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春場所ニューカマー8年後

平成27年(2015年)春場所に力士生活をスタートした43人のその後を定点観測しつづけるこの企画。もうあれから8年が経ったんですね。月日の経つのはまことに速いものです。

昨年春場所の時点で43人のうち16人が頑張っていましたが、さてこの1年でどんな動きがあったでしょうか。

まずはやはりこの人から。昨年の時点では予想もしていなかった展開となりました。

衝撃の1年

昨年春場所に念願の大関昇進を果たし、その場所で11勝。順調に大関生キャリアをスタートしたかに見えた御嶽海でしたが、翌夏場所から大失速。ご覧のとおり1年間勝ち越しなし! その前の1年はすべて勝ち越しだったのに、この落差。名古屋場所のコロナ禍休場を含めて大関在位はたったの4場所で終止符。その後3場所も勝ち越せず、春場所は大敗。来場所は幕内下位へ転落です。いったいどうしたんだ? 先の「令和5年・春場所雑記」でも書きましたが、どこか深刻な負傷でも抱えているのかもしれません。まさかこのまま沈没してゆく男ではないはず。復活を期待しましょう。

入れ替わるように浮上してきたのが霧馬山です。

急浮上の1年

ご覧のとおり、昨年春場所から1年間勝ち越しを続け、ついに同期のトップに躍り出ました。そしてこの春場所、みごとに初優勝を遂げたのはご存じのとおり。三役で二ケタ勝利を重ねて、とうとう大関盗りでもトップに。来たる夏場所で10勝以上ならば大関昇進でしょう。同期から二人の大関が誕生するのは何気に大記録。実現なるか、こちらも力が入る場所になりそうです(なお、相撲協会のプロフィールなどでは霧馬山の初土俵は平成27年夏場所になっています。これは外国籍力士は就労ビザ取得のため新弟子検査の翌場所から前相撲を取ることになるため。同期ではデビュー時に注目されていたカナダ出身の誉錦が同様でしたが、新弟子検査合格はこの場所なので、本欄では平成27年春場所組としています)

お次は御嶽海とは大学時代からライバルとしてシノギを削ってきた北勝富士です。ライバル同様、あまりいい一年ではありませんでした。

後退微速の1年

潜在能力は抜群のものがあると思うのですが、どうにもムラっ気がおさまりません。下位で勝ち越し上位で負け越しのパターンも相変わらず。気がつけば三役からも三賞からも3年のご無沙汰。それでも秋場所では初日から9連勝で優勝争いにもからみ、ついに大輪の花を咲かすかと期待させましたが、10日目からやっぱり連敗癖が出て霧散しました。でもこの場所の勝ち相撲を見ると、まだまだ捨てたものではありません。御嶽海、霧馬山に続いて同期で3人目の賜杯獲得を期待しましょう。

次いで、度重なった大きな負傷から復帰し、すっかり幕内上位に定着した宇良です。

三役目前の1年

こちらも浮沈を繰り返していますが、変幻自在のワザ師ぶりに、最近はパワーもついてきて、相撲内容が安定してきました。夏場所には終盤まで優勝争いに参加し、最後は無念の負傷休場で脱落しましたが、昨今の戦国場所続きを見ていると、そのうち一発やるのではと期待させます。そこまで届かずとも、これからの1年で三役昇進くらいは手にすると思います。

冒頭に述べたように、昨年春場所の時点では16人いた同期生ですが、幕下まで進んでいた西園寺が引退してしまいました。この1年で去った同期生は彼一人です。

最後の1年

2021年の11月場所で待望の幕下復帰を果たしたものの、またしても跳ね返され、その後は三段目で一進一退。昨年九州場所を最後に引退に踏み切りました。最高位は2021年初場所の西幕下52枚目。初土俵後、序ノ口を1場所、序二段を2場所で通過し、同期でも三段目昇進は早い方でしたが、その後は長く三段目暮らし。けっきょく幕下は2場所のみでした。首の負傷が長引いたゆえに引退の決断を下したとのことで、引退後は故郷に戻るとのこと。お疲れさまでした

中卒組のトップを切って幕下上位まで番付を上げた井上も、負傷による長期休場で遠回り。幕下から一気に序ノ口まで降下していましたが、昨年復帰。序ノ口、序二段、三段目を1場所ずつで駆け抜け、幕下復帰を果たしています。そして今年初場所から由緒ある四股名で、現師匠・木瀬親方の現役名である肥後ノ海を襲名しました(4代目)

復活の1年

幕下でも勝ち越しを続け、いよいよ関取昇進間近かと思いましたが、今場所は19枚目で無念の途中休場。負傷にめげずに同期で5人目の関取昇進を実現してください。

こちらも幕下に定着してきた大和湖(おおやまとうみ)

安定の1年

令和3年(2021年)11月場所に幕下に再昇進して以来、勝ち越し負け越しを繰り返しながらも幕下の地位を維持。昨年11月場所には最高位の幕下28枚目まで上昇しました。その後2場所連続で負け越して、この春場所は三段目に降格しましたが、6勝を挙げて1場所での幕下復帰を果たせそうです。ぼちぼち幕下中位を抜け出して、関取アタックといきたいですね。

同じく幕下定着組の諒兎馬

逆襲の1年

昨年春場所で待望の幕下昇進を果たしたものの負け越しで三段目へ逆戻り。夏場所はコロナ禍で全休扱いになりましたが名古屋場所は勝ち越して、実質1場所で幕下へ復帰。その後も勝ち越しを続けて、春場所では自己最高位の東幕下27枚目へ昇進しました。しかし春場所では大敗。また来場所は幕下中位からの再逆襲を期することになりました。大和湖とともに、早く関取を狙える地位に登ってもらいたいものです。

一昨年後半に幕下昇進して定着したかに見えた小原ですが、昨年夏場所で三段目に再降下してしまいました。

再浮上への1年

コロナ禍休場もありながら3場所で幕下再昇進しましたが、休場でふたたび三段目へ。ただこの春場所は上位で勝ち越し、どうやら来場所は幕下復帰となりそう。まずは幕下にしっかり定着していただきたいですね。

幕下経験組の最後は(さざなみ)

一進一退の1年

一昨年七月場所で幕下昇進し最高位48枚目までは上昇したものの3場所で陥落。残念ながらこの1年は三段目暮らしが続きました。上位へ進出しては負け越して撥ね返され、再び中位から出直しとなり勝ち越して浮上してはまた撥ね返されるという、同期の幕内・北勝富士のミニ版となりつつあります。まずは幕下復帰、そして定着が当面の目標でしょう。

同期生の残り6名も紹介しておきましょう。三段目まで進んでいるのが、朝虎牙、出羽の空、福湊の3名、朝童子、大当利、京の里の3名は最高位が序二段です。

8年もたつと、同期生の間の差も大きくなってきています。大関から序二段までの差は途方もなく大きいですが、でもその差を詰めるも開くも自分の稽古次第です。上位を目指して、頑張ってください

ではまた来年の春場所後に、お会いしましょう。

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