夢分析
とうとう夢の中で、思い出の進学塾が巨大結社と化した。
僕が中学生の頃通っていた塾が実は僕の意識下の抑圧なんじゃないかと気づき始めたのは最近のことで、これは実感としては不思議なことだ。
なぜかといえば、僕は目覚めている間その塾に対してこれっぽっちの感情もわかないから。でも意識下の抑圧っていうのは意識には表れてこないから、夢といった媒体を通して自覚することがある。
中学三年生の十二月、僕は塾をやめた。僕はこのことについてなんらの後悔もしていないし、表面的には人生になんの影響も与えていない。実際、受験直前に塾をやめたにもかかわらず、僕は第一志望の高校に前期で合格している。
先日見た夢の中で、とうとう塾は怪獣と戦う巨大な結社になった。
僕が通っていた塾はちょいと難しめの授業をやる特殊な塾で、難関高校に何人送り込むことができるかを他の塾と競っていた。
夢の中で巨大結社は怪獣を倒す優秀で若い人材を作り出す育成機関だった。「35で割るといつも〜となる自然数を因数分解してなんたらかんたら」みたいな問題をたくさん解かされた。経営者みたいな口ぶりの教官たちは圧倒される僕たちを見てご満悦。壁際の両親たちがこちらをジロジロと見つめている。僕は「塾と同じじゃないか!」と叫んだ。
僕はその会合に出席していた。裸の相撲取りがたくさんいて暑苦しかった。頭取と思われるヘミングウェイに似た禿げ頭のおじさんが学問について熱く語っていた。僕とペアを組んでいる女の子は強迫症でおしゃべりを永遠に続け、幼なじみの別の男と親しくしていた。僕は逃げ出した。
結社の外には綺麗な草原が広がっていて、巨大な怪獣たちが民族の大移動みたいにのっそりと大地を闊歩している。攻撃してくるようすはない。
誰だったか思い出せない、見たことある結社の人間が小走りで僕の方へやってくる。女性だった。
「だってあれは私たちの世界を破壊する敵なんですよ!」
「怪獣は敵なんかじゃない!」
僕たちは言い争った。そのとき結社のすぐ近くを歩行していた怪獣が建物に向かって息を吹きかけるのを僕たちは目撃した。息を吹きかけたところから、建物は少しずつ怪獣に変化した。女性はあっけに取られ、何もできずに突っ立っていた。「ウォーッ」と咆哮をあげて怪獣となった結社の建物は、ほかの怪獣たちとともに歩き出した。
僕は目を覚ました。
僕が考えるに、抑圧とは塾から逃げ出した罪悪感みたいなものだ。逃げ出したことにより、僕は組織にうまく馴染めない。僕は意識的にはそのことをどうとも思わない。無意識下の僕が過剰に反応しているだけだ。
ただ一つ思うとすれば、怪獣は全員が悪いやつとは限らないし、戦うだけが方法ではないってこと。僕はそういう結社に入りたいとは思わない。
余談だが、怪獣と聞いて思い出すのは以下の二つ。
一つはSSSS.GRIDMAN。悪役の新条アカネはウルトラマンの怪獣オタク。怪獣を使役して世界を滅ぼそうと企む。本当は繊細なひとりぼっちの女の子。
もう一つはthe pillowsの「Blues Drive Monster」。怪獣の肩にまたがって、世界を滅ぼす曲。
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