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ギターの究極フォームの研究と、ギターのフォームの歴史のはなし

事あるごとにギターを弾く人には度々しているこの話。私と同じように既存のフォームに疑問をもち色々悩みつつ「そもそものギターのフォームの歴史」から踏まえて研究している人がいた。なんか嬉しい。

ヴァイオリンなら顎と左肩で挟む、などのように楽器にはそれにふさわしいフォームというのがありますが、そもそもギターという楽器自体が究極の理想フォームがない楽器であり、人類は長い年月をかけてもそれに四苦八苦してきた歴史があるのだな、と分かりました。

クラシックギターとエレキギターは違うのか?

単純に「クラシックは左、エレキは右足に置くのが普通」「どっちも左足が理想」「どっちでもいい、自由に」という一般的な話ではなく、もっとそれぞれ個人にフィットした理想のフォームを追求して深堀する話です。

一般的にクラシックは左でフットレストを置くのが標準となっています。しかしエレキギターは形が色々ありすぎるためにフォームもバラバラです。どちらかといえば右足に置く人が多いでしょう。

最近ではエレキでも左脚に置くひとも増えてきました。特にテクニカル系のギタリストは、ストラップを短くして高い位置で構えるひとも増えています。一昔前は「エレキを高い位置で構える=ダサい」というイメージでしたが、最近はそういう価値観は薄れている印象です。

私個人の意見としては、エレキも同じギターであることから、左脚に置くのが理想に近いと考えています。理由は、以下に述べます。

右脚に置いて座って弾き続けて腱鞘炎に

私は若い頃にギターの弾きすぎが原因で、かなり重症の腱鞘炎、筋肉弛緩剤にお世話になる症状になった経験があります。

あの症状に陥ると全くギターが弾けなくなるどころか、日常生活にも支障が出ます。せっかく積み上げた練習の成果もリセットされてしまいます。明日いきなり再びそうならない保証はありません。だからいまだに日々フォームには神経を使い、試行錯誤して研究しています。イヤほんと、ああなるのはもう嫌ですから。

また、座って弾く時と立って弾く時の身体と指板のポジション、見え方などを全く同じにすることが非常に難しい楽器です。なんでみんなこれが気にならないんだろうと昔から疑問でした。

ピアノなど他の多く楽器もそうですが、練習時の多くの時間を費やすフォームと本番のフォームが同じです。ギターに関して言えば、クラシックギターでは本番も座って弾きますが、エレキギターの場合練習はほとんど多くの時間を座って弾く事が多いでしょう。バンドとの合奏練習は別ですが、普段から練習時にはずっと立って練習する人はそれほど多くないと思います。しかし、本番ではほぼ100%に近いくらい、立って弾きます。つまり、

「練習では多くの時間を費やすフォームを本番ではほとんど取らない」

という不思議な楽器です。そういうことにも疑問を持っていました。

右脚派から左脚派へ


その腱鞘炎になった頃は、座ってあぐらをかいて、右脚に置いて弾いてたりいました。とうぜん、左肩が前にせり出す形にあるため、少しストレッチを要するフレーズなどに無理が出ます。当時はセミアコを弾いていましたから、ボディが大きいので、あぐらをかくと左脚には置けないのです。

椅子に座って弾く時も、これまたそのままでは収まりが悪い。なので右脚に台を載せて右脚と右手で抱えるように弾くわけですが、それだと立って弾くときと大きくフォームが変わります。

また、ギターによっては右脚に置くとヘッドが落ちたりします。そのため、左手は「ヘッドが落ちないように支える」という無駄なエネルギーも余計に使うことになります。

右脚におくとずり落ちないように構え直す事が多く、右腕も左腕も無駄なエネルギーをずっと使い続けることになります。これが大きな悩みでした。

解決策として、

「普段の練習から、あぐらで弾くのは一切やめ、椅子に座って、フットレストを置き、クラシックギターと同じように弾いてみよう」

という結論に至りました。

究極の理想のフォームというのは存在しない

それ以来、人間工学的な観点からの、立っても座っても違和感がなく全ての指板に自由にアクセス出来る究極のフォームを研究しています。

ギターの形状によっても変わってくるし、その人の骨格や筋肉のバランス、身体のいろいろな関節の柔軟性、肉付きでも変わります。そう、つまり、

「"これ"という究極の理想のフォームなど存在しない」

のです。だから常に試行錯誤、永遠の課題なのです。答えがない課題だから面白い、とも言えます。

PRSギターとフォーム

上記のように、私は椅子に座ってフットレストを使って左脚に置いて弾くほうが究極の理想のフォームに近づけると長年思っていました。

しかし、メインギターをPRSに変えてからまた考えが若干変わりつつあります。不思議な事にPRSは、立って弾く方がバランスが良いところにストン、と収まり、理想のフォームに近づく感じがするのです。これは今まで触ってきたギターではなかった不思議な現象です。この謎の現象が今の研究課題です。

ではまた。

参考資料

参考記事1

こちらの記事も、とても参考になります。全ての弦楽器奏者におすすめです。(↓)

特に
「楽器を安定させて、そこにアプローチしていく方法論」
「自分を自然な状態に保ち、そこに楽器を近づけてくる方法論」
という2つの論を立てて理想のフォームを追求する、という部分は私が悩んでいる部分を見事に言語化してくれた!と、とても感銘を受けました。

参考資料2

「左手でネックを支えない」「12フレットを身体の真ん中に来るようにする」というのは、ギターでも私が考えていたことと一致する部分であり、とても参考になりました。(ギターの場合12フレットを真ん中に持ってくるとハイポジションでストレッチフレーズが弾くのが辛くなるので12〜15フレット、と幅をもたせたほうが良いように考えてます)

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