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レポート:わたしのまちの魅力開発塾 第1回「社会に通用する教育を」

 この記事では「わたしのまちの魅力開発塾~しょうおう志援塾2021~」の第1回「社会に通用する教育を」についてまとめたいと思います。6月18日(金)に開催されました。

 「わたしのまちの魅力開発塾」の詳細についてはこちらの記事にまとめています。申し込み方法も記載していますので、この記事をお読みになってご興味のある方はご参加いただければと思います。

1.社会と子どもと未来をつなぐ企画系キャリア教育「こども起業塾」

 今回、講師を担当していただいたのは、塾を運営している一般社団法人しょうおう志援協会の井上高志さんに担当をしていただきました。井上さんは、2018年より、毎年「こども起業塾」という子どもを対象として、ビジネスや事業の企画体験をテーマにしたスクールを運営しています。

 今回は、3年間続けてきた、この「こども起業塾」や地域の学校での受講を担当した経験を踏まえて、地域の魅力について話をしていただきました。そして、途中でワークも取り入れながら、参加者の皆さんと意見交換も行っていきました。

2.「こども起業塾」活動の紹介

 初年度2018年は、農業の6次産業化を学んでもらえるように、農業体験から調理加工、マーケティング、販売接客までを体験するカリキュラムでした。販売は「勝央町スイーツまつり」に出店します。

 2019年は、「勝央工業団地オープンファクトリー」での出店を行いました。お菓子を企画し、仕入れ、値付け、販売を実施しました。

 2020年は、コロナ禍でのオンライン開催となりましたが、2校のネットスクールと岡山県初のコラボレーションを行いました。「N高等学校」、「クラスジャパン小中学園」です。

 他にも、学校の授業を担当して、小学校ではプログラミング&レーシング大会や、地域学習の担当、高校では総合的な探求の時間の担当をしたりしています。

3.なぜ民間の立場で教育事業をやるのか?

 ご自身で会社を経営している井上さん、正直儲けにもなりにくいこうした活動をなぜ行っているか、ということを説明していただきました。

 社会の仕組みへの疑問、学校で言われるように「懸命に仕事をする」と幸せになれるのか。社会の呪いに縛られているのではないか。「学生と社会人の大きすぎるギャップを埋めたい」。このような想いに基づいています。

 そして、では、なぜキャリア教育なのか。関わる理由は「色んな生き方があっていいよ」と伝えたいということです。こんな風に児童生徒に伝えているということを、紹介してもらいました。

・目標は高く、幸せのハードルは低く
・ひとと違うことは誇らしい、自分を肯定できるのは自分自身
・感性で悩まない、自分の力で解決できることに集中する
・自分の人生は自分がリーダー、人生の主導権は人に渡さない

 さらに、「大人になるのが楽しみって思って仕事をしている人もいる」、「世の中で普通と言われるものは実は普通ではない。ではどうする?」といった、学校にいると、当たり前のように感じて過ごすことに対して、問いを与えているということです。

 井上さんは、教員ではないからと謙遜されていましたが、私は自分が児童、生徒だった時に、こういうことを伝えてくれる大人と出会えていたら、心が軽くなるだろうな、と感じます。実際、社会と学校とはギャップが大きかったように感じます。改めて、自分の子ども時代を振り返りながら聞きました。

4.メンタルの管理

 メンタルへの向き合い方も、井上さんなりの独特の考え方があり、紹介していただきました。

 授業を担当していて、先ほどのような内容の話をすると、「そんなに熱いこと言われても」とか「そんなこと言われてもネガティブだしな」という言葉が想定されます。

 でも、井上さんは、そういった考えを持つ子どもにも配慮して、「ネガティブなことも一つの個性」、「改善する必要がない」ということを伝えています。「ネガティブさも、リスク管理、危機管理として大切だし、ポジティブもネガティブも両方必要な要素であるということで、変えなくても良い」、ということです。そういった話があれば、安心して授業を受けることができると感じました。

 「やる気」に関しても、モチベーションがどん底の状態を通常を考えておくと楽になるという話をされました。「やる気がないからできない」というくらいなら、それは恐らくやらなくても良いこと、「やる気がなくてもやらなくてはならない」という気持ちで取り組めることが、続けられること。「それでも必要だと思えることが覚悟を持って取り組める」ということでした。

 そして、全体的に子どもたちの教育に関わる時、「おもしろき こともなき世を おもしろく」という裏テーマをもって、授業を進めているということも教えていただきました。

 参加者の皆さんからも、学校の教育と社会とのギャップについては共感の声を多く出てきました。「社会に出ると、思っていた普通の人生と違っていて、でも後付けの幸せもある」、「学校では苦手なことを怒られるが社会では得意なことを褒められる」、などの意見がありました。

 前半のお話の締めくくりとして、井上さんからも、好きな言葉として「人生、短所を克服するには短すぎる」という言葉を紹介していただきました。

5.存在感を消しているような子どもに関わりたい

 後半は、ワークを通じて、まちづくりや仕事に対する負担感や成果の感じ方を共有しました。それぞれの意見を聞くことで、「そもそも人によって感じていることは違って、だからこそ自分の軸を大切にする」ということが大切ということを振り返りました。

 次に、オリジン(原点)とデスティネーション(目的地)をキーワードに「なんでまちづくりに関わろうと思ったか」、とか「この研修を受講しようと思ったか」という視点一人ひとりエピソードを振り返りました。今回、6回コースの初回ということで、それぞれの参加者のエピソードを簡単に聞きながら今後の目的地についてもイメージをしました。じっくり伺う時間はなかったので、今後の回で聞いていければと思います。

 最後、井上さんの授業の話に戻ります。このようなそれぞれのエピソードに着目しながら関わることで、学校ではおとなしくしている子どもは決して「できない子」でも「意見のない子」でもない。そんな存在感を消している子こそ見つけて関わりたいという気持ちを持っている、ということを伝えてもらいました。

 私も含め、参加者も今回のお話を通じて、「自分の考えを大切にして良いんだ」という気持ちを持ったことと思います。いろんな地域で、自分の考えを持っていても、声に出せていない人にも、声が出せる機会があれば、それぞれの地域がもっと良い地域になるのかな、と感じます。

参加者の感想として、こんな言葉をいただきました。

・以前、人に聞いた「自分のやっていく活動は、過去の自分を助けに行く」という言葉を思い出した。
・教育はすぐに成果は出ないけれど、後々あの時のことがよかったと思えるかもしれない分野という魅力がある。
・育児は育自。多くの出来事から気づきを得ることができるかが大切と感じる。
・今の職場でできることを精一杯やっていきたいと改めて感じた。

 次回は7月16日(金)19:30~の予定です。お読みいただき、ありがとうございました。

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