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「ブーマーベンディング」と言われてあなたはどう反応するか

若手テクニカルギタリストの筆頭ティムヘンソンが、唸らせるようなベンディングを「ブーマーベンディング(ベビーブーマー世代がやるようなベンディング)」と称したことでベビーブーマー世代を怒らせた、というのがありました。

ブーマーベンディングは私も大好きというかもう身体に染み込んでいるので「あぁ、新世代にはこれをやるとおじさんっぽく聞こえるんだ」と逆に目から鱗でした。

今はクリーンでペチペチな音でリズム重視の難解フレーズをやるのが新世代の「イケてる」感覚なわけです。

実は個人的に昔からそういうスタイルは好きでした。90年代にポールギルバートにハマっていた頃、ポールギルバートとかMIT界隈のテクニカル系とかが好きなら、将来的に行き着くギターの進化系はこういう感じ(クリーンなスィープ・タッピング・スキッピングをおり混ぜたスタイル)なのだろう、と自然に思い、自分でフレーズ考えたりしてやっていました。 ただ、当時はボカロ系とか作曲アプリ系音楽のブームも経ていない時代。

今の新世代はボカロ系とかを経て、色々なものがミクスチャーされて、そういうスタイルを推し進めて超絶進化させてますね。ある意味90年代頃の自分の予想は当たったわけですが、新世代によってギターテクが再びここまで新たな進化をするとは思っていませんでした。

逆に、感情の喜怒哀楽が薄い新世代の作る音楽には「咽び泣くような感情を爆発させたギター」というのが無くなっている印象。(現代感覚では「オシャレ感」が最も大事で、咽び泣きギターはその対極)

そういう面では退化していく部分もあるのでは、などと思ったりします。

ティムヘンソンが作る、まるでAIが作るような、私が勝手に命名するところの「AI世代フレーズ」は、ティムヘンソンが「おじさん」と言われる時代になる頃にはいずれ淘汰されていって、人間にしか出来ない喜怒哀楽感情爆発フレーズがまた復権するかもしれません。しないかもしれませんが。(笑)

進化は上の世代を否定することから生まれるので、新しいものを否定するか取り入れるかは世代は関係なく個人の性質。新世代もいつかは必ず旧世代になりますからね。私(私のようなパンクリアルタイム世代)もかつては「新世代」と呼ばれた時代があり、上の世代や権威に楯突く「パンク」なる音楽が登場したりハードコアな音楽が出てきたり、上の世代には「新人類」「宇宙人」「何考えてるかわからん」などと言われました。そんな「昔の新世代」もいまや旧世代になり、上の世代とまったく同じことを下の世代にも感じるようになったわけです。

私は「ブーマーベンディング」と言われて「なにーこのやろー」と思いつつもティムヘンソンのような新世代技術を盗んで吸収したりするタイプでいたいです。ギターに限らず。

などとくだらないことを考えている休日の朝です。

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