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ワンオペと大名行列 ~人手不足と人余り~

1、教授徘徊とワンオペ

まずはkokupo©さん(@kokuponz)のツイートの引用から↓。

このツイートに対する感想ツイートまとめはこちら↓。

「白い巨塔」と言えば、大名行列かのように医局員をぞろぞろ引き連れた「教授回診」のシーンが有名です。

ところが最近では、人手不足により1人で教授回診を行う科もあるため、「教授徘徊」になっているとのこと。

情景をイメージして、思わず笑ってしまったあと、ちょっと背筋が寒くなりました。

人出不足、深刻ですよね。某牛丼屋のアルバイトが1人で店を回す「ワンオペ」が、少し前にニュースになりましたよね↓。

「13時間連続で1人勤務」…。これはキツイ。トイレにも行けない。強盗が来たらどうするんだ。批判を受けて人員配置を見直して、今では極端なワンオペは無くなったそうですが、それでも人手不足は続いているそうです。

もし、医療現場で人手不足が続いたら、それこそ1人で手術(オペ)をする「ワンオペ」になりかねないんじゃないか、と不安に思います。ブラックジャックじゃあるまいし…(ピノコはいますが)↓。

今回は、人手不足について。

2、人手不足と人余り

まず考えたいのは、「どの業界で人手不足が深刻なのか?」ですね。「人出不足? いや、人が余っていますよ」という「人余り」の業界や職業もあるに違いない。この記事から見てみましょう↓。

1位はやはりと言うべきか「建物の骨組み工事をする仕事」。東京オリンピックがありますからね。需要が拡大して人手が足りない。これに関連して、2位は警備などの「保安業界」。工事をするには警備員が必須です。あと、建築関連が並びます。

他の業界はというと、冒頭で触れた「医療・介護」。教授回診やっている場合じゃないんでしょうね。「公共料金の集金人」「美容師やクリーニングなど生活衛生業界」も人手不足とのこと。

一言でまとめれば、「労働集約型」の産業ですね。人が直接やらざるをえない仕事。IT化やAIの活用が進んでいるとはいえ、まだまだ人が直接やらなければ回らない仕事は多いものです↓。

当然、こういう業界では、人手不足となりやすい。

一方で、「人余り」の業界や仕事もあります。

最も倍率が低いのは、58位のその他の運搬・清掃・包装等の職業で、0.20倍。商品の仕分け作業や、軽作業、公園整備・清掃の仕事などが該当する。
次に少ないのが、57位の一般事務の職業で、0.30倍という数字だ。オフィス系の事務職は、人余り状況が続いており、56位事務用機器操作の職業(0.43倍)、51位会計事務の職業(0.63倍)などが1倍を下回る。事務の効率化や機械化などが進み、人手を必要としなくなっているのが背景にあるのだろう。
ロボット化やAI(人工知能)化が進む製造現場でも、52位製造技術者(0.61倍)、49位機械組立の職業(0.72倍)などが1倍を下回る。55位美術家、デザイナー、写真家、映像撮影者(0.48倍)、53位船舶・航空機運転の職業(0.58倍)、同53位鉄道運転の職業などの専門職についても、低い状況が続いている。

事務系や、ロボット化の進む製造現場では、逆に人が余っている。

すべてが人手不足ではなく、仕事や業界によるのです。

3、人手不足のピンチはチャンス?

では、このような状況は悪いことばかりなのか?

そうとも言い切れません。地域再生を手掛ける木下斉さんは、次の記事で「ようやく訪れた日本変革のチャンス」ととらえています↓。

詳細は記事を読んで頂ければですが、最後の部分のみ引用します↓。

このような変化に敏感に反応する企業、自治体の経営者達は次々と新しい試みを始めています。
従来は現業を支える人材募集ばかりをしていたものの、所有する資産を活用して新規事業を進める人材募集を開始したり、さらに副業などが可能な都市部人材を呼び寄せ、地方事業に従事してもらう取り組みも始まっています。さらに生産性の低い仕事を人に押し付けることをやめ、自動化技術へ積極的に投資することによって産業力を強化しようとする工夫を始めていたりします。
最も硬直的だと言われてきた行政機関でさえも、採用や人事制度を大きく変え、優秀な人材を新たな政策に活用しようとする試みがスタートしています。

要するに、人手不足だと立ちいかなくなるので、これまでの募集や組織、業務内容を見直して、優秀な人材を確保する動きが出ている、とのことです。最も硬直的だと言われてきた行政機関でさえも、です。

逆に言えば、このような動きをとらない組織や地域は、人手不足の波に飲み込まれ、淘汰されていくことが予想されます。

さて、読者の皆さんの組織や地域は、いかがでしょうか?

4、危機意識の格差

危機意識が広まれば、何とかしなきゃいけないと、変革への機運が生まれます。逆に、危機意識がない、このままでも何とかなる、という気分であれば、変革への機運は生まれません。

この危機意識の格差は、どこから来るのでしょうか?

人手不足と言っても、人余りの業界もある。このことが、危機意識を薄める一因ではないかと思います。人はどうしても、危機からは目を背けて、これまで安心だった過去の幻想に浸りたいものです。「別に無理して変革しなくても、このままでいいじゃないか」と言いたいものです。このまま安住していたい人たちから、進んで恨みを買いたくはないのです。

しかし、それではいずれ淘汰されるでしょう。そうなってからでは遅い。

いかに一早く変革を進めて、新時代に合う働き方や労働環境を組み立てるか。アップデートしていくか。これは、経営サイドだけ、労働者サイドだけの話ではなく、双方が考えていかなければいけない話だと思いました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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