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高くても売れるのはなぜ?〜「高くてもバカ売れ!なんで?」の読書感想文

こんにちは。円安の言葉が飛び交う今日この頃。物価高で、今まで買えていた物を買わなくなった…という方もいらっしゃるのでは。しかし一方では"メディアで高くても人気です"と報道され注目されている商品やサービスも存在します。

このような商品やサービスが売れるのはなぜか?を考えたことはありますか。マーケティング関係の仕事をしている人はもちろん、価格変動に関心のある方にぜひお勧めしたい一冊です。文章もかなり簡潔に書かれているので、スラスラ読めます。



要約

高売れキーワード

・アガる
・プレゼント
・自分メンテナンス
・プチ贅沢ご褒美
・応援消費
・レトロエモい
・ガチニッチ


どうすれば価格の壁を打ち破れるか?

1. 想定価格を上げる

例1: 婚約指輪の相場

30年以上前にダイヤモンド販売会社(デビアス社)が打ったキャンペーンに由来しています。1970年代当時、宝石の贈り物といえば誕生石にちなんだものが主流でダイヤモンドはあまりメジャーではありませんでした。また婚約指輪の相場もいまいち線引きがなかったそう。そこでダイヤモンドは"愛の証"というスローガンを掲げ、"給料の3ヶ月分"というガイドラインを設定していました。

そして、1980年代にとある大物芸能人が結婚した際に記者に指輪の値段を聞かれ"給料の3ヶ月分"と告白したことが、世間全般に"婚約指輪は給料の3ヶ月分"という認識を広めたのです。

うめもとさんのnoteでも紹介されています。

例2: 800円のかき氷専門店

かき氷は、家でかき氷機と製氷器があればすぐに作られますが、世の中にはかき氷専門店がありますよね。いっとき、台湾から上陸した「アイスモンスター」を知っている方も多いでしょう(現在アイスモンスターは日本から撤退)。

当時アイスモンスターはかき氷の相場とはかけ離れた、800円台のかき氷を販売していた記憶です。それに追随するように、日本で"かき氷専門店"と謳うお店が登場していきました。

私が思うに、かき氷専門店が売れた理由は高価格帯を設定する代わりに、家のかき氷機では作ることのできないサイズ感、ふわふわの食感、シロップをはじめとしたトッピングのバリエーションがかき氷専門店の相場を作らせたのでは?と推測しています。

例3: パフェの価格帯が1,000~3,000円まで幅広い

世の中にある"パフェ"は、コンビニにあるサンデーのようなパフェから、喫茶店のカフェまで幅広くありますよね。時には1本3,000円近くのものまであったり…。

例えばコメダ珈琲の「珈琲ジェリー」は(店舗によりますが)1,000円しないくらい。一方、一番私が驚いたのは京都の抹茶の喫茶店で必ず挙がってくる辻利のパフェが2,000円くらいしたことです。

かき氷と同じように、パフェに関しても相場の価格が人によって違い、また人によってカスタマイズができたりブランドによって価格を変更することがしやすい領域なのかも?と考えられます。

2. 付加価値をつける

例: 「落ちないりんご」

青森県藤崎町の「落ちないりんご」という商品。これは平成3年に襲った台風の被害を受けず落ちなかったりんごを「落ちないりんご」と名付け販売をし、受験生への贈り物として選ばれ続けています。

ふじのりんごとして売り続けていたら、青森県産のりんごの1つとしてあまり目立たずにいたかもしれません。"このりんごは落ちない"というストーリー(付加価値)と一緒にりんごを販売していることで、販売し続けている例です。

3. 名前を変える

例1: お嬢サバ

「地下海水を使い陸上養殖で虫が付かないよう大切に育てられたプロセスが
「箱入り娘」を連想させることから」名付けられたサバの商品。先ほどの「落ちないりんご」と同様、サバの1種として販売していると目立ちにくいですが、お嬢サバと名付け、育て方を差別化していることをイメージしやすいようにPRしています。

例2: 鼻セレブ

以前は「ネピアモイスチャーティシュ」とという名前で販売していました。しかし保湿ティッシュはまだ市場に浸透しておらずあまり売上も立っていなかったようです。

この商品の差別化ポイントである、何度鼻をかんでも赤くならないことを前面に押し出したネーミングにしてより多くの方に認知されるようになったそう。

4. 見た目を変える

例1: 萌え断

例2: 10円パン

5. 売る時間、場所を変える

6. 売る相手を変える

例: 大人レゴ

7. 定義を変える

例: 切腹最中

味にこだわった最中ですが、「切腹したいときに贈る手土産」として、謝罪用への手土産に選ばれることが多くなり、売上が増えていったそうです。


一部商品についてより詳細を詳しくご紹介しました。この本を通じて思うことは、同じ商品でもネーミングやその時の市場状況によって価格を上げることができることです。必ずしも、値下げをしないと売れないわけではありません。

今、ダイナミックプライシングの戦略も注目されていますので、その点と合わせてマーケティングの勉強の際にご参考になるかと思います。


▼ほかの読書感想文をまとめていますので、よろしければご覧ください。

▼「ビジネス・リサーチ」マガジンでは、私がECサイトはじめWebサイトの構成や販売されているモノ・サービスをどのように紹介しているのか考えるnoteです。こちらも、よろしければご覧ください。


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