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2015年派遣法の改正

https://haken-magazine.com/1190/

3年ルール(3年抵触日)が開始

2015年の派遣法の改正で3年抵触日(ていしょくび)が開始しました。
派遣業界ではこれを「3年ルール」といわれることがあるこの制度ですが、この「3年ルール」とは正式に【個人単位の期間制限】【事業所単位の派遣期間制限】といい、派遣労働者個人と派遣先事業所の2つで注意する必要があります。

具体的には、同一派遣労働者を派遣先の同一組織単位内で派遣できる期間の制限が最長「3年」に定められました。
これが【3年ルール】(3年抵触日)です。

個人単位の期間制限(個人抵触日)について

派遣労働者(派遣スタッフ)1人当たりの受け入れの上限が3年
例)
スタッフAさんがある企業に、2021年5月7日に事務員として派遣で勤務を開始した場合、満3年となる2024年5月6日までのしかAさんを派遣してはならないことになります。

これが、個人単位の期間制限(個人抵触日)の3年ルールです。

しかし【個人単位の期間制限】(個人抵触日)に該当しない3つの条件があります

個人抵触日が除外される3つの条件

※どれか1つでも該当していればOK

① 無期雇用派遣

派遣労働者が、派遣元(派遣会社)との雇用契約で無期限の雇用契約をしてもらう【無期雇用派遣】になることができれば、長期安定が見込めるため、派遣先の同一組織単位で3年以上勤務することが可能となります。

② 60歳以上の場合

60歳以上の派遣労働者の場合は、3年ルールの対象外となります。
※原則として、3年目を迎える年に60歳未満の方は3年ルールが適用されます。

③ 有期プロジェクトの場合

3年を超える長期的なプロジェクトの派遣に限り、3年ルールの対象外となります。
しかし、プロジェクト終了までに限りますのでプロジェクト終了と同時に終了になります。プロジェクトが途中で終了した場合もその時点で終了になります。
<注意>
プロジェクトの期間が変更となったと場合は、3年ルールの例外に取り扱われない場合があります。

上記の3つの条件のどれか一つでも満たしていれば、個人抵触日は除外されます。

【事業所単位の派遣期間制限】(事業所抵触日)について

派遣先の事業所単位は、派遣先の事業所(派遣先企業の組織単位)で派遣の受け入れから最長3年というが【3年ルール】(3年抵触日)です。

例)
派遣先企業の第一営業部 営業課 に派遣労働者を2021年5月7日から受け入れ場合満3年となる2024年5月6日までしか派遣の受け入れが出来ません。
これは、派遣労働者スタッフAさんが2021年5月7日から勤務開始で
スタッフBさんは2023年4月1日から勤務開始したとしても、
両名とも、2024年5月6日で派遣受け入れ終了となります。

これが、【事業所単位の派遣期間制限】(事業所抵触日)のルールです。
この【事業所単位の派遣期間制限】(事業所抵触日)の除外はありません。
しかし、【部署異動】【延長】の対応は取ることが出来ます。

【部署異動】について

同じ派遣労働者スタッフBさんを事業所抵触日を超えて派遣の依頼をしたい場合は、【部署異動】で可能になります。

例)
派遣先企業の第一営業部 営業課 に派遣労働者を2021年5月7日から受け入れ場合満3年となる2024年5月6日までしか派遣の受け入れが出来ません。
これは、派遣労働者スタッフAさんが2021年5月7日から勤務開始で
スタッフBさんは203年4月1日から勤務開始したとしても、
両名とも、2025年4月2日で派遣受け入れ終了となります。
ここまでは同じ【3年ルール】ですが
このスタッフBさんに継続して勤務してもらいたい場合、現在派遣してもらっている
第一営業部 営業課から総務部や経理部、などに部署を異動することで可能となりますが、同一業務などを依頼するのが難しくなりますので、派遣先と派遣元でしっかりと話し合いが必要となります。
※しかし、個人抵触日の3年ルールはされますので注意が必要です。

【延長】の対応について

【部署異動】では無く、同じ業務で継続的に勤務してほしい時に【延長】ができます。

延長の方法について

  1. 労働組合または労働者代表に意見聴取

  2. 書面による通知

  3. 意見聴取・延長に反対された場合

  4. 結果の記録、保存、周知

  5. 派遣元への通知

1.労働組合または労働者代表に意見聴取
派遣先企業側が抵触日の1ヶ月以上前に意見聴取が必要となります。意見徴収の相手は、派遣先事業所に労働者の過半数を組織する労働組合がある場合はその労働組合。
過半数が組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。過半数代表者は、36協定や就業規則改正の際と同様に管理監督者以外の者を民主的な手続きで選出します。(選出された方は、労働者代表となります。)36協定や就業規則改正の際の労働者代表と同一人物となることは差し支えありませんが、派遣受け入れ期間延長の意見聴取のためであることを明確にした上で選出してください。
<注意>
社長(事業主)と派遣社員しかいない派遣先においては意見を聴く労働者がいないので受け入れ期間を延長することができません。

2.書面による通知
意見聴取の相手に以下の2つを書面で通知します。

(1)労働者派遣の役務の提供を受けようとする事業所
(2)延長しようとする期間(3年以内)

通知の際に意見聴取の参考資料として、派遣受け入れ開始からの派遣社員数と派遣先の無期雇用労働者数の推移等を提供することが求められています。

3.意見聴取・延長に反対された場合
過半数労働組合等の意見を聴取します。
過半数労働組合等が書面で意見を通知するという定めがないので、意見聴取のための会議等の際に口頭で意見を述べることも可能です。

延長に関して異議が述べられた場合は、抵触日の前日までに延長の期間と理由、派遣の常用代替に関する意見がある場合は、常用代替への対応方針を説明しなければなりません。

4.結果の記録、保存、周知
派遣先は、派遣可能期間を延長するに当たっては、意見聴取に関する以下の事項を書面に記載し、抵触日から3年間保存するとともに派遣先労働者に周知する必要があります。

  • (1)意見を聴取した過半数労働組合の名称又は過半数代表者の氏名

  • (2)手順2の通知事項及び通知日

  • (3)過半数労働組合等から意見を聴いた日、意見の内容

  • (4)意見を聴いて派遣受け入れ期間を変更する場合は、変更した期間

  • (5)手順3で異議に対して説明を行った場合は、説明した日、説明の内容

派遣先企業の従業員への周知として

  • 事業所内の掲示や備え付ける

  • 書面で個別に配布する

  • 電子データで保存し、従業員がいつでも閲覧できるようにする

などの対応が必要です。

5.派遣元への通知
派遣受け入れ期間を延長した場合は、速やかに派遣元に事業所単位の抵触日の変更を通知してください。通知の方法は、派遣契約締結時の抵触日通知と同じです。

以上が、延長の対応方法です。

まとめ

複雑だと思いますが、詳しくは派遣会社の営業担当に聞いてもらえるとわかりやすいと思います。