事をやってきて良かった! と想える瞬間だ。

蝶は一晩でサナギから成虫になり、その大空へと羽ばたくが、人間の成長はそうはいかない。

ひとこと言えば変わるような優秀な人間もいれば、私の様に数年かけて変わる人間もいる。もしかしたら変わらないままの人間もいるかもしれない。

変わるのに必要なことは、目の前にあるような地図を書くことかもしれない。

それも1枚だけでなく、10枚、100枚、いや1000枚以上の地図が必要だ。

書けば書くほど、昔の自分からは遠ざかり、新しく成長した自分になっていく。

だから、あなたにもそんな地図を1枚書いて欲しい。書き方が分からなければ、いつでも私は喜んであなたのために、このノートで目的地までの地図を一緒に書こう。
《おわり》

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