古来のバンドウ

下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる ~SNS投稿のススメ~

1、あまいろさんの「出会えない人びと」

まずは、twitterで見かけたあまいろさん(@tentijin11)の漫画に、心に射抜かれたので紹介したいと思います。こちらです↓。

「もう35… 結婚したいし子どもも産んでみたい
私を大事にしてさえしてくれれば年収なんてどーでもいい
そんな男性どこかにいないかしら?」
「もう42だ 結婚したいな
でも手取り18万じゃ誰も相手にしてくれない
お金なんていいから私だけ見てって女性いないかな」
「どこに行けば出会えるんだろう?」
「ラッシャイマセー」

わずか1ページ・3コマの漫画。そこから想像できる世界。

私は思わずこのように引用リツイートしました↓。

【隣】
運命の相手は隣にいるかも。
紙一重。
しかし知り合いになるかどうかは
ベルリンの壁より厚い。
エスパーではない人の限界。
それを鮮やかに切り取った。

私はこのように表現をしましたが、この作品を読んで、どのような感慨を持たれるかは、人それぞれだと思います。未婚者と既婚者でも大きく違うでしょう。「牛丼屋」という、ちっともロマンチックではない場面をチョイスしたことから、色々なことを想像するかもしれません。

この漫画の感想は読者の方それぞれにお任せします。

本記事では、SNSで作品を掲載すること、その行為自体について、考えてみたいと思います。

2、人の目に触れる

あまいろさんはnote上で、このような記事も書いておられます↓。

この記事から、一部を引用しますと↓。

noteに投稿してたマンガが結構たまってたんで、それらを毎日ツイッターにアップ。徐々にフォロワーさんも増え、現在1174人。
noteに比べるとツイッターはやはり拡散力が違う、と実感した。

私も茨城県市町村擬人化×ゲームブック「イバーランドの県道」というコンテンツを作り、それをSNSで有料公開しています。また、それに関する情報を、制作途中から小出しにしてきました↓。

私の場合は、twitterからnoteへと移行したのですが、あまいろさんはnoteに漫画を投稿されて、それを徐々にtwitterにアップされています。

記事に書いてあるように、twitterは拡散力が半端ない。

時にはあの有名な漫画家さんの目に止まり…↓。

鈴木みそさん…! マジか…!

あの名作「銭」を書いた漫画家さんです(ファミ通で連載していた、と聞いたほうがしっくりくる方もいるかも…)↓。

こちらの私のnote記事でも「銭」を紹介しました↓。

なお、鈴木みそさんがtwitter上で挙げている「業田良家さん」とは、これまた名作の「自虐の詩」を描いた漫画家さんです↓。

このようにtwitterなどにアップすることにより、様々な方の目に止まることができます。これぞSNSの醍醐味。フォロワーを多数持つ「インフルエンサー」が、もてはやされる由来です。

このような方法は、SNSが世の中に普及するまではなかなか考えられなかったことです。以前は「雑誌に掲載されてから読者・ファンを獲得する」のが王道。しかし雑誌に掲載されるまではどうするの? そんな初期の階段を、SNSは軽々と跳び越させてくれます。まずは世間に「放流」して、感想をもらう。そしてブラッシュアップ。そのようなことが容易な時代です。

当然、自分と同じことをしている「同業者」の存在も、SNSによって知ることができます。あまいろさんはこのように書きます↓。

SNSへ投稿するようになってから、他人のマンガも目に留まるようになった(アマチュアが描いた、という意味で)
そして知った。 
世の中にはプロでもないのに面白いものを描く人が、とんでもない数で存在する‼
そして思った。(あのレベルの人たちと自分を比べてはだめだ。そんなことしたらマンガが描けなくなってしまう)

そうなんです。SNSに投稿することで、「すごい人」の存在、しかも「世の中にまだ知られていないけどすごい人」がいるということが、わかるんです。

これは、SNSに自分の作品を投稿した人と、ただ眺めている人とでは、受け取る重みが違うと思います。なぜなら、自分の作品を投稿するからこそ、その投稿にかかるまでの背景・労力が理解できるから。すごいなあと思う。その意味においても、SNSから得る自分の感想の質を上げるためにも、自分で投稿してみることは大事なのではないでしょうか。

あまいろさんは、note記事の中でこう続けます↓。

そこでわたしが出した結論。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、のやり方でいこう。
駄作でいいからとにかく描き続けよう。
とにかく描いて、あせらずゆっくりフォロワーさんを増やしていこう。
そしていつの日か、コミティアで新刊を完売させるのだ。

「とにかく描き続けよう」

その言葉通り、あまいろさんはたくさんの漫画をnoteやtwitterに投稿されています。オススメです。ぜひご一読を↓。

3、粗製乱造から傑作も生まれる

もし雑誌に掲載されてからでないと人の目に止まらないのであれば、雑誌に掲載される漫画はまさに一握りに過ぎません。その背景には無数の知られざる漫画が闇に葬られてきたことになります。

以前から「コミケ」などの場所で、同人誌という形をとって、いわゆる「インディーズ」の漫画が売られてきました。SNSはさらにそれを跳び越えて、「創作、即、発信」することができます。

ただここでブレーキとなるのが、自意識です。つまり「自分の拙い作品を、このままの形で世の中に出していいものか…?」という気持ちです。

実は私も、twitterやnoteで「イバーランドの県道」というゲームブックのことをアップするのに、最初は抵抗がありました。「完璧に仕上げてからアップしたほうがいいんじゃないか」「納得できる仕上がりにならないうちは世に出さないほうがいいのでは…」。しかし、お察しの通り、「完璧に仕上げる」など砂上の楼閣、ただの自己防衛に過ぎません。

電子書籍などで新しいゲームブックの形を世に示した、「護国記」作者の波刀風賢治さんのツイートをご紹介します↓。

粗製乱造と言われるが、裾野が広くてこそ、その中から傑作も生まれる。最初は駄作でいいんです。みんなで粗製乱造しよう!

1980年代の徒花と呼ばれたゲームブックは、まさにこの「粗製乱造」によってブームが終息に向かってしまった苦い歴史があります。その歴史を飲み込んだ上で、たぶん確信犯的に「粗製乱造」を勧める波刀風賢治さんに、私は大きな勇気を頂きました。

有名な作家も、必ずしも最初から名作を書いていたわけではありません。

あの「漫画の神様」手塚治虫さんでも、子どもの頃に練習で最初に書いた漫画は、箸にも棒にもひっかからないものだったでしょう。その駄作を繰り返し繰り返し生み出して、自分をブラッシュアップして、ついには雑誌に掲載されていったわけです。おそらく手塚治虫さんの子ども時代にSNSがあったら、躊躇なく投稿されていたのではないでしょうか。「この人、毎日膨大な数の漫画の投稿をしているけど、いつ寝てるんだ?」と思われたかもしれません。

頭の中の名作をお持ちの方へ。

ぜひ形にして、SNSに投稿してみませんか? もう一度、波刀風賢治さんのツイートより繰り返します。

最初は駄作でいいんです。

4、あえての手の内

いかがでしたでしょうか?

この記事では、自分の作品をSNSに投稿することについて、色々と考えてみました。せっかくこんな便利な世の中なのですから、一歩も二歩も踏み出して、あなたのアイデアを形にして投稿してみてはいかがですか? そりゃあ内容についてとやかく酷評する人もいるかもですけど(私も喰らったりしました)、クリエイターであれば誰しもが通る道なのですから…。

というわけで、でもありませんが、三歩踏み出して「イバーランドの県道」の制作過程を、「過程訪問」と題してnote記事にまとめておりますので、もし良ければご一読ください↓。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!