先週土曜日から、インフルエンザB型で寝込んでいた。

　その週の木曜、まず娘が発症。
　それを皮切りに、私、息子、そして最後に夫までインフルになった。

　高熱も出て、非常に疲労困憊した。
　
　休みの間、私も当然寝込んでいたが、両側に子どもらがまとわりつき、喚いたり、鼻詰まりで苦しがったり、夜中もトイレ行ったり、そういうものの世話に追われ、ちっともゆっくり休めなかった。

　一方、夫は、１人別室でYouTubeしながら、思う存分に寝まくっている。こんなアンバランス、許されるのかとストレスも溜まっていた。

　出勤すれば、目の前にはますます溜まった仕事の山に次ぐ山。熱はないはずだが、全身の浮遊感は取れず、頭もどこかぼんやりしている。

　どこから何に手を付けたらいい？

　上司からは、『優先順位つけて』なんて言われたけど、こうなると、どれも急ぎだったり、かかる時間も様々で、どれが本当に優先順位が高いのか分からなくなるのがこの私。

　そうじゃなくても参っていたこの数ヶ月で、また追い打ちにあった気分だ。
　どこまでもついてない。

　それでも、今日はやっと金曜。

　土日に仕事に出るかどうかはさて置いて、ひとまず終わったことにホッとしつつ、自宅に帰り、疲れがどっと押し寄せた。

　夕食時、食卓でいつものように雑談をしていて、ふと私は『仕事でやることが山ほどあって、どうしていいか分からなかったよ』と正直な気持ちを話した。
　と、次の瞬間、夫がこういった。

『製図ソフトがないから、買うと高いし、どうしようかなぁと思ってたら、フリーで見つけた』と。

　え？

　は？

　とは言わずに、『へぇ、良かったねぇ』と、私は一旦答えてすかさず反論した。

　『それで今、私の話きいてた？なんで返事しないで、いきなり自分の話するの？』と。
　
　すると夫は、ぼそっと答えた。
『何が大変か分かんないから』

　いやいや、そういう問題じゃないでしょ。

　もしそうだとしても、分からないなら何が大変か尋ねればいいし、そうじゃないにしろ、『そうなんだ』くらい返事したらどうなのか。
　別に百歩譲って大変さを理解しろとは言わないから、分からなくていいから、人の言葉には反応して、と。

　私の言い分に対して夫は続けた。

『(娘に）話しかけてるんだと思ってた。』
『頭が今、ぼんやりしてるから』

　だって。
　言い訳か。

『いっつもだよ』私もぼそっと付け加えた。

　そう、これは日常茶飯事なのだ。

　これまでも何度も味わっている。このナチュラルな無視。
　聞こえていたとしても無反応なら、明らかに無視だと思う。

　それを何度も何度も味わってきて、毎回理不尽を感じ、時には諦めて放置していたが、今日は耐えられなかった。私も疲れていて、ゆとりがない。

　あんまりじゃないか。

　私に無関心だと、目の前で突きつけられているかのような態度。
　それでいて、自分の話はちゃっかりするし、私は必ずと言っていいほど、リアクションをしている。そりゃ望んだものかどうかは知らないが、聞こえていることがわかる反応はしているはず。

　それを何だと思っているのか。
　呆れて、落胆して、目の前の箸や茶碗を放り投げたくなった。

　情けなかった。

　なんておかしな人だろうと、改めて思った。

　すかさず、『お父さんはご飯も上手だし、絵もかけるし、いろいろできるよ。みんな得意不得意あるからね』なんて子どもの前でフォローまでした。

　本当に疲れた。

　夫は、昔から自分でも言っているが、まず「クロストーク」ができない。いろんな人が一度に話すと、全部が聞こえて喋れなくなるそうだ。もともと無口だが、余計にしゃべ　らない。

　ある部分は、もしかしたら発達障害だという気がしている、と本人曰く言っている。
　
　それにしてもだ。

　相手に無関心、無反応なのも、それなのだろうか。

　ああ、悲しい。

　いっそのこと、はっきりとした原因が知りたい。
　そういう風に育ってきたのか？

　私にとって、相手が何かを話したら反応するという、ごくごく当たり前のコミュニケーションが理解されないとは。

　私は、またこういうことがあったら、指摘しようと思った。
　自分にそういう行動パターンがあることを自覚してもらう必要があるし、それは、相手を悲しませる行為であることを知ってほしい。

　みんな100点満点な人間なんていない。

　それは分かっているけれど…

　余裕がない時は、非常に堪える。
　
　
　ほんと、つらい。