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ライフパズルの醍醐味 ~集めて組んで直して眺める~

今回の記事は、夏の終わりに際して、「実用地歴提案会ヒストジオ」のいま現在の自己紹介と、「ライフパズル・プロティアン」な考え方について、ある国の考え方を下敷きにして、書いてみました。

1、6週間の夏休み

学生の頃は長い夏休みがあります。最近は早倒しや遅倒しがあるそうですが、基本、7月下旬には夏休みに入り、8/31にはたまった宿題をこなす。夏の風物詩です。

社会人になるとそんなに長い夏休みは取れません。せいぜいお盆周辺の1週間程度。6週間も夏休みを取る、と言ったら「その間の仕事はどうするの?」「休み明けに自分の机は残っているの?」と疑問が出ることが多い。

しかし世の中には、6週間の夏休みが常識、という国もあります。

スウェーデンです。

東京都出身ストックホルム在住の吉澤智哉(よしざわ・ともや)さんの記事を見てみましょう↓。

「そんなに休んだら、仕事が回らないのでは?」と思いますよね。

さて、なぜスウェーデンでは、6週間も夏休みが取れるのでしょうか?

(少し考えてから、記事の部分引用をお読みください↓。※太字引用者)

つまり、スウェーデンの世の中全体で6~8月は社会の速度がガクっと落ちるのです。会社だけではありません。お役所に住民票を申請しても、普段は数日で届くのが数週間経っても届かなかったり、ビジネス街であれば、出社している社員が少ない=お客さんが減る=レストランのランチ営業は採算が合わないので、夜だけの営業になったりと、世の中が少しだけ不便になります。
ですが、ここに腹を立てても仕方がありません。自分が長期休暇を取得する自由と引き換えに、少しだけ世の中の不便さを受け入れるという暗黙の取引が成立しているように思えます。つまり、6~8月の間は、何か不都合があっても「あー、だって夏だしね」の一言で済んでしまうのです。
つまり、スウェーデン人がこれだけの長さの夏休みを取れるのは、世の中全体に相互理解があるから可能な話。いうなれば、普段通りのスピードを期待してはいけないのです。

一言で言えば「世の中全体に相互理解があるから」です。

おそらく、日本で6週間の夏休みを取るお店がたくさんあったら「不便でしょうがない」という声が上がるでしょう。スウェーデンではそうではない。「お互い様」なのです。自分も長期休暇を取得する。他の人も取得するから、世の中が不便になる。「あー、だって夏だしね」「しょうがないよね」で済んでしまうそうです。日本では逆に、「自分もあまり休まないから、世の中も働いてくれよ」という感じでしょうか。

ただ、誤解しないでいただきたいのは、「スウェーデン=怠惰、日本=勤勉」というわけではないということです。再び引用↓。※太字引用者

適度に休むことが心身ともに健康でいられ、仕事でパフォーマンスを発揮できるというのがスウェーデンでは常識となっており、その“適度”が6週間の夏休みということなのです。
私は自分を含めスウェーデン人が休み過ぎだとは思いません。365日から土日祝日と有給休暇を差し引いた稼働日は、私がホンダで研究開発業務をやっていた頃と比べてほとんど変わりません。数週間に渡る休みはありませんでしたが、日本のカレンダーは祝日がとんでもなく多く、3連休がしょっちゅうあります。
一方スウェーデンでは祝日がほとんどなく、その分有給休暇を夏にまとめて取っているだけなのです。しかし上述のとおり、育児休暇を小出しで取るなどするので、それらを加味すれば実際に出社する日はだいぶ少なくなくなります。でも小さな子を持つ親として、他の従業員より少しばかり多く休むのは当然のことと思います。

どうですか。日本にいるとなかなか気づきにくいことですが、「日本のカレンダーは祝日がとんでもなく多い」「3連休が多い」のです。一方スウェーデンでは、「祝日がほとんどない」「その分、有給休暇を夏にまとめてとっているだけ」なのです。

しかしその背景には、「スウェーデンの仕事観」があるようです。

適度に休むことが心身ともに健康でいられ、仕事でパフォーマンスを発揮できる
小さな子を持つ親として、他の従業員より少しばかり多く休むのは当然のこと

日本ではどうでしょうか? このスウェーデンの「当然の仕事観」が、有給休暇の取り方などに反映できますか? 忙しい時は休まれると迷惑、と思われていませんか? 小さな子どもがいるからといって多く休まれると迷惑、と思われていないでしょうか?

2、ライフパズルとプロティアン

以前、私はスウェーデン(北欧)ならではの考えを紹介したnote記事を書いてみました↓。

「ラーゴム」「フィーカ」などもご紹介しましたが、ここではもう一度「ライフパズル」という考え方をご紹介します。その時の記事の本文より↓。

パズルですから、ジグソーパズルを思い浮かべてください。自分のピースを、自分なりに組み立てていく。すでに決まったピース、大きすぎるピースに無理やりあてはめていくのではなく、自由にその時々の状況に合わせて変幻自在に組み合わせていく。家族というピースを増やす時期もあれば、仕事というピースを増やす時期もあるでしょう。趣味というピース、グルメというピース、読書というピース、色々考えられます。しかしあくまで、自分が主体。
パズルを組み合わせるのは自分であって、組織が主体ではありません。組織にあらかじめ決まったパズルを渡されるのではなく、自分が一からピースを集めて組み立てていくのです。終身雇用で、就職したら結婚して子育てしてローン組んで、という決まった道ではありません。

このように私は「ライフパズル」を解釈しています。

法政大学の田中研之輔さんが世の中に広めている「プロティアン」の考え方にも共通するものが多いと思います↓。

スウェーデンでは、「組織にあらかじめ決まったパズルを渡されるのではなく、自分が一からピースを集めて組み立てていく」という、ライフパズルでプロティアン的な考えが、常識で相互理解も得られているように思われます。一方で日本では、まだ常識にもなっておらず、相互理解も得られていないのではないでしょうか。自分の人生の中で必要だと考え、育児休暇や長期休暇を取ろうとしても、「そんなに休みを取るなんて、他の人の迷惑を考えていないの?」と言われることが、まだ多いのではないでしょうか?

3、集めて組んで直して眺める

ここからは、これからの時代の働き方・生き方は、「伝統的な仕事観(キャリア観)」から、「ライフパズルでプロティアン的な仕事観(キャリア観)」に基づいて変えていくべきだ、という考察です。

◆「伝統的な仕事観(キャリア観)」
◇0~18歳:パズルのピースを集める(学習・能力向上)
◇19~36歳:パズルを組み立てていく(就職・仕事)
◇37~54歳:パズルを組み直していく(立場の変化・再構築)
◇55~72歳以上:パズルを眺める(退職・振り返り・年金生活)

あくまでパズルのたとえを使えば、このようなキャリアの大枠があったのではないでしょうか。18歳まではとにかく学習(勉強)→19歳頃からは大学や専門学校はあるものの就職して仕事をしていく→36歳頃からは身体も無理が効かなくなったり管理職・親の立場になったりして再構築→55歳頃から定年退職が見えてくると人生の振り返りをする…。

しかし、世の中は変わっています。仕事観(キャリア観)も変わる。

◆「ライフパズルでプロティアン的な仕事観(キャリア観)」
◇0~18歳:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)
◇19~36歳:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)
◇37~54歳:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)
◇55~72歳以上:集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)

…どうでしょうか? 極端だと思いますか?

ですが、世の中は、このような方向に動いています。

「小学生ユーチューバー」「高校生起業家」も出現しています。18歳未満は学習だけしていればよい、という時代ではありません。「アクティブ・ラーニング」も提唱され、受け身で一斉授業という教授スタイルは流行らなくなってきています。アウトプットしてなんぼ。となれば、当然、自分の行いを振り返って、さらに良いパフォーマンスを求める必要があります。SNSに小さい頃から接していれば「バズるツイートは何か」と分析します。

いざ就職したらどうか。昔なら「一社に忠誠」「定年退職まで」がスタンダードでしたが、今なら「転職」「副業(複業)」がスタンダードになりつつありますよね。「年功序列」から「下剋上」へ。齢を取っているから偉い、という状況は崩れつつあります。

生きるために学ぶ。

「生涯学習」は比較的昔から言われていますが、定年後の牧歌的なものだけではない。新しい技術や世の中の動きを、いかに身につけるか。19歳以上の実用的な「学習」こそが大事になってきます。必要に応じて学習し、ピースを集め、構築と再構築を繰り返す。そのためには「キャリアの棚卸し」「振り返り」が必要不可欠。定年退職した後の「オレ、よく頑張ったなあ」と思う自己満足のためのものではなく、得たものと足りないものを把握するために、また、新たなPDCAサイクルのために、「次の行動のための振り返り」を、常に行う必要があるのです。定期的に、アップデートしていく必要があるのです。

4、身体は変えられない、心は変えられる

もちろん、人間は生き物である以上、「生・老・病・死」から逃れることはできません。年齢的な体の衰えはあります。それは変えられない部分がある。いくら平均寿命が延びようと、年齢で共通する部分はある。

私は先日、6歳ごとに世代を分けて、0~72歳まで12の世代の記事を書きました(番外編で、出生以前と、72歳以後も書きました)↓。

しかし逆説的になりますが、だからこそ意識して、「集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)」というサイクルを、すべての世代において回す必要があると、私は思います。繰り返しになりますが、定期的に振り返りをして、アップデートしていく必要があるのです。

まだ若いからビジネスはできない、もう老いたから学習しなくていい…。○○だから○○しない、という常識は、すでに崩れています。

身体は変えられません。でも心は変えられます。ましてや世の中や常識は、いつの間にか変わっていきます。あなたの「常識」は、いつの時代のものですか? 最先端を走っているつもりで、いつの間にか最後尾にいませんか?

そのようなことを考え、まずは自分の「集めて組んで直して眺める(学習・構築・再構築・振り返り)」の一環として、「実用地歴提案会ヒストジオ」のTwitterやnoteを、今年(2019年)から始めて、続けています。

…正直に言いますと、最初からそんな明確な目的があったわけではなく、「集めて組む」中で少しずつ見えてきたんですけどね(汗)。後から「直して眺める」と、なんと出たとこ勝負かと赤面する部分もあるのですが…。アウトプットすることで、逆にインプットの必要性を痛感する、というところでしょうか。

ともかく、自ら付けた「実用地歴提案会ヒストジオ」の名に恥じないよう、これからも模索して、具体的な提案をしていきます。もちろん、根を詰め過ぎずボチボチと。

もう一度、冒頭のスウェーデンの考え方を書いておきます↓。

適度に休むことが心身ともに健康でいられ、仕事でパフォーマンスを発揮できる

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

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