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【読書感想文】ファクトフルネス

ベストセラーとなったこちらの本。今更読みました。
翻訳本はまどろっこしくて読むのが苦手なのですが、こちらは作者の方のサービス精神溢れる文章で、読みやすい本でした。

2019年に出版されたこの本ですが、知らない事が沢山書いてありました。
私が特に印象に残ったファクト3つ。

1.現在80億人程度の世界人口は2100年頃に100億から120億人で安定すると見られている。なぜなら2017年時点での世界の女性ひとりあたりの子どもの数の平均は2.5人で今は更に減る傾向にあるから。

人類が地球を消費しつくしてしまう、というのはディストピア映画にありがちな設定で、私も人類はどうしようもなく増え続ける、と思っていました。
確かに120億人はとんでもない数ですが、ここを目標に地球を維持していく事に注力すれば人類は生き残れるかもしれない。
世界的に高齢化時代となっていくので、その先進国日本が出来る事があるような気がしてきました。

2.妊婦の死亡率について。貧しい母親の命を救うのは看護師の帝王切開の訓練や、出血多量や感染症対応の前に、病院への交通手段を整備する事。
また、よい教育に必要なのは教科書や教師を増やす前に、日が暮れた後に宿題ができる電気を整備する事。

日本経済は停滞していると言われていますが、今でも世界のトップ10%に入る裕福な生活をしています。その常識で世界を見てもわからない事が多い。良かれと思ってやっている事も現状にそぐわない、というのは普段の生活でもよくある事ですね。相手の現状を知る事が大切。

3.アジアやアフリカの国々で見かける「男らしさ信仰」は、アジアの価値観でもアフリカの価値観でもない。イスラム教の価値観でもない。東洋の価値観でもない。それは、たった60年前のスウェーデンであたりまえだった頑固オヤジの価値観だ。社会と経済が進歩すれば、そんな価値観は消えてなくなる。スウェーデンでもなくなった。変わらない文化などない。

未だに男女不平等国と思う日本。もう文化とか国民性なのか?と思っていたのですが、単に社会と経済が進歩していないだけでした。まだまだ伸びしろたっぷり日本。
確かに私が出産した10数年前と今ですら、男性の育児への関わりかたは変わってきていますものね。
この本では

人々の暮らしぶりに一番大きな影響を与えている要因は宗教でも文化でも国でもなく、収入だ。

と説明しています。
様々な社会問題を人種や国民性で片づけてしまうのは、怠惰でしかない。
確かにそれぞれの国の固有の文化は大切だとは思いますが、それと人々の生活のしにくさはまったく関係がない。いくらでもより良くしてゆけるのです。

この本で印象に残ったのは

「悪い」と「良くなっている」は両立する

という言葉。
主婦目線の例えだと、私の家にはまだ整理すべき場所は沢山残っていますが、この10年で物の量はかなり減って暮らしやすくなっている、とかでしょうか。
地味でも日々より良くしようとする小さな積み重ねが大事。

この本の著者の方は医師として過酷な地域でも様々な体験をされているようですが、基本的に非常にポジティブ。この明るさが私を勇気づけてくれました。
もう駄目だ、と諦めてしまう事は簡単。
現状を冷静に把握して希望を見つけ、そこに向けて努力をする大切さを教わった本でした。


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