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大子町『孤独の(いなお)グルメ』レポート

『八溝知らずの偽坂東』。
そんな言葉を、私は知りませんでした。
知ったのは、ごく最近のことです。

八溝、とは「やみぞ」と読みます。
茨城県の北の果てにある、高い山。
溝が刻まれたような形状の深い山。
茨城県における、一番高い山です。

「…えっ、茨城県で一番高い山は
『筑波山』じゃないんですか?」

それが、違うんですよ。
筑波山は標高877メートル。
八溝山は1,022メートル。こっちが高い。
今では自動車で山頂付近まで行けますが、
道路も整っておらず車もなかった昔には、
まあ、大変だったでしょう、登るのが。

「坂東三十三か所」の霊場のひとつ。
関東のお寺などを巡る巡礼の旅において、
八溝山の「日輪寺」は二十二番目。

ここが、最大の難所だった。

ですから、八溝山に「登らずに」
麓まで来て参拝したことにする人が続出!

…まあ、登るの、大変ですからね。
そういう「ずっこ」(ずるい人)のことを
『八溝知らずの偽坂東』と呼んだ。
ちゃんと登りなさい!というドSな格言。

…この自動車がある現代に、
「偽坂東」と呼ばれちゃあ、たまらない。
先日、ついに行ってきました、八溝山!

本記事は、この八溝山をはじめとして、
茨城県の大子町(だいごまち)を
ぐるりと散策したので、備忘も兼ねて
『孤独の(いなお)グルメ』レポート
として、まとめてみました。
どうぞしばらくお付き合いのほどを…。

さて、まずはその「八溝山」や
「大子町」がどこにあるかの確認。
(地図帳や地図アプリでどうぞご確認を)

茨城県は、おおむね、
「三角形」の形をしております。
北の先っちょは「北茨城市」。
南東の尖ったところが「神栖市」です。
西端に行けば「古河市」がある。

北茨城は太平洋側で福島県との県境です。
神栖は、鹿嶋市の隣で千葉の銚子に近い。
古河は、関東平野のど真ん中にあります。

…ところが、ですね。

「おおむね」三角形、と書いたのは、
北の端っこのほうが「二つ」あるから。
一つは東側、太平洋岸の北茨城市。
もう一つの端が西側の山の中にある…。
この北西端にあるのが、八溝山!
市町村区分では「大子町」という町。

八溝山から北は、もう福島県です。
八溝山から西は、栃木県。
つまり、茨城県、福島県、栃木県の
県境にある山。というか、
この山を目印にして県境ができている。

距離から言えば、県庁所在地の水戸から
直線距離で七十キロくらいでしょうか?
ただ、うねうね道を辿っていくため、
体感ではそれよりも長く感じる。

高速道路が通っていないんですよ。

太平洋岸の北茨城市には
「常磐自動車道」を通れば
東京からでも一気に行けるのですけれど、
大子町、八溝山に行くためには
下の道をひたすら走るしかない…。

関東平野にぴょこっと突き出ている
筑波山と違って、八溝山はまさに秘境!

そこに、行ったんです。

ただ、私はそのあたりに
行ったことがないわけではなかった。
大子町には「袋田の滝」「月待の滝」
という有名な滝がある。観光スポット。
そこには行ったことがあります。

今回も、八溝山に行くついでに
その二つの滝も再訪することにしました。

茨城県と栃木県との
北のあたりの県境には、
「八溝山地」が南北に連なっています。
北の端が八溝山。南のあたりに筑波山。
この「八溝~筑波」の八溝山地の
東側を北上していく。

水戸市、那珂市、常陸大宮市と通り、
大子町へとたどり着きます。
常陸大宮市の北のあたりは、もう「峡谷」。
久慈川という川に沿って、うねうね行く。
だから大子町のあたりは
「奥久慈」とも呼ばれます。
このあたりは「鮎」漁が盛んで、
川の中で鮎釣りをする人たちがたくさんいた。

さて、まずは『袋田の滝』から!

ここは「四度の滝」とも言われます。
岩壁を「四段」にわたって落下するから…。
「四回」来ないと良さがわからないから…。
弘法大師・空海が「四度」来訪したから…。
色んな由来はあるそうですが、
とにかく「袋田の滝」=四度の滝。

「観瀑台」と言われる滝を見る場所があり、
そこで皆様、滝を見入ってました。
私も、来るたびに、絶句します。
よくぞこんな変わった滝ができた!と思う。

この袋田の滝の近くには
「豊年万作」という宿がありましてね。
そこの駐車場に「アップルパイ」の
超絶美味しいお店があります。

朝から売り切れまで営業。テイクアウト。
油断すると、すぐに無くなってしまう…。
ええ、これが私の大子行きの
お目当ての一つなのでした。
今回は、運良く購入することができた。

続いて「月待の滝」へと向かいます。

袋田の滝から10キロほど北上。
ここは、滝の近くの茶屋が昭和59年春に
「こんないい滝が世の中に
知られていなくていいはずがない!」

ラノベのタイトルのような想いで
観光地にしたところ。

そのため、その茶屋の「敷地」を通って
ようやく辿り着くことができる(商売上手)。

ここは、袋田の滝とは違い、
「滝の裏」にも入ることができます。
別名「日本一やさしい裏見の滝」

「誰にも見てもらえなかったこの滝が
今ではたくさんの人々の心を癒す
働きをしてくれている。
よく来たね…。ゆっくりしていきな…」

と語りかけているようだ、ということで
茶屋の店主さんが名付けた(商売上手)。

でも、ここ、本当に癒されるんですよ!
マイナスイオンが文字通り飛び散る感じ!
滝の裏から、流れ落ちる水にも触れられる。

茶屋には「山盛りかき氷」が売られており、
滝見をしながら食べられる(商売上手)。

このマイナスイオンの効果か、
『孤独のグルメ』の五郎さんのように、

「腹が、へっ、た…!」

となりましたので、近くのお店の
「奥久慈しゃもカレー」で腹を満たした。
(茶屋は大行列だったのであきらめました)

さあ、いざ、八溝山へ!

…ただですね、この八溝山は
「袋田の滝」「月待の滝」とは違い、
全く観光地化されておりませんでした。
ヘアピンカーブを何回も曲がり、
「これ…大丈夫? 熊、出ない?」
「大子でDIE GO…?」

不安になった頃、ようやく到着できる。

山頂には、古びた、城っぽい展望台。
階段が錆びてる…。

「もう少し綺麗にしてくれればいいのに!」
と、見に来ていた観光客がぼやいていた。

…しかしながら、展望台からの絶景は、
県内ではここでしか見ることができない
それはそれは綺麗なものでした。

「よく来たね…。ゆっくりしていきな…」
と山々に語りかけられているような。

最後に、まとめます。

本記事は、茨城県の北西の端にある
大子町にて「袋田の滝」「月待の滝」、
そして「八溝山」を巡るレポートでした。

アップルパイはどうなったか、ですって?
ご安心下さい。奥久慈茶と一緒に、
美味しくいただきました。

「しゃも」を使ったカレーや親子丼!
「りんご」を使ったアップルパイ!
斜面を利用して栽培した「奥久慈茶」!
常陸秋そば、こんにゃくに、鮎の塩焼き!

茨城県の大子町に、多くの美味あり。
この町を訪れた際には、ぜひご賞味を。

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