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ロールプレイングゲーム。
ロールをプレイするゲームです。
「役割」を「演じて」「遊ぶ」!

このロールプレイ自体は、
「演劇」という表現が古代からありました。
古代ギリシアでも行われていた。
ただ、その「演じる」ことを台本から離れて
純粋に「ゲーム」として遊ぶ、という行為は、
かなり新しいことなのです。約50年。

本記事では、RPGの歴史の源流を書きます。

「RPGの父」としてよく名前が挙がるのが、
ゲイリー・ガイギャックスです。
Ernest Gary Gygax。1938~2008年の人。

アメリカ合衆国のゲームデザイナーです。
シカゴに生まれた彼は、仲間たちとともに
『D&D』というゲームを世に送り出す。
ダンジョンズ&ドラゴンズ。1974年。

彼はいわゆる「ゲームオタク」でして、
あらゆるゲームを遊んでいました。
特にハマったのが「ウォーゲーム」
ミニチュアの兵士の駒を動かし、
お互いに戦い合うゲームです。

…日本には「将棋」があります。
軍の演習でも「兵棋演習」があった。
自分が指揮して駒を動かし、勝ちを目指す。

しかし、駒を自在に動かせるとはいえ、
それはあくまでチーム、集団の指揮として、
駒を動かしていくに過ぎない。
「駒自体」が「自由に」動くわけではない…。

「兵士一人一人の能力が個性化されて、
自由に動けるようになったら…?」

このテーマを突き詰めようとした
ガイギャックスは、自身が好きな
『指輪物語』などのファンタジー小説の
世界観を組み合わせていきます。

1966年、ウォーゲームのクラブを設立。
1969年のクラブのイベントで
アーネソンという人に出会う。

「中世のファンタジーの要素を土台にして
駒をつくってみればいいんじゃない?」

アーネソンはフィギュアの駒に
鎧を着せたり盾を持たせたりして、
その強さを自由に分けていきました。
ガイギャックスは『指輪物語』から発想、
人間ではないエルフやドワーフ、
怪物などもゲーム世界に組み込んだ…。

こうして案を練り、制作したのが、
1974年の『D&D』なのでした。

いわゆる『テーブルトーク』の形式。
つまり、テーブル上でトークをして
進んでいくロールプレイのゲーム。
ゲームマスターがシナリオや状況を提示し、
プレイヤーに選択を促す。
自分の行動を決め、伝える。
行動の成否はサイコロの出た目で決まる…。

プレイヤーたちとゲームマスターが
会話によって織りなすゲームです。
ルールブックをつくって売り出した。
これが大人気に!

「…あのう、今のドラクエとかFFとは
だいぶ違うような感じですが?」

そう思いましたか?
しかし、RPGの源流は
この「テーブルトーク」です。
あくまで会話を主体にして成り立つゲーム。

ガイギャックスたちはルールを更新しつつ
D&Dを世に広めていきます。
ただ、売れに売れた反面、
権利を巡って訴訟が起こってしまう。
ガイギャックスは会社を去ることになる…。

さて、こうして勃興したRPGが発展する中、
「コンピュータ」上でゲームとして
表現しよう!
という動きも生まれます。

早くも1976年、複数プレイヤーの集団が
モンスターのうごめく迷宮内を動く、
というゲームが出ました。
その名も、ずばり『ダンジョン』
(無断でゲーム化されたとか…)

1980年頃には『ウルティマ』
1981年頃には『ウィザードリィ』という
パソコン用のRPGが生まれていく。
テーブルトークの欠点は「一人では遊べない」
ことでしたが、それが克服された。
当初は、詳細な世界観やストーリーはなくて、
プレイヤーは隠されたヒントを
自力で探し出すということが多かった。

これらに触発された日本の会社、ナムコが
1984年に『ドルアーガの塔』を生む。
いわゆる「アクションRPG」!
主人公ギルが60階建ての塔を登る。
隠された宝物を手に入れることにより、
どんどん強くなっていきます。

この「アイテムを手に入れて強くなる」
システムを踏襲して作られたのが、
任天堂の『ゼルダの伝説』です。
1986年、ディスクシステムの第一弾ソフト!
当時、パソコンでは『ハイドライド』
『ドラゴンスレイヤー』『ザナドゥ』など、
「剣と魔法のゲーム」が多々ありましたが、
それらに対抗。

同年の1986年には、エニックスから
『ドラゴンクエスト』が販売されました。
テキスト形式で選択しながらの冒険。
運動神経に頼らない。経験値とレベルアップ。

翌年の1987年にはFF、つまり
『ファイナルファンタジー』が世に出る。
キャラクターの職業選択、空中移動の飛空艇、
斬新なキャラのアクションなどが売りでした。

「ゼルダ、ドラクエ、FF…!
有名な3つのタイトルが、
80年代後半に生まれていったんですね!
でもやはり、テーブルトークの色合いとは
かけ離れているような…?」

そうなんですよ。
コンピュータ上では、基本、一人で遊ぶ。
サイコロの乱数判定の手間が無くなった分、
自由に行動できる良さが失われた面がある…。

このコンピュータ化とは異なる流れで、
「グループSNE」という集団が
テーブルトークを普及させていきます。

1980年代の初頭、SF小説の翻訳家の
安田均さんは『D&D』を米国から取り寄せ、
ルールを理解し、広めようとした。

そこで考えたのが、
実際のプレイ内容を会話形式で再構築する
『リプレイ』でした。
1986年『コンプティーク』という雑誌で
このリプレイを「活字にして」発表!
『ロードス島戦記』と呼ばれる連載でした。
大人気となり、後に小説にもなった。

なお1986年には、コンピュータではなく
活字の本の上でRPGができる
『ゲームブック』の雑誌も創刊されます。
1982年にイギリスで
『火吹山の魔法使い』という
ゲームブックが出版されて以来、ブームに。
文章に選択肢と番号が付記されていて、
プレイヤー(読者)のパラグラフ選択により
展開や結末が変わる形式…。

最後に、まとめます。

本記事では『RPGの源流』を書きました。
テーブルトーク、コンピュータ、ゲームブック…。

コンピュータのほうは、ネットの普及で
「多数が同時に参加できるオンラインゲーム」
MMORPG
が生まれています。
源流であるトークも楽しむこともできますよね。

『ロードス島戦記』は多くの読者に影響を与え、
特にエルフのビジュアルイメージが定着しました。
その延長線上に『葬送のフリーレン』がある。

ゲームブックは90年代には廃れていきましたが、
現在では電子書籍やネットのリンクを活用して、
新たな創作が生まれつつあります。

集団の遊戯から個人を経て、また集団へ…。
ゲームオタクの鬼才が創造した「PRG」は、
今や全世界の人が楽しんでいるのです。

読者の皆様の思い出のRPGは何ですか?
どんな「役割」を「演じて」いますか?
どんな「選択」をしていきますか?


※ゲイリー・ガイギャックスについてはこちらを↓

※『ドラクエ』の爆発的な人気が
日本でのRPGの「主流」になった経緯があります。
そこには鳥山明さんのキャラデザの
力も大いにあったのでは…。
『鳥山明さんの『翻案力』の凄まじさ』↓

※『ウィザードリィ』は伝統的な
「ダンジョン」を冒険するRPGです。
詳しくはこちらの記事を↓
『ウィザードリィ、狂える王の試練場』

※FFの当初のプログラマー、
ナーシャ・ジベリさんについてはこちら↓
『伝説のプログラマー、空を駆ける』

※FF、ファイナルファンタジーの魅力の一つは
綿密にキャラ設定された登場人物たちですよね↓
『ファイナルファンタジーⅣにおける
『伝説のパーティ』(平均年齢42歳)』

※ただ、FFはシナリオがかちっとしていて
自由度が失われた部分があった。
その失われた自由度を発揮できるのが
表裏一体で開発されていった
『ロマンシング・サガ』です↓
『FFⅣとロマサガ、その自由度の差たるや』

※私が書いたゲームブック
『イバーランドの県道』につきましては、
こちらで制作過程をまとめています↓

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