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絵本レビュー『ぼくのかぞく ぼくのからだ』

こないだきたがわ先生のポップアップストアに行って、買ってきたから書くよー。


『ぼくのかぞく ぼくのからだ』
作者はお馴染み、きたがわめぐみ先生。
今西洋介先生の監修あり。
出版社は永岡書店。

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先に書いてしまえば、個人的にはこの本について「マジよかった!最推し!性教育といえばこの本っすわ!!!」みたいな絶賛モノ、まではいかないのね。作家が好きでも作品ごとに好みが分かれるのはまぁしょうがない話で。
(でもこの本は買って良かったと思っている。まぁもうちょっと聞いて)

話の流れとしては『お母さんに赤ちゃんが今度産まれる予定→お母さんの体は大事!→みんなの体もとっても大事→パパとお風呂に入りながらプライベートパーツの話をする』っていう感じなんだけど、赤ちゃんの存在を無理に入れてもらうより、主人公まーちゃんの体の大切さのみに注視してもらった方がストーリーがまとまったのでは?とも思うのだ。赤ちゃんがどうやって生まれてくる、とかの話までは描かれていないので、『赤ちゃんがいる』=『お母さんの体が大事』の話が聞き手である幼児の中でリンクされてるかちょっと微妙で(大人はそりゃわかるけども。うちの子1人っ子だしなぁ)、どうしてもこの赤ちゃんという存在に取ってつけた感は出てくる。気がする。
ペットのわんちゃんも一瞬しか出てこないので、(君の存在は本当に必要だったか……?)みたいな気持ちにはなる。ずーっと横にいるならマスコット的な扱いにできるけど、絵本という短いページ数の中でほんとに一瞬しか出てこないので……。
うーむ、チェーホフの銃たるや。いや、役割がないわけではないんだけども。
絵ではなくセリフで説明されてるところ、3歳児だとちょっと難しいかもなぁと思うところもちょこちょこある。絵があればよかったのか、いやでもページ数の兼ね合いもあるしな。もうちょっと大きくなったらしっくりくるかしらん。

という、(さらっと入れてる部分にも大事なポイントが多いから、結果やや話がとっ散らかってしまったかなぁ)の印象と、(いやーーー、とはいえ、幼児向けならあんまり1要素を深く難しく話すより、浅く広く色んな要素を噛ませた方が無難かなーーー?!メインで伝えようとしてることは絞ってくれてるし、やっぱりこれが正解なのかなぁ)の気持ちが両方ある。難しいね。
作家先生がどういう意図で作ったかわからないのに、読み手が「もっとこうした方が」とか言い出すの、我ながら無礼だなとも思ってはいるのだけれど。文句があるなら自分で書け、いやおっしゃる通りで。

ではいざ『娘にどう性教育を施すべきか』って考えるとね。まーーーー難しいんだ。
だって伝えなきゃいけないことがいっぱいある。ほんとにいっぱいある。

・プライベートパーツの話
・性別による体のつくりの違い
・生理や妊娠の話
・性犯罪の話
・怖かったらNOを言って良いということ
・身の守り方
・他人を大切にすることと、自分を大切にすること

このへんかなぁ……?
「人との距離感」とかも幅広く見れば関わってくるかもしれないけど、ちょっとズレるのかしら。色んな要素が関わってくるから、定義付けが結構難しい。
『おうち性教育はじめます(角川/フクチマミ先生)』とかもいずれ買わなきゃなぁなんて思ってはいるんだけど、あれは大人が読む為の本で、この年齢に教えるならやっぱり絵本が入りやすいんだろうなぁとも思うわけで。今回買った本は「3歳になったら」を帯につけてくれてたのと、個人的に作者買いで決めただけではあるので、『この部分を重点的に教えるならこの本の方がオススメだよ!』みたいなのは皆さん他にお持ちかもしれない。あれば是非紹介してほしい。


個人的にこの本を買ってよかったなって思うのは、まず娘本人が気に入ってくれたらしいことだ。
どこまで理解してるのかはよくわからんけど、購入して1週間経ってない間に5回は読んだ。向こうから読めと持ってきたので、気に入っていると見える。理解してなかったとしても、いつかどこかで(あっ、あの本でそういえば言ってた!)がリンクしてくれたら良いなと思うので、とりあえず読んで、脳に蓄積してもらえたら良いなぁと思う。

で、その耳に重ねゆく内容の中に『知らない人に嫌なことをされたら』ではなく『知ってる人にも』を入れてくれている。さらっと流される程度の入れ方ではあるんだけど、実はそれも結構大事だなと思ってる。
そこから、
・『イヤ』を言うこと。
・『人のいる方』に逃げること。
・『信頼できる大人』に話すこと。
・でも、もし言えなくても、あなたは悪くないんだよっていうこと。
を指南してくれているのである。
それは入れてもらえてほんとよかった。絶対伝えたい。そんな被害に合わないのが一番だけどさぁ。

こういう本を購入することで、なんとなーく「いつか教えなきゃなぁ」とほわほわ思ってるだけじゃなくて、「何を伝えるべきだろう、どう伝えるべきだろう」って真面目に問題に向き合おうとするきっかけになった気がする。
『されたら嫌なこと』一覧の中に『写真を撮られる』があるのは3歳の娘には全然ピンと来ないだろうし、『触ってくれと言われる』もこう……どう教えたものやら……って感じなんだよな。でも実際に被害がありうる年齢なんだよなぁ。んーんんん。


色々考える良いきっかけになりました。
大切に、守られてくれ娘。

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