第19回書き出し祭り 振り返り

第19回書き出し祭りも結果発表が終わり、作者公開も解禁されたので、せっかくならばとnote記事で振り返りをしてみます。
まずは作者公開をした私のツイートから。

19-3-02「/The_Master_Protocol」で参加しました。
コマンドを駆使する頭脳戦を書いてみたい!ということで、創作を始めて10年間、悩みつつも(記憶の限りでは、やってこなかった)英語タイトルを、よりにもよって書き出し祭りという場でやってのけました。VRMMOはジャンル名だけ知っていて、読んだことがなかったのですが、たぶんこれはVRMMOだろうと思って突っ込みました。いや、一作くらいは読んで参考にしようと思っていたんですけどね。他の短編とかが立て込んでたのと、締め切りの決まった作品を書くのは露骨に遅くなるので、後回しにしているうちに、先行作品を読むこともなく、ギリギリ提出となってしまいました。

過去に書き出し祭りは、以下の通り5回参加しています。
・第2回4-02「仮想都市の警察官~実像のない東京と、感情のない少女~」
 ⇒2019年連載(完結済)
・第5回3-13「転生して魔法審理官になりましたが、味方が序列第三位の天使で生活は安泰です……?」
 ⇒設定などベースのみ維持し、タイトルを「天使管理官~ロリ天使のお世話と、悪魔をぶちのめすのがおしごとです~」に変更し、2019年連載(完結済)
・第10回2-24「缶詰の中で生まれ育った僕たちは、およそ愛というものを知らない」
 ⇒2020~2021年連載(完結済)
・第13回2-16「安楽カウチ探偵・空木奈帆の事件ノート」
 ⇒連作短編として不定期連載。ただし、執筆断念
・第18回2-25「命の洗濯屋・御霊凪の片想い事情」
 ⇒書いてみたはいいものの、作風に合う続きが思いつかないため連載予定なし

参加したての頃は「連載すると決めた作品を出してみて、どれくらいの人に刺さりそうか確認する」のが目的でした。一応私の作品は人を選びそうだという自覚があるので、自分の考える「面白い」と、他の人の考える「面白い」のすり合わせが多少でもできればと思っています。これは今も変わっていないのですが、最近の参加作はどうも性に合わないことをやってしまっているようで、連載完結までたどり着けなくなっています。これはどげんかせんといかん……。

今回の作品は連載するかどうか迷っています。というのも、やっていることはちょっとトリッキーな異能バトルなので、ちょっと設定がひねくれていることを除けば、連載として走り抜けられそうとは思っています。とはいえ、いろいろ変えないといけないなと思う点があるし、書きたいのに書けていない連載が溜まりに溜まっているので、連載するにしてもしばらく後のことになりそうとは思っていますが。

それでは、以下はいただいた感想に返信などするという形で、必要に応じて連載の時はこうしたいな、といった話をしていきたいと思います。個別にごあいさつするのはたくさんあって大変なので、この場でのお礼とさせてください。ありがとうございました。
まずは、タイあら感想から。

『お姉ちゃんを治すという優しい思いから、どんなことをしても生き残るという狂気じみた執念に繋がっているのが恐ろしい部分です。力で殴り合うのではなく、発想力や機転を武器に戦っていく様子が楽しみです。』

⇒確かに主人公がかなり必死になってますね。ただ、凄まじい数の参加者がいる中で、最終的に勝ち残って最後の一人にならないと願いを叶えられないという厳しい制限があります。それに、そもそもバックグラウンドとして治せるはずのケガを、お金がないせいで治せないという話があるので、実は結構世界に対する恨みつらみがある主人公だったりするんですよね。

『バトルと頭脳戦の予感!( ゚Д゚) ドキドキハラハラ展開と主人公がどう切り抜け、最後に願いは叶うのか!?』

⇒頭のいいキャラを出すより下手をすると作者の知性とかがもろに出そうで怖いのですが、こういう頭脳駆使して機転を利かせる系のバトルを一度、書いてみたいんですよね。1話の調整は必要そうですが。

『タイトルの意味を検索。従来の治験プロトコルは、一つの疾患に対して一つの有効性・安全性を確認。マスタープロトコルは、複数の疾患に対して、複数の有効性・安全性を確認。 お姉さんの病気を治す為に戦いに挑む主人公!もう既に泣きそう……本文読みたい!』

⇒医療系なのではという考察をしていただいて大変申し訳ないのですが、医療要素は欠片もございません。ネーミングもたまたまかぶってしまったようですね……。ゲームマスターに近い神のような存在で、すべての条項や条文を扱えるということで名付けたのですが、これをそのまま連載時にタイトルに据えるかどうかは、要検討ですね。

『目的:姉の回復 手段:勝てばどんな願いも叶うゲームに参加 作品の売り:コードの詠唱でプロトコルを生成。ITと魔法をミキシングしたストーリー。自分の発想力と、とっさの機転。 障害:マスタープロトコル
分かりやすく描写するのが難しそうだけど、あらすじは綺麗。』

⇒条項や条文を詠唱させるときに、何をしようとしているのかを説明口調になりすぎずに説明する技術は、必要かなと実感しています。これは原稿を執筆している時から思っていました。1話ではまだ分かりやすい方だと思っていますが、この先連載となるといろんな詠唱が出てきますので、このあたりの問題はより一層意識しなければ、ですね。

『プログラムで戦うのですかね。私も技術屋なので興味津々です。自作ライブラリ持ってると強いのかな?効率のよいコードを書けるかどうかも重要そう?本文楽しみです。』

⇒私はプログラミングについて全くの素人なので、本業の技術屋さんにチェックされるとなかなか厳しいところがありますね。むしろ本業プログラマーの方とタッグを組んで書くぐらいがいいのでは、とも思ったり?
自作ライブラリの件はまだ発想になかったもので、しれっと採用しているかもしれません。効率の良いコードを書けるかどうかというのは、まさに正解です。

『勝ち残ればなんでも願いが叶うというゲーム! 本当になんでも叶っちゃうとすれば、主催者は神様か何かですか?! 頭脳を駆使して戦う、ライアーゲーム的な生き残り戦ですかね。頭脳戦は好きなので楽しみです!』

⇒主催者の扱いをどうするかはまだネタとして存在しませんが、そのあたりも面白く描ければいいですね。頭脳戦と銘打ってから書くのはなかなか緊張感がありますが、ご期待に沿えれば幸いです。

『【タイトルのみ】専門用語だと踏んで調べました。語義的には薬剤の治験関連なのかと思われます。そうすると、医療関連の話が混ざってくるのではないでしょうか。タイミングの問題で、世界的に流行している疫病を思い浮かべるのですが、関係はあるのでしょうか。
【あらすじ込み】全然予想と違いました。ゲームバトルの話ですが、何でも願いが叶うという点でローファンタジーのような趣がありますね。「コード」や「プロトコル」という言葉がありますので、プログラミング的な方法で魔法を使うようです。こういう魔法も好きなので読みたいです。』

⇒ありがとうございます。他の感想への返信でだいたい触れていますので、詳細は割愛させていただきます。

以上、タイあら感想でした。ここからは本文感想です。

『ちょっと複雑だけど、面白いです。 ひりつく空気がいいですね。 主人公の力には、空間だけでなく時間もかな。 姉の中身はかなりの存在のようだけど、何者なのか? ゲームの制作者は? 続きが読みたいです。』

⇒ありがとうございます。1話から漂う緊張感が上手く伝わっていたようで、よかったです。
「空間系」の力をどう解釈するかは主人公の彼次第でもあり、作者の私次第でもあるのですが、時間を4次元のものと捉えるよりは、3次元空間の拡張因子として組み込みたい感がありますね。

『タイトルが英語だったので、ドキドキしながら読んでみたらめっちゃ面白い!するする読める設定♪ 1時間前に戻り続けてる主人公がどうなるのか気になります。お姉ちゃんを乗っ取っているものの正体も気になる!』

⇒英語タイトルが何となくで敬遠されそうというのは、ある程度想定していました。ですので中身はいつもの癖をできるだけ出して、読みやすさを意識して書いてます。ただ、1時間前に戻ってる描写が、最初に回想シーン的なのを入れたせいでちょっと矛盾が出ちゃってるんですよね。1話を書き直すにあたって、上手く改良できればと思います。

こちらは大変詳細に感想を頂いたので(依頼したのでかなり考えてくださったのだと思いますが)、引用は省略します。詳しくは上のツイートのリプから。
⇒こちらの感想が、いただいた中で一番考えさせられました。書き出し祭りも19回目を迎えて、だいぶ「一般的なウケる小説の書き出しとは、求められるものが違う」感が出てしまっているんですよね。書き出し祭りではこういうふうに書いた方がいい、みたいなメソッドが結構確立してる感があります。無意識のうちにその「書き出し祭り提出作品である」ことが影響して、情報をぎゅうぎゅうに詰め込み過ぎたのかもな、という感想が今なら出てきます。原稿書いてる時はそんなことみじんも思わないんですけどね。特に突然ゲームの存在をちらつかせて、細かい説明を全部すっ飛ばしてゲームが始まってしまっているあたりは、連載の時には改善すべきだなと思っています。幸い書き出し祭りの外に出てしまえば、文字数制限は撤廃されるので、自由にやらせてもらおうと思います。

『ゲームとパソコンにうとい私でも緊張感が伝わってくる物語でした! 条文のコード内容が分からなくてもすぐ説明が入ってくれるので親切。ありがとうございます。お姉さんなのか、お姉さんじゃないのか、そして不穏な三島さん。気になる展開です! ドキドキだ……!』

⇒設定とか世界観は複雑なんだろうけど、雰囲気で分かってしまう。これは一見悪口のようにも見えますが、大事にしていきたいところだと思っています。私の書く文章はどちらかというと硬い方だ、という自覚があるので、文章から感じ取れる雰囲気はせめて柔らかいものでありたいんですよね。
今回は条文の内容が難しくても直後で補足説明を入れる、ということは意識しています。このやり方については今後改良が必要かもしれませんが、スタイルは維持したいところですね。

『姉ちゃんを助けるという目的があり、かつわかりやすいのがいいですね! 主人公が不憫なのが、なお一層助けたい気持ちを引き立てていますね、素晴らしい! 最後のセリフはカッコよくてわくわくしました!』

⇒ヒロインの三島がどうあがいても死んだだろというシーンの直後にゾンビのようなセリフで迫ってくるところ。そして最後の主人公のセリフは、三島に与えられた力が「死生観」そのものであることの暗示でした。これは別に読者に分からなくても、後で説明するからいいと思っていましたが、2話以降につながるド頭のストーリーということを考えて、このあたりはなるべく維持したいと思っています。

『読んだ。 むつかしさがこういう能力系の良さを殺している。』

⇒なんか難しいことやってんな、という雰囲気はあえて出しています。それを多少中和するために、分かりやすくなるように説明を入れています。異能バトルはそういうのも含めて魅力だと思っています。これで分からんわと放棄する方はたぶんおつむの出来がよくないと思うので、対象ではありません。

『んー、文章の時空が歪んでる感じがする これはあえての表現なのかなあ? 作風、ジャンルとして、すごく好きなタイプだけど、同時に人を選ぶ題材、書き方だなあという気がする』

⇒否定的な感想が来るとやっぱりカチンと来ちゃうのですが、文章の時空が歪んでいる、というのは正しい指摘ですね。これは感想が来るまで違和感に気づけませんでした。
人を選びそうだということも分かってやっています。私の作品は読者をガッシャガッシャと振り回してふるいにかけて、それでも残ってくれた方を対象にしている感があるので、これでいいとも言えます。そもそもハナから書籍化など、広く受け入れられる作品を目指しているわけではないので。

次はメモ帳画像の感想だったので引用は省略。

⇒先述の通り、私はプログラミングの専門家ではないので、こういった「コード詠唱ならこういうことできたら面白いよね」というご意見は大変参考になります。連載の時も上手くネタを拾いつつ、頭脳戦ならではの面白さが演出できればと思いますね。ありがとうございます。

『本格的なSFファンタジーの世界感ですね。 細かい設定までよく練られていると思います。 魔法ではなくコードを詠唱し、プロトコルを生み出すという設定がとてもユニークだと感じました。普段はファンタジーを読まない読者でも読んでみようと思うかもしれませんね。そう言う意味でもこの設定はとても良いと思います。 ゲームに勝てば何でも願いが叶うという、非現実的な設定をどのように料理するのかが腕の見せ所といったところでしょうか。 植物状態の姉を助けたいというのが主人公の行動原理の出発点となる。ゲームに勝てば、どのような手段で姉を救えるのか。そこを納得させられるような展開になっていくと、今後ますます目が離せなくなっていくような気がします。 三島との最初の対決シーンがとてもカッコ良いく描かれていますね。 機転の早さによってピンチをチャンスに変えていく。しっかり主人公していると感じました。 とても面白かったです。』

⇒こちらは依頼させていただいたのですが、コード詠唱が思ったよりもウケたようでよかったです。やはりヒロインとの対決シーンは頭に持ってきて、インパクトを出したいところですね。
ちなみに、ヒロインとはいったん戦うのですが、その後バディとして一緒に行動する流れが構想にあったりします……。

『現実世界とゲーム世界の境目が曖昧……なのはきっとわざとなんでしょうね。馴染みのない設定が多かったけど、よく分からないところは雰囲気で読みました。雰囲気で読めちゃう。初っぱなから謎が多く提示され、緊迫感もあって、続きが気になりました。』

⇒あくまで現実世界をベースに展開されるゲームなので、ゲームに参加していない人は能力を使えず、ごく普通の生活を送っています。そういった、ゲーム参加者と非参加者とのあいまいな境界線なども描写できればなあ、と思っています。
詳しいところが分からなくても、何となく、雰囲気で読めちゃうというのはまさに狙ったところです。もちろん極度に専門的な内容が出てきたり、それを素人にも分かりやすいように説明できていたりするのが素晴らしいのに間違いはないですが。何となくで楽しめるからそれでいい、というのもまた一つのスタイルだと私は思います。

⇒やっぱり褒めてもらうのが一番気持ちいいですよね。ネタとしてはどうやら悪くなさそうだ、というのが今回いろいろ感想をいただいて思ったところなので、もうちょいいい感じに1話を改造していきたいと思います。

『『魔法の呪文』がコードに置き変わったような、不思議な感触のダークファンタジーゲームのよう。 えーこれ面白い♡ コミカライズで読みたい。』

⇒同じ詠唱でも、ルビを振ってどういう当て字がされているのか示せるところ。これが文章で異能力バトル、それもがっつり詠唱ありのやり取りを書く醍醐味だと思います。このポイントは維持したいところですね。

以上、私が捕捉できている感想への返信でした。もしも抜け漏れあるようでしたら、遠慮なくお知らせください。
今のところ、本作は連載を予定していますが、他に連載予定ながら手をつけられていない長編が3つか4つほどありますので、それらを片付けるか、ある程度のめどがついてからの執筆になります。楽しみにしてくださる方には大変申し訳ないのですが、他にも独自色たっぷりの長編をコンスタントに出せるよう、尽力していきます。どうぞよろしくお願いいたします。

今回はこのあたりで。ありがとうございました。

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