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1、寝ても覚めてもカミスココ

鹿島アントラーズの経営母体が、メルカリに変わるという。

鹿嶋市はその話題でもちきりであろう。しかしこの記事は、アントラーズの将来を考える、鹿嶋市の行く末を占う、そういった内容ではない。

鹿嶋市の隣にある、茨城県神栖市(かみすし)の話である。

実はこの神栖市、鹿嶋市よりも人口が多い(平成30年時点)。

◆鹿嶋市:68,057人(県内14位)
◆神栖市:95,354人(県内9位)

しかし、茨城県の東南の端、千葉県の銚子市・犬吠埼の近く、あの尖っているところ、といわれて、ピンとくる方はかなりの茨城通である。おそらく全国的な知名度でいうと、鹿嶋市に大きく劣るのではないだろうか。それはひとえに、Jリーグのチームがあるかないかによる。人口は神栖市の方が多いのに、である。

そのような神栖市の知名度を上げるべく、神栖市公認のゆるキャラが、2014年に「爆誕」した。その名もずばり、「カミスココくん」である。

まずは何も考えずに、その姿を見て頂きたい↓。

…茨城県の形を模した頭。その隅が赤くなっており、左手で矢印を持っている。「カミスはココです!」と、文字通り全存在をかけて訴える希代のゆるキャラ。それがカミスココくんなのである。

他のゆるキャラがそうであるように、LINEスタンプにもなっている。カミスココくんが寝ているスタンプもある。しかし、寝ている最中でも、彼は「カミスはココです!」と矢印で差し続けているのである…!

これほど明確に自分の天命を全うしようとするゆるキャラを、私は寡聞にして知らない。

2、カミスココくんの生みの親

となると気になるのが、どのような経緯でカミスココくんが生まれたのか、である。

先述した神栖市のホームページの1ページ「カミスココくんの部屋」によると、2014年の8月から10月にかけて、募集が行われたという↓。

神栖市をイメージでき,多くの人から親しまれる「どこにも負けないキャラクター」をコンセプトに,キャラクターデザインの募集を行なったところ,全国や他国から598作品もの応募がありました。

その後、厳正なる審査を経て、決選投票が行われた↓。

その結果、見事に559票を獲得したカミスココくんが選ばれた。ゆるキャラは着ぐるみにも使われる。選考過程で「頭部が大きすぎる」と心配する声もあったが、市の担当課から「業者はどんなものでもできると言っている」と説明があり、一件落着したとのことである。

選ばれた理由は色々とあるだろうが、石井和裕さんの分析が的確に思えるので、紹介したい↓。

石井さんは、次の2つが必要だと説く。

1 お子さまでも書くことが出来る単純なデザイン。
2 地域ブランドを伝える役割を果たせるデザイン。

まさにカミスココくんは、この2つを十分に満たしている。一目見れば、誰でも「カミスはココだ」と分かる。「まずは名前と場所だけでも覚えて下さい」。その想いが全存在にあふれている。ごてごてして、あれもこれもというゆるキャラが多い中で、清々しいほどに簡にして明である。

このカミスココくんをデザインしたのは、千葉県市川市の「瀬戸佳実さん」であるという。さぞや名のあるデザイナーの方かと思ったら、本当にすごいデザイナーであった。こちらをどうぞ↓。

瀬戸清文さんとユニット【Chiku Chiku ♪】を組んでいる瀬戸佳実さんは、何と成田市観光観光キャラクター【うなりくん】や、山武市マスコットキャラクター【SUNムシくん】も生み出していた。

ホームページから、主な受賞歴を引用してみる↓。

2006年 第19回ユザワヤ大賞にて『ぼーるや』が佳作
2007年 第2回ユザワヤフレンドクラブWebコンテストにて『秋のおくりもの』が最優秀賞
2008年 第4回ユザワヤフレンドクラブWebコンテストにて『春のメリーゴーラウンド』が最優秀賞
2008年 COTTON TIME『ハンドメイドコンテスト』にて『ボタンの木』が優秀賞(キャラクター賞)
2008年 第7回ユザワヤフレンドクラブWebコンテストにて『小さい秋屋さん』で最優秀賞
2009年 海洋堂『四万十川カッパ大賞』にて『ふらいんぐかっぱそーさー』が入賞
2010年 第13回ユザワヤフレンドクラブWebコンテストにて『虹を渡るひつじカー』が最優秀賞
2010年  NHK『東京カワイイTV』内で「ちびわんこ&トランク」が第19回マイカワ大賞(1位)
2014年 COTTON TIME『ハンドメイドコンテスト』にて『くじらのメリーゴーラウンド』が優秀賞(ほのぼの賞)
2014年 東急ハンズ『年賀状デザインコンペ』にて入賞(商品化)
2015年 フェリシモクチュリエ大賞にて『どんぐりロケット』が入賞

珠玉のハンドメイド作品の数々…。親しみやすいカミスココくんのデザインは、このような様々な作品からもインスピレーションを得て、生まれるべくして生まれたのではないかと感じた。

カミスココくん。彼はその天命を全うすべく、今日も神栖市の場所を全力で差し続けるのである。

3、東南と工場

いかがでしたでしょうか? 神栖市の場所は、もうバッチリですね?

私なりの神栖市の擬人化を紹介して、この記事の締めにします。

神栖市は茨城県でも東南の端にあります。そこで、男性は「東南のカミス」にしました。まっすぐに伸びる海岸線を、命を救うためにひた走るライフセービング部。そのような設定です↓。

女性は、鹿島臨海工業地帯を象徴させる擬人化にしました。ずばり「工場のカミス」。鹿嶋市だけではなく、神栖市も工業が盛んな都市です。「Y字型の掘り込み港」もあります。そこで工業研究会所属の「工場ガール」にしてみました。なお、ヘルメットのピーマンは、神栖市の特産品です↓。

カミスココくんには及びませんが、この2人が読者の方の神栖市のイメージ形成の一助となれば幸いです。

神栖市の「港公園」には、高さ52メートルの展望塔があります。そこからは圧巻の鹿島臨海工業地帯の大パノラマが広がります。ぜひ、神栖市を訪れた際には、登ってみて下さい。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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