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レポート:第2回 LDLゼミナール 「熊本県合志市の健康づくりに学ぶ」

 この記事では、2021年7月21日に開催した研修会「LDLゼミナール」について報告します。「LDL」というのは、まちづくり分野の第一人者、木下斉さんがコーディネートするラボで、Localy Driven Laboの略称です。LDLでは、全国のまちづくりのプレーヤーが公民連携、やまちづくりの経営的視点を学んでいます。そのLDLのメンバーが企画する勉強会が「LDLゼミナール」です。LDLの取り組みはこちらをご覧ください。

 今回は、ゼミナールということで健康づくりをテーマに熊本県合志市(こうしし)の取り組みを学びました。

 今回のゼミナールの様子は、動画アーカイブとして保存しています。アーカイブで視聴されたい方は、記事の下の有料の部分にアーカイブ動画を張り付けています。記事を読まれて関心を持った方はどうぞ。

1.合志市の取り組みの概要

 合志市では、合志市、熊本大学、民間企業3社の5者で「地域の健康づくり」をテーマに様々な産学官連携事業を展開しています。そのうち「運動に関する支援」の一部を民間企業の「Kuru-lab㈱」が協力し、フィットネス&コミュニティ「コレカラダ」を運営しています。

 今回お話いただいたのは、「コレカラダ」に健康管理システム「からだステーション」を提供している株式会社豊通オールライフの社員、高橋直人さんです。お時間いただきありがとうございました。

 合志市では、例年2000人が参加する規模のウォーキングイベントの開催があります。昨年、活動量計デバイスを活用して、500人参加のバーチャルウォーキングイベントを開催しました。デジタルの活用による新しい産学官連携の展望など、事例を通じて学んでいければと考えました。

<学びポイント>
・産学官連携で前向きな取り組みができるためのポイントとは?
・行政事業を通じて住民に関わる民間企業の想いとは?
・健康に関するマーケティングのポイントとは?
・オンラインイベントに住民を巻き込むには?
・イベントの成功要因やオペレーションの工夫など

(参考HP)

・全国初!「地域の健康増進」を産学官連携で目指す

・自治体と連携し、スポーツイベントを実現。クラブ会員だけでなく、地域住民の健康意識醸成を目指す

・令和2年度『バーチャルウォーキング大会in合志市』を開催いたしました!

 ちなみに、今回私がこのLDLゼミナールで合志市の取り組みを聞こうと考えたのは、私の活動する岡山県の勝央町で「からだステーション」のトライアル事業を実施したのがきっかけでした(からだステーションについては以下、詳しく説明します)。勝央町の取り組みはこちらにまとめました。

2.健康管理システム「からだステーション」とは?

 冒頭、株式会社豊通オールライフの高橋さんより、企業としての取り組みについて簡単に説明してもらいました。こちらの会社は介護、ヘルスケア分野の事業を展開されています。

 「からだステーション」は活動量計を通じて、ユーザーの活動やなどの健康情報を24時間365日計測して、ユーザーとスタッフ双方で把握して、適切なアドバイスが可能となります。主に、フィットネスクラブ、その他、高齢者住宅のサービスとして導入されています。

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3.合志市の取り組みの実際

 先に述べた「コレカラダ」は、従来のフィットネスクラブではなく、地域のコミュニティやハブとしての機能も意識して運営されています。

 これまで、合志市では毎年ウォーキングイベントが開催され、リアルで訳2000人が参加される規模でした(このイベントも多いと思います)。このイベントを昨年度はバーチャルで開催するということで、「コレカラダ」が運営者となって、「からだステーション」に白羽の矢が立ったということでした。

 具体的には、 3か月間、「からだステーション」の活動量計を使用して、3月で5000歩以上歩く日が30日以上の目標達成者に抽選で賞品をプレゼントするというものでした。そして、賞品としては、地域の特産品、協賛企業の物品、地場野菜などが用意されました。

 参加者は、参加費を払うと、腕時計型活動量計を貸与されます。これによって計測した歩数や活動量がスマホアプリ、もしくは「コレカラダ」に設置の機器からデータが送信されるという仕組み。運営が各参加者のデータを確認できます。 

 参加者には、プッシュ通知で毎週ランキングが公開され、取り組みの励みになります。アンケート機能もついており、約50%の回答がありました(一般的なアンケートは10%程度と言われるので、高い割合と言えます)。一部結果を紹介していただきました。

・年齢のボリューム層は60~70歳代(いわゆるアクティブシニア)
・男女比はほぼ同数
・「普段の行動に変化があった」→7割以上
・「今後も定期的な運動をしたい」→9割以上
・スマホを用いた健康管理サービスに「関心がある」→9%以上

4.質疑応答より

 ここからは、参加者からの質疑応答の内容をまとめます。運用やPRの方法について遠慮なく質問させていただきました。それぞれ、項目ごとにまとめたので、紹介します(要約したので、実際に説明してもらった言葉とは若干違いがあります)。

①「からだステーション」のデバイスと一般の活動量計との違いは?

 市販のものでは、セルフチェック、自己記入、自己監理が主流。一方、からだステーションでは、体重や体組成計を測定した際に、機器をかざすことでデータ送信可能です。ターゲットとしては、機器に慣れていないユーザーさんでも使えるよう、操作がシンプルになるように意識されています。

 さらに、スタッフとのやり取りが可能なところが特長です。今回、スタッフからユーザーへは、週1回ランキングを確認することができるようにメール機能にて情報伝達しました。 これが競争意識につながっている方もいました。

 ユーザーからスタッフへのコンタクトとしては、「コレカラダ」に直接来訪した場合には、スタッフとのやり取りができるように配慮しました。

②デジタル機器には苦手意識を持つ人と多いと思うが、PRのポイントは?

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