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カラフル力士参上

来たる秋場所に4人の新十両が誕生することになった。大器・大の里、向中野あらため天照鵬、なぜか四股名をつけなかった高橋、そして石崎あらため朝紅龍。いずれも有望株であり、早くも来場所の十両の土俵が楽しみになってきた。

なかで私の目を惹いたのが、高砂部屋の朝紅龍

かつて横綱・朝青龍と、関脇・朝赤龍が並んでいた高砂部屋。現在の師匠はその朝赤龍なのだが、弟子に色違いの朝紅龍の四股名を送った形だ。

高砂部屋にはすでに朝白龍がいるので、ここに紅白の龍が誕生したわけだ。今年の初場所に初土俵を踏み、4場所で三段目まで上がってきている朝白龍には早く朝紅龍に追いついてもらって、幕内での紅白揃い踏みを見たいものだ。

さらにこうなると、朝黄龍や朝黒龍、朝緑龍あたりも誕生させて、高砂部屋カラフルドラゴンズを結成してもらいたい。

そこでふと思ったのだが、四股名に「」が入った力士って、どれくらいいるものだろう。

すぐに思いつくのは、朝龍と鵬が横綱に並んでいた「青白時代」 期間は長くなかったが、ともに優勝20回超の両横綱が並んだ稀有な時期だった。あの不祥事がなければ、史上最強の東西対立になったことだろう。

で、その2人を含めて、歴代横綱のなかに「色」つきのカラー横綱は何人いると思う?

意外なことに、たったの4人なのだ。初代の明石から73代・照ノ富士まで、およそ300年ほどの期間に、4人だけ。これはちょっと少ないんじゃないか?

しかもその4人というのは、前記の朝青龍と白鵬のほかに、34代・羽山(1942年昇進)と、60代・双羽(1986年昇進)だけ。歴代横綱300年の歴史のなかで、すべて第二次世界大戦後、昭和から平成の時代だけなのだ。

たとえば「山」がつく横綱は14人、「海」つきが6人いることを考えれば、「色」つきのカラー横綱がたったの4人は、やっぱり少ないよね。

では、一段下がって歴代大関ではどうだろうか?

日本相撲協会が認定している、もっとも古い大関である雪見山(江戸勧進相撲)から数えて豊昇龍まで254人の大関がいるのだが、そのうちにカラー大関は10人。10人だけ!

前記のカラー横綱4人をのぞいた6人はというと、2代・川、8代・雲、69代・瀧、94代・川、106代・緘、190代・若羽

代数を見ればわかるように、5人は江戸時代の大関で、栃若時代の大関である若羽黒以外はいってしまえば歴史上の人物。近代大相撲では、カラー大関は若羽黒だけということになる。

しかもカラー横綱大関のうち、羽黒山、双羽黒、若羽黒はいずれも「羽黒」をいただいた四股名だが、これは地名由来なので「色」つきとは言いにくい。

では、明治42年(1909年)夏場所の優勝掲額制度開始以降の歴代幕内最高優勝者ではどうだろう。言うまでもなく、カラー横綱大関は(双羽黒以外は)いずれも優勝しているのだが、そのほかには?

調べてみてこれもビックリしたのだが、どうやら上記以外のカラー優勝力士は、昭和50年(1975年)名古屋場所に平幕優勝した剛だけのようなのだ。「金」が色かどうかはともかくとして(見落としあったらゴメン)

ええいもうこうなったら三賞までやってやれと調べたら、こちらもカラー力士の受賞はあんがい少ない。三賞制度そのものが戦後からのものなのだから、少ないのは当たり前かもしれないが。

カラー三賞力士の四股名だけ列挙してみよう。
【白】白鵬
【黒】若羽黒、羽黒花、黒姫山、黒海
【赤】栃赤城、朝赤龍
【青】青ノ里、青葉城、青葉山、朝青龍(蒼樹山、蒼国来、碧山)
【緑】(翠富士)
【金】金剛、金城、金峰山
ちょっと幅広くチェックしても、18人だけなのだ。昭和22年(1947年)から76年間もの期間でこれだけ。

どうも、大相撲の各種の栄誉の中で、カラー力士が占める割合はけっして多くないようだ。

そもそもカラー力士の数そのものが少ないのかとも思うが、では現役の力士のうちにカラー力士はどれくらいの割合でいるのか?

ざっと色別に調べてみると、こうなった(地位は令和5年名古屋場所番付)
【白】東白龍、白鷹山(十両)白旺灘(幕下)豪白雲、朝白龍(三段目)白猿(序二段)
【黒】黒姫山、琴羽黒(幕下)
【赤】赤虎(三段目)
【橙】なし
【黄】なし
【緑】翠富士(幕内)土佐緑(幕下)翠桜(序の口)
【青】北青鵬、碧山(幕内)藤青雲(十両)大青山、時蒼馬(幕下)千代青梅、大翔碧、蒼富士(序二段)
【藍】藍(序二段)
【紫】紫雷(十両)
【金】金峰山(幕内)金沢(三段目)若金子(序二段)里金子(序の口)
【銀】銀星山(序二段)
オレンジとイエローがいないのが惜しいが、まあ余裕で戦隊ものを組めるくらいはいるのだ。カラー力士が希少というわけではなさそうだ。

じつは本欄は、いったい何色の四股名が一番出世するのかを探ろうと思って調べ始めたのだが、意外や「カラー力士は出世しない」という結論になってしまいそうだ。

いやいや、ひとつ上記の現役カラー力士諸君(朝紅龍も含む)には、ぜひともそのジンクスを打ち破っていただきたい。

もっとも歴代優勝回数でトップの白鵬と歴代4位の朝青龍がいるんだから、そもそもそんなジンクスなどは存在しないのかもしれないが。

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