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「名言との対話」3月10日。伊藤雅俊「売り上げは、お客様からの支持率だ。利益は仕事の段取りや効率を示すモノサシである」

伊藤 雅俊 (いとう まさとし、1924年4月30日 - 2023年3月10日)は、日本実業家イトーヨーカ堂セブン-イレブン・ジャパンデニーズジャパンの設立者である。享年98。

東京都出身。大日本帝国陸軍特別甲種幹部候補生(特甲幹)を経て、家業の「羊華堂」という名称の洋品店に参画。1958年ヨーカ堂を設立。1973年ヨークセブン(現セブン-イレブン・ジャパン)を設立し、代表取締役社長に就任。同年デニーズジャパンを設立し、代表取締役社長に就任。1978年セブン-イレブン・ジャパン会長、1978年日本チェーンストア協会会長。1981年デニーズジャパン会長。

鈴木敏文が創業したセブン‐イレブンとイトーヨーカ堂を両輪として、セブン&アイは日本一の小売業となった。しかし、2016年にはセブン&アイホールディングスの鈴木敏文代表取締役兼会長兼CEOを退任に追い込んだ内紛の当事者となった。

大正13年(1924年)生まれの伊藤雅俊は長崎屋を創業した岩田孝八とは同年だった。ダイエー中内功大正11年(1922年)生まれだった。流通革命を主導した革命児たちは同世代であった。ライフコーポレーション清水信次、渥美俊一も同世代も含めてスーパー創業第一世代だ。

「一番大切なのは信用であり、信用の担保はお金や物ではなく人間としての誠実さ、真面目さ、そして何より真摯さである」。

「利益は仕事の段取りや効率を示すモノサシである」と伊藤は語る。

段取りのうまかった人とその言葉をあげてみよう。佐藤忠良「段取り半分」。佐川清「段取りの出来る者が作業の進行を握り、やがては作業全般を掌握するのは成り行きだ」。

「段取り力」とは、スケジューリング力ともいえる。自分と他人の能力と持てる時間を俯瞰し、スムーズに流れるように計画し、進め、最速のスピードで仕上げていく力である。

どんな仕事でも、そして人生という大仕事においても、この段取り力がキーワードになると思う。スピード感をもって仕事を片付けて残業をしない人、膨大な仕事量をなんなくこなす人には、この段取り力がある。それが納期や締め切りを守ることになる。

ビジネスでは納期を守ることは至上命題だから、実業界出身の作家は締め切りを守る人が多い。この業界では、特に小説の大家ほど締め切りを守らないので、編集者は苦労が絶えないとはよく聞く話である。

締め切りを守る珍しい作家たちをあげてみよう。新田次郎西村寿行胡桃沢耕史半村良渡辺淳一。そして、イラストレーターの柳原良平。漫画家の横山隆一はスリルを楽しんでいたとも聞く。手塚治虫にも編集者はやきもきしていたそうだ。それは売れっ子だからできることでもある。

池波正太郎は「約束も段取り・仕事も生活も段取りである。一日の生活の段取り。一ヶ月の仕事の段取り。一年の段取り。段取りと時間の関係は、二つにして一つである」と言っている。膨大な作品を書き続けたこの人の秘密は、段取りであった。その段取り力で締め切り前に仕事を終わらせ、自分の時間を楽しんだのだ。

ものを書く場合は、早めに手をつけることも、この段取りの一つだ。早めに着手すると、考えることの回数が自然に多くなる。他の情報との関連でヒントをもらうこともでてくる。テーマに対し立体的に取り組むことになっていく。気がつくと早めにかなりの作品ができあがることになる。

締め切り直前に頑張っても、作品の質はおぼつかないはずだ。質が高く、膨大な量の仕事をしている人の秘訣は「段取り力」なのだ。考えてみれば、複雑な人間関係を総合的に扱っている家庭の主婦たちの仕事も、この段取り力で成果が違ってくる。この力は、誰にとっても重要なものであることは疑いがない。

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