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窮地に立たされた日本で、我々がやるべきこととは 〜安宅さん講演より〜

久津(@Nunerm)です。

NewsPicksアカデミアのイベントで、「イシューからはじめよ」でお馴染みの安宅和人さんの「ポスト平成のシン・ニホン」という講演に参加しました。

かなり気づきの多い講演だったので、ここに簡単にまとめます。最後に自分なりの「これからの行動指針」を書きます。

NewsPicksアカデミア会員はいずれ動画で観れるはずなので、ぜひ観ていただきたい。

世界は歴史的な局面を迎えているのに、日本は危機に瀕している

・これから全ての産業がデータ×AI化する
・人間すらデザイン可能な時代に突入(遺伝子操作)
・経済的な中心が数世紀ぶりにアジアに戻る(中国・東南アジアの躍進)

・あらゆる側面で相対的な日本の国力が衰退している
 →企業の時価総額ランキング上位に食い込めない(韓国にも負けている)
 →GDPは人口2/3のドイツに抜かれそう
 →一人当たりの生産性は30位前後(=1960年代の水準)
 →科学・技術論文が減っていてインドに負けている
 →大学ランキングも日本の大学は急落


データ×AI戦争における3つの成功要因と日本の現状

①デバイス・領域を超えたマルチビックデータの利活用
<日本>
・言語の問題で量を集められていない(FacebookとLINEでは得られるユーザデータの数が大きく異なる)
・規制だらけで量を集められていない(ライドシェア・民泊など)

②圧倒的なデータ処理力
<日本>
・データから価値を生むコスト競争力が全くない(例:データセンターの電気代が相対的に高い)

③質と量で世界レベルの情報系サイエンティスト
<日本>
・新卒のスキルが米中に比べて低い
  →基本的な問題解決能力の欠落
  →分析の基本ができていない
  →基礎的な統計的素養がない
  →情報処理、プログラミングについて基本的な理解がない

・ミドル・マネジメント層の質も低い
  →ビジネス課題とサイエンス、エンジニアリングをつなぐアーキテクト的な人がいない
  →スキルを時代に合わせてrenewしなければいけないのに動けていない


これから必要になる人材

・市場のゲームのルールが変わってきている
 →市場シェアから、未来への期待感に(例:テスラはシェアがほぼ無いのに時価総額がGMを超えた)
 →既存の枠組みの中での規模や効率の追求から、既存の枠組みを超えて技術革新をテコに世の中をアップデートに

・これからは「妄想し形にする力 」が求められる
未来(商品・サービス)=課題(夢)×技術(Tech)×デザイン(Art)
・いかに目に見えない特別な価値を生み出せるか
・鍵になるのは普通の人とは明らかに違う「異人」


新しい人材に必要な素養

・母国語+世界語+問題解決能力+データ×AIリテラシー
 →母国語:アウトプットスキル
 →世界語:英語・中国語
 →問題解決能力:問題を設定して整理し解決する力
 →データ×AIリテラシー:データドリブンな思考力、データエンジニアリング

・現状の文系学生には問題解決能力とデータ×AIリテラシーが足りない
・現状の理系学生には世界語スキル


日本が「未来への投資」ができていない理由

・国力に見合った人材開発・R&D投資(=未来への投資)ができていない
 →大学への投資予算が世界と比べて圧倒的に少ない
 →学生支援力が低い(アメリカでは0円でPhDを取得できる)
 →スパコンなどの技術開発に関する予算も削られている

・「未来への投資」ができないのは社会保障費の不足の補填に大半の予算を奪われているから
 →つまり大半を「シニアと過去に投資」している
・国家として最適なリソース配分にシフトチェンジするべき


これから我々は何をすべきか

ここまで講演内容を簡単に箇条書きで書いてきました。それを受けての自分が考える今後の「個人の行動指針」を最後に書きます。

一言に言えば

未来(=若い世代)に投資して、邪魔者(=規制や既得権益)を排除して、出る杭(=異才)を引っ張ってあげる

です。


未来(=若い世代)への投資が必要なことは十二分に理解しました。とは言え国がシニア層を無下にできない気持ちも理解はできるので、急激に国家予算を教育に投下することはないと思います。

であれば企業や個人が若い世代を支援するビジネスやサービス、ムーブメントを起こすことで、未来への投資をすることが求められます。

私はこれからクラウドファンディングに携わるので、自分の仕事が若い人への支援となりそれが日本の再生に繋がると信じて邁進していきます。


次に邪魔者(=規制や既得権益)の排除。意味をなしていない時代錯誤な法律や慣習など、新しいチャレンジを邪魔するものを積極的に排除する必要があります。

また自分自身が邪魔者にならないことも重要です。安宅さんは「じゃまオジ」と表現されてましたが、自分自身をアップデートせずにその存在や考え方によって若い人の邪魔をしてはいけません。

これに関しては最近石山アンジュさんらが立ち上げたPMIに期待しています。私も何らかの形で関わりたいなと思ってます。


最後に出る杭(=異才)を引っ張る。チャレンジングな若者を見つけたらどんどん応援しましょう。支援しましょう。

講演の質疑応答コーナーで「これからの未来を担う子供にアドバイスするとしたら?」という質問に「親の言うことは聞くな」と安宅さんは回答されていました。親の考えは数十年前に形成されているものなので、現代の異才の考えなど理解できるはずもありません。

出る杭の考え方を理解できなくても決して打たないで、引っ張ってあげたい。



「国が悪いんだ」で終わるのではなく、まずは個人から動いてみよう。

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