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地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化

地方自治体のシステムの移行期限は、自治体ごとに個別の事情を示せば遅れを認めることにしたとの閣議決定。

Xユーザーの河野太郎さん: 「9月8日の閣議で「地方公共団体情報システム標準化基本方針」を改定し、移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムについては、適切な移行期限を設定することにしました。 その場合もデータ要件の標準化基準への適合は2025年度末までです。…」 / X (twitter.com)

地方公共団体情報システム標準化基本方針の概要が令和4年10月7日に閣議決定されてから、約1年。この間、どれだけのデータ移行が進んだのだろうか。

ガバメントクラウド上に設置される標準準拠システムに移行し、各地方自治体が参照する形になれば、それまで別々に管理、利用されていたデータを共有し、システムの違いなどで利用できないデータをなくせる可能性が高く、ある種一元管理ともいえる体制ができあがる。これにより他のサービスへの情報提供が容易になり、重複データもなくなり、地方自治体が必要なデータを迅速に活用できる。

この理想のもと、地方自治体はシステム移行を始めているが進捗状況はよくないのか。令和5年9月8日の閣議決定で移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムについては、適切な移行期限を設定したそうだ。

元々のシステム自体はそれほど統一感はないようで、データの共有も難しいそうだ。それによる移行の遅れに対しての処置だと思うが、それでもデータ要件の標準化基準への適合は2025年度末までと変更はない。

データ要件の標準とは、機能標準化基準を実現するために必要なデータのレイアウトの標準である。
標準化ができていないとデータ参照ができない。今まで利用されているアプリが異なるとデータ共有はできないので、データの標準化は急務だ。

個人レベルでも似たようなことはある。一太郎で作成されたファイルをMS Wordで開くことはできない。一太郎のファイルをMS Wordで参照したければ一太郎のビューワーを入れればいいが、これでは再利用できない。
一太郎を別途用意するしか再利用する方法はなく、テキスト部分をコピー&ペーストでMS Wordに貼り付けてもレイアウトが崩れてしまう。これはアプリ間での互換性がないからだ。
WEB上の表データをコピーしてExcelに貼り付けてもレイアウトが崩れることがあるのも同じ理由だ。WYSIWYG(What You See Is What You Getの頭文字)エディターに慣れすぎている人には、見た通りに貼り付けられないことが不思議に思えるそうだが、これはアプリ内部でリアルタイムに変換されて表示されているだけであり、自動で調整してくれてるのだ。

コンピュータの中ではコード入力→コンパイル→表示という流れはアプリが変わっても変わらない。TeX、HTML、C+などを利用したことがある人にとっては当然のことだが、現状、コードを書いた経験なく、アプリだけで仕事をする人が大多数だ。
だから、多くの人にとってデータの標準化の重要性は感じ取りにくいかもしれないが、システム統一の為には絶対条件であり、根幹とも言える。だから、遅らせられないのだ。

先の例だと、データを完璧に移行するにはマンパワーで移し替える、新規で作成するとなるが、さすがに膨大なデータを保有している地方自治体にマンパワー押し切るのは現実的ではないと思う。
デジタル庁も移行支援として標準化リエゾン(デジタル庁において、統一・標準化における各地方公共団体の進捗確認や課題把握を通じた技術的側面からの支援のため、各都道府県からの派遣職員等により設置した支援体制のこと)を設置する等、総務省及び都道府県と連携して、地方公共団体の標準化移行支援を実施しているが、これでもよく考えるとマンパワーといえよう。

完全に自動変換するアプリはないのだろうかと疑問に思う。もしかするとアプリに任せて変換してミスやデータ損失が発生する可能性をなくす意味で敢えて標準化リエゾンを設置してるのかもしれない。いずれにしても、自動変換でないので時間はかかる。
全国民のデータである。どれだけ膨大か想像もつかない。膨大な顧客データを新規で手入力するようなものだ。これだけの大プロジェクトを数年でやってしまおうとするデジタル庁、河野太郎デジタル大臣の気概は只々すごいの一言だ。

もちろん、これには地方自治体の協力があってこそで、地方自治体の方々の努力がなければ、標準準拠システム移行は完成しない。このような作業こそAIでなんとかできないのか、と素人目線では思ってしまうが、AIを育てる時間も惜しい程の急務なのだと改めて思った。

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