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松橋力蔵監督の交代戦術:2024 J1 第7節 アルビレックス新潟×セレッソ大阪

徹底して守備を準備してくる相手に勝てない。ガンバもセレッソも表向き前線の破壊力で勝っているように見せかけてその内容は徹底された新潟専用に準備しているであろう守備である。

そんな守備の前に何もできないのかというと別にそんなことはなくて当たり前のように自分たちのスタイルで攻略している俺たちの新潟なのだが、なんともゴール前の火力不足は否めない。

そんな火力不足をなんとかするために交代という対応があるのだが、今シーズンの松橋監督は70分以降に3人同時交代という対応が非常に多い。それが良いのか悪いのかは良くわからないのだが3人同時交代後にゴールが決まることもあれば不発に終わることもある。

名古屋戦のハセモト感動のゴールは興奮したし、ヴェルディ戦の長倉も感情が爆発した。むしろここまでの7試合で交代で状況変えてゴール奪って結果出てたりするのでネットで松橋監督の代名詞みたいにネガティブに揶揄されるほど変な結果が続いている訳ではなかったりする。勝てない試合があると色々言われるサッカークラブの監督というのは本当に大変な職業だなと思わずにはいられない。

勝てない日々において3人同時交代という光景にネガティブな感情が渦巻く新潟サポSNS界隈なのだが、ふと「松橋監督の交代傾向ってどんなだろうか」と考えたので楽しかった2022年のデータで確認してみたいと思う。

べ、別に2022年の分を途中まで作って力尽きた訳じゃないからね!めんどくさいから2023と2024は作るのやめとこうとか思った訳じゃないからね!

2022シーズンにおける新潟の交代タイミングとゴール分布

2022年に松橋監督が着任して以降、5枚のカードを全部使うという試合はあまりない。2022年の多くは4人までで2人という試合もあり、2023年はそれなりにあるものの2024年はここまで5人交代は1試合もない。これが新潟の傾向なのか他のクラブもそうなのかは調べていないので良くわからない。

サッカーというゲームにおいて、交代でピッチに入ってきた選手がゴールを決めて勝ち点ゲットというのは最高の試合となる訳だが、そんなドラマはそうそう起きない。それでも我らサポーターはそういう展開に期待して交代シーンを見守るものなのだ。

ということで、勝てない日々の気分を陽気にするためにも過去の交代大逆転劇の興奮を思い出しておきたい。


2022 J2 第8節 VS 熊本(アウェイ)

熊本に先制されたものの谷口のビックリ海キャノンで同点に追いつき、後半84分に孝司の兄貴が入ってきて試合終了直前アディショナルタイムに小島→田上→孝司という最後方からのたった2本のパスで逆転勝利を決めた素晴らしいしあい。この田上のラストパスは田上のフットボール人生の中でも輝いているはず。なぜそこに田上。この試合、途中の双方交代カードの切り方も見応えがあり、交代で試合が動いたという表現が適切な試合だった。

2022 J2 第15節 VS ヴェルディ(ホーム)

これはもうヤムケンがスーパースターになった試合でスーペルゴラッソ。3-0で余裕の序盤からよくわからないうちに同点に追いつかれて双方チームもサポータも興奮と緊張が最高潮に達した試合終了直前のアディショナルタイム、後半86分に登場した矢村がとんでもないシュートをヴェルディゴールに叩き込んだ。ヤムケンはいつでも帰ってきてくれよな。この試合では秋山の覚醒トリガーにもなっていたようで、そういう意味でもこの試合、後から振り返っても本当に素晴らしい試合だったと思う。

2022 J2 第39節 VS 山形(アウェイ)

孝司がイマイチ活躍できなくてハーフタイムで投入された谷口が魂を込めたシュートを決めて同点に追いついた試合。試合終盤に投入されて逆転劇というわけではないが、交代で状況が変わったという意味では交代がうまく行った試合と言える。

2023 J1 第23節 VS 湘南(ホーム)

まさに王の帰還。後半スタートから入った高木が圧巻の存在感で結果も出した試合。新潟のエンブレムを叩いて魂を讃える俺たちの高木が誇らしい。引退してもずっと新潟で過ごしてほしい。

2023 J1 第26節 VS 浦和(ホーム)

小見のJ1初ゴールとなった試合。この日の小見は後半73分に3人同時交代のひとりとしてピッチに入り結果を出した。この頃の新潟はスタイルを信じきれないサポーターも出てきた頃だったように記憶していて、そういう状況を打破して進化を遂げたターニングポイントの試合だったように思う。その試合でヒーローになった小見はU23代表に選ばれるまでに成長した。これからもギラギラしてくれよな。

2023 J1 第26節 VS ガンバ(アウェイ)

直前の試合で小見が躍動すれば次の試合では三戸が躍動する。後半64分に3人同時交代のひとりとして入った三戸が圧巻のスーパープレイでガンバのゴールネットを揺らして同点にする。オランダでも着実に実績を重ねていてオリンピック本戦へのメンバー入りは確実とも言われているおれたちの三戸ちゃん。小見と一緒にコミトとしてオリンピックのピッチに立って活躍してほしいと願わずにはいられない。

2023 J1 第29節 VS 川崎(アウェイ)

俺が選ぶ2023年のベストバウト。後半73分にピッチに入ると均衡を破る歴史的なゴールを決める。クラブとして随分と差を付けられた川崎に対し、自分たちのスタイルを信じて貫き通してスタイルの先駆者である川崎を撃破したメモリアルな試合でもある。将来アルビレックス新潟というクラブの栄光の歴史を振り返るときに絶対に入れたいゴールシーン。

2023 J1 第34節 VS セレッソ(ホーム)

シーズン最終節を飾るビックスワンで生まれた長倉の加入後初ゴール。長倉は後半68分に太田と共にピッチへ入る。自分たちのスタイルを信じ続けて最終的には10戦負けなしという結果で締め括った2023シーズンを象徴するナイスゴール。長倉はまだまだこんなもんじゃないので日本で一番ボールが収まるフットボーラーとして覚醒してほしい。長倉ならきっとなれる。

2024 J1 第3節 VS 名古屋(ホーム)

ハセモトの加入後初ゴール。それまで新潟サポSNSなんかで散々なことを言われがちがった状況を黙らせる魂の乗った一発はチームを救った。今後はトップ下とかの中央でプレイすることが多くなるような気がするので、その技術を存分に発揮して俺たちを熱くさせてほしい。

全てがうまくいくわけじゃないけどうまくいくことがそこそこあるので新潟サポの皆さんにはしっかり見守ってほしいと思わずにいられない。

試合雑感

いつものスタメンで小見の代わりに太田という布陣。右には松田がいるのでセレッソの442ブロックをサイドチェンジで横に振って縦突破というプランなんだろうか。

松田はサイドチェンジをピタッと収めてガンガン仕掛けてキッチリとゴールを奪ってほしいというか今日もチャンスや決定機を潰したらサポーターも我慢の限界を超えてしまうような気がする。恩師松橋力蔵が非難されないようにするためにも松田には結果を出してもらいたい。

前半を見終えた時点ではお互いのストロングがぶつかり合う良い試合になっている。

セレッソは442ブロックじゃなくてビルドアップ封じの前プレス442の形は留めていないし、後ろが4人スタートということ以外は新潟の配置に合わせて前の人数が頻繁に変わる。新潟に対して今までいろんなチームが同じことをやるのを何度も見てきた光景でもある。

そんなセレッソの守備に対して、前に人が出て来てサイドバックもプレスに上がってきたところをマイケルのフィードで松田へボールを供給というのがひとつの狙い。前半終了時点の今日の松田は良い松田なので結果を出してほしい。前半だけならレガテもグラウンダークロスも可能性を感じることができる。グラウンダークロスは基本通りのキーパーとセンターバックの間に鋭く直線的なマイナスクロスというもの。そのうち谷口が合わせてくれるはず。

前半のDAZNスタッツを見ると左が59%という数字が。右サイドでのプレイがほとんどないということを考えると松田のインパクトの強さが際立つ。

ちなみに新潟コーナーは徹底してインスイングのニアだしセレッソもニアに3人配置していたりする。ここまでニアを見せていて突然のファーにデザインみたいなセットプレイでゴール決まったら気持ち良いだろうな。

セレッソはとにもかくにもレオセアラとカピシャーバが強すぎる。強すぎるのだがカピシャーバを全部止める藤原が最強すぎる。

後半もストロングのぶつかり合いという素晴らしい試合をして最後は新潟が勝つという展開に期待したい、などと思っていたのに全てはセレッソのプラン通りに運ばれてしまった。試合としては面白い試合だった。毎熊のアイデアとレオセアラのスペックでゴールを奪って75分以降は451ブロックでサイド攻撃を封じ、85分以降は541ブロックで白い壁を築き上げる。そしてその壁を破れなかった新潟という試合になった。松田が後半行方不明。

試合終盤のコーナーキックは時間が無くて急がなくてはいけないというのもあったが雑だったのかもしれない。アウトスイングでニアに蹴って空いているファー側にボールが転がれば… だったのだがそのようなことにはならず。

今に始まったことではないのだが、アタッキングサードの火力不足には悩まされる。押し込んだ状態で溢れるセカンドボールは拾えているので決め切れば楽に試合を運べるんじゃないかと思うのだがピッチの上では観ている以上に難しいんだろうな。

なんだかんだでレオセアラみたいなのは必要なんだろうし、我らには長倉がいるのだがポジションレスが悪い方向に働くと長倉がサイドに流れてしまうというジレンマが出てくる。小見アタックでゴール前5mまで近づくことはできているんだが。

先制できれば試合を楽にできるんだろうけどな。


「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。