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わたしの本心は、ひとりの時にだけ

人と会話をしながら、わたしはよく嘘をつく。

スタートからわたしはクソ野郎かっていう出だしを書き出した自分にガッカリするが、きっとこれは本当のこと。いやね、嘘とは言っても、事実を大きく曲げたり、人に迷惑がかかるレベルで嘘をついているわけではない。それだけは言わせてくれ。つまり、どんな嘘をよくつくのかというと「わたしはわかってます」という小さな嘘だ。

わたしが本当に「分かる」タイミングは、会話の後であることがほとんど。1人でその時の会話を振り返って、その時の情報、感情、経緯全部を分けて落ち着いて整理できてからだ。その時にふわっと分かることももちろんあるのだけど、自分の価値観の中でしっかり落とし込んで、わかった=じゃあやろう、と行動ベースに落とし込めるのは、他人と話しながらは絶対に無理なのだ。他人との話は、きっかけでしか過ぎない。

よくある会話はこんな感じ。

友「最近どう?」
私「最近?むちゃいい感じだよ!」

友「むちゃくちゃ忙しそうだもんねー、順調そうで何よりだわー」
私「順調だけど、これからどうしようかは考えるなぁ」

友「どうって?あなただったら〜とか〜とかやってみても面白そうだよね!」
私「たしかに!それは思いつかなかったなぁ。次のステップにいいかも!」

友「それなら◯◯さんとか詳しいから話聞いてみるといいよ!きっと何かきっかけ掴めると思うよ!」
私「むちゃくちゃ良さそう!わかった!やってみる!ありがとう!」

とまあ、よくありそうな会話だ。この場合、正直私は全ての返答で嘘をついている。

そもそも、「最近どう?」と聞かれて、むちゃいい感じなことなんてほとんどない。これに関してはむちゃいいと自分で思いたいという欲が出ているだけだ。「これからどうしようかは考える」という返答も、今の延長線上にどうするかを考えているわけではない。なんなら今ある仕事も全部捨てて、全く違う世界に行きたい、というか思いっきりひとりになりたいとか、その類の『本当はしたいけど、普通に考えてしちゃいけないであろうこと』のことを言っている。

友人からのアドバイスを受けての「それは思いつかなかった!次のステップにいいかも。」もちゃんちゃおかしい返事だ。そもそもの「これからどうしようか考えてる」の意図が今の延長線上にあるものじゃないのに、友人の言ってくれているその方向にはそもそも進みたいと思ってない。だから思いつかなかったのではなく、思いついたとしてもやらないのだ。

この流れからいうと、最後の「むちゃくちゃ良さそう」も嘘をついていることが分かる。全くわかってないし、やってみることもないだろう。

これだけ見ると、本当に私はクソだ。人の良心を、優しさをなんだと思っているんだと言いたくなる。しかし問題なのは、実はこれが嘘だった!と気づくのはこの会話をして友人と別れた後、私ひとりでこの会話を改めて思い出した時になる。寝る前とか次の日とかのこともざら。話している最中は、なんなら本当にその気だったりするから厄介だ。

どうしてこうも自分を、周りからの期待に、周りがイメージしているわたし像に合わせてしまっているんだろうと後から思い出してガッカリする。なんでだろうと考えても、もうこれが癖だからとしか言えない自分にもまた落ち込む。あとから違かった、それは本心じゃなかったって気がついても、また同じことを繰り返してしまう。

これを回避する方法が、実は一つだけある。

それは、対面で会話するのではなくて、文面で会話するという方法だ。対面だと、正直、情報処理スピードが追いつかない。相手の表情、相手の言葉の選び方、身振り手振り、声のトーン、目線、それを拾うのに一生懸命になってしまって、自分の中が本当はこうだっていうところまで気が向かない。相手のことについて話している時は、逆に対面の方が良かったりする。相手がどんな意味合いでその話をしているか感じ取れるから。むしろ文面じゃ伝わってこなくて、直接話したいとわたしからいうことも多いくらい。でも自分のことを話すとき、自分のことを伝えるときは、正直、対面だと自分に集中できなくて、結局何も解決しない。上っ面のことしか伝えられない。

ひとりの時にだけ、思いっきり人の目を気にせず自分に集中できる。文面を送るときは、相手から来た内容にゆっくり自分の心に聞きながら返信できる。だからきっと嘘がなくて済むのだろう。ひとりで向き合うから、自分の処理スピードでゆっくり噛み締められるから、自分の本心も無理なくするするっと出てくる。(わたしのそういうところも知ってくれている友人は別だったりするけれど。そういう人には、ガッカリされてしまうリスクがないから無理なく対話の中でも本心を出せたりする。)

嘘をついている自分に気づけるようになるところからが、まずスタートであることは間違いないけれど、それが対面だとなかなか難しい。ひとまずは、1人の時間をしっかり作って振り返ること、そして振り返って違ったのなら、嘘をついていたことが発覚したのなら、しっかりそれを説明するなり弁解するなりしてみよう。そしてその説明は、対面ではなく、文面で伝えてみよう。

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