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ドキュメンテーションの3つのポイント ~新卒研修資料より~

以下の記事の続きで、CAMPFIREの新卒メンバー向けに研修コンテンツを作成したので、一部公開してみます。誰かの役に立てば幸いです。

後半のテーマは「ドキュメンテーション」です。

新卒者向け資料_タスクマネジメント・ドキュメンテーション (13)

組織内のコミニュケーションとして、対面・メール・チャットなど様々なものがあり、時代とともに変化し続けていますが、ドキュメント(文書・書類)を介してのコミニュケーションは根強く残っています。特にステークホルダーとの合意形成や、チームメンバーに期待通りに行動させること、そして相手に魅力を伝える時などに、ドキュメントの活躍の場があります。

しかし前回の記事のタスクマネジメント同様、ドキュメンテーションが苦手なままの人は多い印象です。特に体系化されて学ぶ機会もなく、基本的には「盗んで学べ」とされてきた人は多いのではないでしょうか。

確かに細かいテクニックやコツは「盗んで学ぶ」で十分かもしれませんが、基本的な考え方はある程度最初に知っておいて、自分の中で環境に合わせて最適化した状態でインストールした方がいいと思います。というわけで、今回も組織で働く上で求められるドキュメンテーションの基本的な考え方を3つにまとめました。

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1.目的に応じて書き方を変える

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「読んだ人にどのようなアクションをしてほしいのか?」を意識して書く、これがドキュメントを作る上で最も重要なポイントです。

例えば議事録は、
・決定事項やTODOに関する参加者の認識のズレを正してもらう
・参加していない人に内容を知ってもらう(TODOを実行してもらう)
といったことが挙げられます。
不思議なもので、同じ場所で同じ議論をしていても、会議参加者の認識って結構ズレたまま終わってしまうんですよね。

よってそのズレを正すために「どういう背景で具体的に何が決まったのか」を明確に書く必要があります。これによりもし議事録の書き手の認識がズレていたら指摘してもらえるようになります。ふわっと書かれていると指摘しようもありません。

よくある議事録のアンチパターンとして、議論された内容がただ列挙されているだけの書き方がありますが、これでは最終的な決定事項なのか議論の中での一時的な決定事項なのかを区別できず、認識がズレたまま終わってしまう原因となります。あとシンプルに読みづらくてそもそも誰も読んでくれません。

また議論の中の発言には推測と事実が入り混じっています。対面コミニュケーションの場では区別できるかもしれませんが、それをテキストにすると区別できなくなることがあります。よってそれも明確に区別して記載する必要があります。

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あくまで一例ですが、自分はこの議事録フォーマットをベースに、会議体の特徴に応じてカスタマイズして使っています。ご参考まで。


同様にマニュアルは「記載の通りに行動してもらう」が目的となるので、誰が読んでもなるべく同じ認識・行動になるよう正確に記載する必要がありますし、社外向け資料は「数多ある選択肢の中から自社を選んでもらう」が目的となるので、とにかく丁寧に魅力的に書く必要があり、議事録とは逆に事実よりもハッタリが重要になることもあります。このように読んだ人に期待する次の行動をイメージしながらドキュメントを作る意識が重要になります。

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ドキュメントは見やすいに越したことはありません。議事録のデザインに時間を費やす必要はありませんが、社内向けのプレゼン資料や社外向け資料はしっかりデザインを意識して作るべきです。自分はデザイナーではないのですが、ノンデザイナーズ・デザインブックを読んで「デザインの4つの基本原則」を意識するようになっただけで、目に見えて資料が見やすくなりました。オススメです。

またテキストの書き方、文章の構成を考えるスキルを得たい場合はこちらの本がオススメです。


2.目的に応じて管理方法を変える

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ドキュメントの特性は大きく2つに分けられます。

ストック情報は「後で見返すことが多いもの」です。例えばマニュアルや戦略資料などです。これらは必要な人がアクセスしやすい状況にする必要があります。ただし共有フォルダに置いておけば万事解決というものではなく、そこのフォルダ構成もしっかりルールを作って整える必要があります。

つまり「欲しい情報が置かれているであろう場所を容易に想像できる状態」をキープする必要があります。これにより「あれ、あの資料どこいったっけ?」と人に聞きまわる無駄な時間を削減できたり、せっかく用意したドキュメントが全く見られず同じことを何度も聞かれる無駄を削減できたりします。逆に言えば「あそこに置いてなかったらまだドキュメントが作られてないのだろう」と思えて、それが事実である状態が望ましいと考えています。

ただし一点重要な点があります。それは「常に最新化させる必要がある」です。せっかくフォルダ構成をわかりやすくしても、そこにあるドキュメントが古かったり最新がどれかわからなかったら意味がありません。よって常に最新化するためのルールや仕組みを作っておく必要があります。例えば、ドキュメントを更新したら古いファイルは退避フォルダに置き関係者にアナウンスするとか、定期的に変更点を確認して反映させる作業を予定に入れておくとかです。もしそれが多大なコストがかかる作業であり、ドキュメント化によるメリットを相殺してしまうほどのデメリットになるのであれば、ドキュメント化しないという判断もありです。


一方でフロー情報は「後で見返すことが少ないもの」です。例えば議事録や共有資料などです。これはSlackやメールなどで共有すれば十分なのですが、基本的に一度見たら見返されないので、一度で要点をしっかり伝える必要があります。よってサマリや要点を別途まとめて記載する工夫が必要になります。特に読み手に何かアクションを起こして欲しい場合は、まずそれを冒頭に強調して書くべきです。

もちろんフロー情報も共有フォルダなどで管理しても問題ないのですが、フロー情報は発生頻度が高いので、管理コストが大きくなりがちです。合わせて無理なく管理できる仕組みを作ることも求められます。


3.テキストだけでいつも正確に伝えられると思い込まない

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ここまでドキュメントを使ったコミニュケーションに求められるポイントを語ってきましたが、最後に「それだけじゃダメよ」という話をします。

ドキュメントを使ったコミニュケーションの前提として「読む人が持つ前提情報や知識は異なる」ということを念頭に置く必要があります。つまり同じインプット情報を伝えても、持つ前提情報や知識は異なるため認識や解釈が変わる可能性があります。

上記のイラストの例はものすごく単純な例ですが、過去にキャンペーン準備の経験ある人は「準備よろ」で伝わりますが、経験がない人は何のことかわかりません。「何をすればいいですか?」と聞いてくれればまだ良いですが、「自分には関係ないか」と解釈されてしまうリスクもあります。面倒なタスクであれば尚更です。

よって基本的に相手は「知らない」という前提でドキュメントを作るべきです。知っている人には読み飛ばしてもらえば良いだけなので、「なぜ、いつ、どこで、誰が、何を、どのように」(5W1H)をしっかり記載しましょう。もしそれが大変な作業になるのであれば、対面で説明する場を設けた方が早い場合もあります。

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他者と働く」はドキュメントの本ではありませんが、人とのコミュニケーションにおける大事な考え方(ナラティヴ・アプローチ)について書かれている良い書籍なのでオススメです。ざっと感想を書いた記事もあるのでご参考までに。

まとめ

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前回のタスクマネジメント同様、この記事の内容はあくまで基本的な考え方なので、組織や業態によって求められることは変わる可能性があります。なので最も効率的なドキュメントのコミニュケーションのあり方は何かを常に考える姿勢、そしてそこに向けて自分や組織をトレーニングしていく姿勢が求められると思っています。

余談ですが、自分は結構ドキュメントを作るのが好きな人です。特にプロダクトロードマップやインセプションデッキなど、大きな方針をまとめてチームメンバーに同じ方向を向いてもらうための資料には人一倍こだわりを見せるタイプです。もちろんそこに時間ばかりかけても仕方ないのですが、練習して短時間でも良いドキュメントを作れるようになれば、より仕事がやりやすくなるはずです。


今回は新卒の皆さん向けにコンテンツを作りましたが、それ以外のビジネスパーソンの皆さんのお役にも立てれば幸いです。

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