映画:パンケーキを毒味する

ひどい政治家のいる国には、ひどいジャーナリズムがあって、その原因は国民が酷いから。

そんなことを言いたい映画かな。

被写体への愛が薄いから、観ているのがちょっと辛かった。

観に来る人へも、知性を期待していない所が、何というか苛烈でもある。

撮られている人も、撮っている人も、みんな仮面を付けていて、素面を見せない。

観に来た僕らも、きっと相当に厚顔だ。

菅政権は、パンケーキのイメージだけで、若年層からの支持が一番厚いのだそうだ。

なんだか、そんな若者の本能的な嗅覚が、映画を観ている内に、とても正しい様にすら思えて来てしまう。

世の中に、こんな政治と映画を成立させてしまった現実に、僕らはどんな責任を負ったものかは、困ったものだけれども、将来の世代に、後ろ指を指されるくらいで済ませられないものか知ら、とは思う。

それこそは、国民が進んで負うべき責任であって、政治家やジャーナリストに押し付けてはいけないものだ。

彼らに、そんな能力が、ある筈なんて、初めからない。

勿論、クリエイターにも、ありっこない。

まぁ、実際には、国民の方にもないものだけど、取るしかない。 

御上に政は任せておけばよかったものを、下々の方で音頭を取らねばならなくなったから、当世は本当に大変だ。

けれども、その恩恵もまた、僕らに日々、多大に降り注いでもいる。

民主主義とは、厄介な恩恵である。

どんなに厄介でも、恩恵は絶大だ。

僕らは、もう随分、政治から恩恵だけを一方的に受け取り過ぎて来たのかも知れない。

政治家という蛮族は国民の本性を映す鏡であると、この映画は教えてくれる。

そして、ジャーナリズムは、いつだって、その事に、本当の所では、無関心を決め込んでいる。

彼らこそは、最後まで素面を晒しはしないから。

だから、政治家というものにも、案外に、かわいい所があるんだな、と思える様な、ハートフル・コメディとして観るのが丁度いい映画なのかな、と理解した。  

それ以外の面白がり方が、正直、見当たらない。 

賢い人には、もっと美しい画と映るに違いないけど、残念ながら、その知性が僕には足らなかった。  

パンケーキ、もう既にブームは去ったけど、久し振りに食べてみようかな、と思う。

シロップもバターもなしの、素焼きがいいな。

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