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死化粧

去年の今頃、祖母が亡くなり、
その一周忌で、いま、
生まれ故郷の福島に帰ってきている。


私は小学四年生の時から
父親の仕事の関係で海外に長く住んでたので、
なかなか福島にも帰って来れず、
高3で日本に帰ってきてからも
福島を訪れることはほぼ無かった。


なので、
去年祖母が亡くなった時に帰ってきたのが
もう10年ぶり以上になる。




私が去年帰ってきた時には、
祖母は冷たく横になっていたのだけど、

私が到着すると、
『仁美に最期のメイクをしてもらおうと思って』って
みんなが待っててくれた。



私にとっても
死化粧をするのは初めてのことで、
もちろんメイクをするなんて思ってなかったから
何も道具なんて持ってきてなかった。



正直もう冷たくなってるし、
目も開かないし、
段々口もひらいていっちゃうから
いつも人にメイクするようにはもちろんできない。


自分の道具が無いから、
亡くなるまでおばあちゃんが使っていた
おばあちゃんの化粧品を使ってメイクをしてあげた。




でも、仕上がった時に、


『わぁ、いつものばあちゃんだね』

『この色すごくばあちゃんらしいね』

『いつもと一緒だから生きてるみたいだね』

ってみんなが口を揃えた言った。




私のおばあちゃんは、
ピンクが大好きで、

小物もエプロンも化粧も服も、
ピンクがいーっぱいのおばあちゃん。


私たちが小さい頃から
すこしビビットな青みがかったピンク色のリップをいつも付けてた。


このリップをおばあちゃんに付けてあげてみると


本当に表情がいつものおばあちゃんみたいで、


今にもいつもみたいに笑い出しそうで、


本当にいつも笑ってた可愛らしいおばあちゃんだったなって、思い出した。





メイクって、

本当にその人らしさの表れ。



普段何気なくしてるメイクでも、


こうして亡くなってからも
人の記憶に残る。


そういう気持ちで、
毎日丁寧にメイクができたら、

なんだか少し温かい気持ちになれる。



今日のメイクも、
明日のメイクも、


いつかの人の記憶に残る
大切な瞬間。


いつもより、
ちょっと大切に、丁寧に、
今日もメイクしよう。

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