見出し画像

さんばん、という言葉があります。
三番ではありません。

「選挙」において強い人は、
三つの「ばん」を備えている、という言葉。

◆じばん=地盤、後援会や血縁・地縁
◆かばん=鞄、資金・資産
◆かんばん=看板、知名度・肩書・役職

…確かに、徒手空拳で無名の人より
この「さんばん」を備えている人のほうが
より有利に、世の中に
訴えかけられそうですよね。

いわゆる「世襲議員」の皆さんは
この三つをあらかじめ持っていることが多い。
だから強い。

さて、この「さんばん」の考えを
「ビジネス界」に応用してみるとどうなるか?

これが、本記事のテーマです。

…単純に考えますと、

◆「つながりがたくさん」:じばん
◆「資金や資産が多くて」:かばん
◆「知名度や役職もある」:かんばん

このような人のほうが、
ビジネスはうまくいきそうです。
徒手空拳で無名の人に比べて、ですが。

ただ、世襲、すなわち
親が社長だったから後を継いで
その子どもが社長になった、
というケースを想定した時、

「さんばん」があるから
必ず円滑に行くかというと、
そうではないケースもあります。


なぜなら、ビジネス、ですから。
「お金」という良くも悪くも中立なものを
いかに多く集めてうまく運用するか、に
かかっているから。
お金の問題「だけ」ではない政界とは
異なるところ。

「商才」が、まず、必要とされるのです。

もし、その世襲社長に商才がない場合には、
いわゆる「番頭さん」のような
商才を持った人材がいないと、
そのビジネス(組織・会社)はダメになる。

…そう考えてみると、政界より
ビジネス界のほうが、より
「さんばん」の効果は薄い、と言えます。
徒手空拳で無名だから
うまくいかない、というケースは
「政界よりも」少ない。

あともう一つ、政界とビジネス界では
大きな違いがあります。

それは「ルール」が違うことです。

政界は「法治国家」であれば
ルール、「法律」に則って、
選挙戦や政局を戦うことになります。
もちろん「裏」では色々な闇が
あるとは思いますが、
少なくとも「表」では法に縛られている。

例えば、今の日本の選挙制度においては
「凄い有名人の1票を、100票分とみなす」
なんてことはない。
一人の投票は、みんな1票分。
その意味では、法の下に平等。
(もちろん地域においては
「一票の価値の格差問題」はあります)

それに比べてビジネス界では、
文字通り「お金」が票のようなもの。

例えば、凄く有名なお金持ちや組織が
バックについて支援してくれたとしたら、
そりゃあビジネスは有利になります。

ギリギリの資金繰りで戦う零細企業や個人と、
圧倒的な物量戦略で戦う大企業とでは、
とても平等な戦いにはならない。

いわば「大富豪や大企業の1票は
何十億票にもなりうる」。

そこは平等ではない。

…誤解をされるといけないので補足しますが、
「犯罪を犯してもいい」という意味ではありません。
犯罪を行って逮捕されたりしたら
そこで信用はがた落ち。

ただ、例えば労働基準法ぎりぎりセーフで
極限まで被雇用者を働かせたとしても、
「法を犯していない」のであれば、
アウトにはなりません。

また、ビジネスには「非情な決断」
いうものがつきものです。
あえて非情な決断をしたほうが
全体としては業績が上がる、
被害が食い止められる、そんなケースも多い。
これも、良くも悪くも中立な
「お金」がものをいう世界だから。

もちろん「お金が中立」とはいえ、
全部が数値化されているわけではありません。
「つながり」つまり、関係性の深さや、
「信頼」つまり、取引実績が多いとか、
支払い焦げ付きがないとか、そのような
「目に見えない心理的な資産」
あるのが、ビジネス界です。

まとめて言えば、
政界よりもビジネス界のほうが、
より「幅が広い」

ゆえに、ビジネス界で「さんばん」と言っても、
ストレートに「それだけ」では
勝負は決まらないことが多いのです。
(あるに越したことはないですが)
有名なビジネスパーソンも、最初からは必ずしも
「さんばん」は持っていなかった。

「…うん、その通りかもしれませんね。
それで、この記事で何が言いたいのですか?」

はい、ビジネス界においては、
「徒手空拳で無名の個人だから」
「さんばんがないから」と言って、
最初からあきらめることは
これっぽっちもない。


そう言いたいのです。

これは、全員が「ベンチャー企業」を起業し、
ビジネス界の龍虎、ビッグを目指せ、
という意味ではない。

…これまでの日本では、
「組織(企業)が成長し続けるように」
「つぶれないように」
組織(企業)を維持するのが
「個人の」目標になりがちでしたよね。

無数の個人が無名のままで、
組織を、支えていた。
その多くは、無名のまま去っていきました。
『プロジェクトX』などで
退職後にようやく光が当たる程度で…。

しかし、これからは違います。

どんな組織にいようとも、
個人も「個人として」稼げたほうがいい。


そう言いたいのです。

いくら個人の努力で
「組織」だけがビッグになっていっても、
全く「個人」に何も積み重なっていかなければ
その組織から離れた時、どうするのでしょうか?

凄い額の退職金がもらえればいい。
手厚い年金があればいい。
退職後、すぐに寿命が来ればいい。

…そういう時代では、ないですよね。

もちろん、これは私個人の考え。
読者の皆様には
様々な考えがあると思いますので、

「いや、ずっと無名でいいです」
「組織に重用されているから問題なし」
「そもそも、個人として稼げっていう人、
たいていが胡散臭いのよね」

その考えはそれで尊重します。

ただ、LinkedInやnoteなどSNSを運用している方は、
たとえ発信をしていなくても、

組織ではなく「個人」として
この世で何か動いていきたい人が
多いのではないでしょうか?


最後に、まとめます。

SNSの投稿を拝見していますと、
それはもう、素晴らしい「さんばん」を
お持ちの方がたくさんいますよね。

◆じばん:つながりがすごい!
◆かばん:事業がうまくいっている!
◆かんばん:有名な大企業に勤めている!
 個人的に有名! 元〇〇!

もう、キラッキラ。

それに比べてこの私は、

◆じばん:つながりはこれから…
◆かばん:小さい…
◆かんばん:無名の小さな企業ばかりに勤務…

本当にちっぽけな存在。

ですが考えてみれば、皆様も、
「最初から」さんばんを揃えていた人は
ごく少数だと思うのです。
年月をかけて、ご自身で揃えてこられた。
本当に、尊敬します。

私が投稿しているのも、
遅ればせながら「言葉」を表していくことで
少しでも「自分なりのさんばん」
揃えていければ、と思うからです。

財布や役職はすぐには手に入りませんが、
「言葉」なら、少しずつ出せますから…。
「つながり」なら、少しずつ増えますから…。

読者の皆様は、これまでに、どんな
「自分なりのさんばん」を揃えてきましたか?

よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!